ジブラルタ生命保険は7月12日、「教員の意識に関する調査2024」の結果を発表した。調査は2024年5月23日~6月10日、20歳~69歳の教員(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)2,000名を対象にインターネットで行われた。
教員になりたいと思った理由「教えることが好き」が最多
全回答者(2,000名)に対し、教員になりたいと思った理由を聞いたところ、「教えることが好きだから」(41.9%)が最も高くなり、「子どもが好きだから」(32.4%)、「収入が安定しているから」(28.5%)、「尊敬する教員・憧れる教員に出会ったから」(26.9%)、「クラブ・部活の指導をしたいから」(13.6%)が続いた。
男女別にみると、「クラブ・部活の指導をしたいから」(男性18.1%、女性4.7%)は女性と比べて男性のほうが10ポイント以上高く、「子どもが好きだから」(男性28.6%、女性39.7%)は男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなった。
教員生活の充実度を100点満点で表すと?
自身の教員生活の充実度を点数(100点満点)で表すと何点になるか聞いたところ、「80点台」(27.6%)に最も多くの回答が集まったほか、「50点台」(12.2%)や「60点台」(10.7%)、「70点台」(15.4%)、「90点台」(13.3%)にも回答が多くみられ、平均は69.1点だった。
男女別にみると、充実度の平均は、男性・女性ともに60代(男性74.9点、女性84.0点)が最も高くなった。60代には、長い教員生活を経て、教員としての職務を全うしつつあるという実感や"ここまでよく頑張ってこられた"という満足感を抱いている人が多いのかもしれない。また、女性では年代が上がるにつれ充実度の平均が高くなる傾向がみられ、60代では84.0点と、女性の全体(67.1点)と比べて16.9点高くなった。女性には、人生経験や教員としてのキャリアを積むにつれて、教員生活に対する充実感が高まる人が多いようだ。
教員としてどのようなときにやりがいを感じる?
教員としてどのようなときにやりがいを感じるか聞いたところ、「児童・生徒の成長が感じられたとき」(63.8%)が最も高くなった。子どもの成長を間近でみられたときに、教員をしていて良かったと感じる人が多いようだ。次いで高くなったのは、「児童・生徒の笑顔をみたとき」(50.8%)、「児童・生徒と感動を分かち合えたとき」(47.5%)、「保護者からお礼・感謝されたとき」(41.0%)、「自分の仕事が評価されたとき」(37.3%)だった。
男女別にみると、ほとんどの項目において男性と比べて女性のほうが高い傾向がみられた。また、女性では「児童・生徒の笑顔をみたとき」が60.1%と、男性(46.1%)と比べて10ポイント以上高くなった。
理想の教員像、1位は「授業がわかりやすい」
全回答者(2,000名)に、理想の教員像を聞いたところ、「授業がわかりやすい」(59.1%)が最も高くなり、「児童・生徒のやる気を引き出している」(54.3%)、「児童・生徒とのコミュニケーションが上手」(48.9%)、「児童・生徒の変化にすぐ気づく」(48.6%)、「児童・生徒の意見に耳を傾けられる」(46.6%)が続いた。
男女別にみると、「児童・生徒とのコミュニケーションが上手」(男性45.4%、女性55.7%)や「児童・生徒の変化にすぐ気づく」(男性44.5%、女性56.6%)、「児童・生徒の意見に耳を傾けられる」(男性42.3%、女性54.9%)では男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなった。年代別にみると、20代では「児童・生徒とのコミュニケーションが上手」(47.7%)が1位だった。
自身の仕事についてどのようなキャリア目標を思い描いている?
全回答者(2,000名)に、自身の仕事について、どのようなキャリア目標(仕事上の最終的な目標地点)を思い描いているか聞いたところ、「定年退職を迎えるまで教育現場で働く」(35.1%)が最も高くなった。定年までバリバリ現役として現場で働き続けたいと考えている人や、教員を自身の天職と捉え、最後まで全うしたいと考えている人が多いのでは。次いで高くなったのは、「担当教科のスペシャリストになる」(19.7%)、「校長・教頭になる」(5.2%)、「生徒指導のスペシャリストになる」(5.1%)、「部活動の指導で実績を上げる」(3.5%)だった。年代別にみると、20代では「担当教科のスペシャリストになる」(23.4%)が1位だった。
自身が思い描くキャリア目標を実現する上で苦労していること
思い描くキャリア目標がある人(1,467名)に、自身が思い描くキャリア目標を実現する上で、苦労していることを聞いたところ、「定年退職を迎えるまで教育現場で働く」を目標に挙げた人では「日々の忙しさ」「日々の業務での疲労困憊」「体力と気力の減退」「時代の変化に合わせた指導法の模索」「家庭と仕事の両立が大変」「健康管理」といった回答があり、多忙を極める教育現場の実状や、教員生活で感じている課題・ストレスが垣間見えた。また、「担当教科のスペシャリストになる」を目標に挙げた人では「教材研究に時間が割けない」「授業以外の仕事が多い」、「校長・教頭になる」を目標に挙げた人では「現場での経験が少ない」「昇任試験に受かること」、「生徒指導のスペシャリストになる」を挙げた人では「生徒一人一人への対応」「時代の変化への対応」、「部活動の指導で実績を上げる」を挙げた人では「部員の確保」「部活加入率の低下」、「教育委員会に入る」を挙げた人では「道筋がわからない」「二次試験の突破」といった回答があった。
児童・生徒が日本人としてのアイデンティティを育むために必要だと思うことは?
児童・生徒が日本人としてのアイデンティティを育むためには、どのようなことが必要だと思うか聞くと、1位「礼儀作法やマナーを身につける」、2位「日本の歴史を学ぶ」、3位「日本の伝統行事を体験する」となった。
若手教員として職場に入ってきてほしいアスリート
若手教員として職場に入ってきてほしいアスリートを聞くと、男性アスリートでは「大谷翔平さん」がダントツとなり、2位「石川祐希さん」「羽生結弦さん」、女性アスリートでは1位「池江璃花子さん」、2位「浅田真央さん」、3位「阿部詩さん」「北口榛花さん」「田中希実さん」「村上佳菜子さん」と、今年のパリオリンピック出場予定者が複数挙がる結果となった。
今、一番ほしいものは?
全回答者(2,000名)に、今、一番ほしいものを聞いたところ、男性・女性ともにTOP2には「お金」(男性291名、女性130名)と「時間・自由時間」(男性212名、女性148名)が挙がり、男性では3位「自動車」(95名)、4位「健康」(64名)、5位「家」(33名)、女性では3位「健康」(33名)、4位「家」(29名)、5位「休暇」(22名)となった。「時間・自由時間」や「休暇」、「健康」が上位に挙がっており、"業務過多・多忙""休暇が少ない""健康面が不安"と感じている人が多いのではないかと推察される。
業務における時短術・働き方ハックは?
全回答者(2,000名)に、限られた時間の中で効率的に業務をこなすために取り入れている時短術・働き方ハック(効率・生産性を上げることを目的にした「コツ」や「ノウハウ」)を聞いたところ、1位「優先順位をつける」(84名)、2位「ToDoリストを作る・タスク化する」(62名)、3位「隙間時間を活用する」(58名)、4位「IT・ICT(情報通信技術)を活用する」(51名)、5位「朝早く出勤する」(43名)となった。
男女別にみると、男性では1位「優先順位をつける」(52名)、2位「隙間時間を活用する」(38名)、3位「IT・ICT(情報通信技術)を活用する」(37名)、女性では1位「ToDoリストを作る・タスク化する」(37名)、2位「優先順位をつける」(32名)、3位「隙間時間を活用する」(20名)となった。
部活動の地域移行に期待していること
部活動の地域移行について質問した。部活動の地域移行とは、働き方改革の推進や少子化対策の観点から、主に公立中学校の運動部を対象に、部活動の指導を地域の団体など学校以外の主体が担うようにすることをいう。
全回答者(2,000名)に、部活動の地域移行について、どのようなことを期待しているか聞いたところ、「教員の負担が減る」(58.5%)が突出して高くなった。部活動の指導などに費やす時間が減り、教員の負担減少を図ることができると期待している人が多いようだ。次いで高くなったのは、「地域の専門的指導者の指導を受けられる」(31.5%)、「子どもたちの選択肢(部活動の種類)が増える」(26.9%)だった。専門的な指導を受ける機会の創出や選択肢の増加など、子どもにとってのメリットを期待している人も多いことがわかった。以降、「地域社会と学校の結びつきが強くなる」(20.2%)、「子どもたちの地域貢献・社会貢献意識が高まる」(16.1%)が続いた。
公立中学校の教員(480名)についてみると、「教員の負担が減る」は63.3%と、全体(58.5%)と比べて4.8ポイント高くなった。
教育現場への対話型AIの導入について
全回答者(2,000名)に、対話型AI(ChatGPTなど)の教育現場への導入について、メリットとデメリットではどちらが大きいと思うかをシーンごとに質問した。児童・生徒において、「授業中の学習」では、「非常にメリットのほうが大きい」が8.4%、「どちらかといえばメリットのほうが大きい」が46.2%で合計した「メリットのほうが大きい(計)」は54.6%、「非常にデメリットのほうが大きい」が9.8%、「どちらかといえばデメリットのほうが大きい」が35.7%で合計した「デメリットのほうが大きい(計)」は45.4%となった。「宿題や課題への取り組み」では「メリットのほうが大きい(計)」は46.0%、「デメリットのほうが大きい(計)」は54.0%と、導入に消極的な考えを持つ人が多数派となった。「自学自習」では「メリットのほうが大きい(計)」は60.0%、「デメリットのほうが大きい(計)」は40.0%となった。
他方、教員において、「授業の事前準備」では、「メリットのほうが大きい(計)」は73.4%、「デメリットのほうが大きい(計)」は26.7%となった。対話型AIを活用することで、授業に向けた準備を効率良く進めることができると考えている人が多いのではないかと推察される。「授業中の説明」では「メリットのほうが大きい(計)」は66.6%、「デメリットのほうが大きい(計)」は33.4%、「成績表や調査書の評価コメント作成」では「メリットのほうが大きい(計)」は68.0%、「デメリットのほうが大きい(計)」は32.0%と、どちらも導入に肯定的な考えを持つ人が多数派となった。
子どもに薦めたいテレビ番組
全回答者(2,000名)に、児童・生徒に最も薦めたいテレビ番組のタイトルを聞いたところ、1位「新プロジェクトX~挑戦者たち~」(66名)、2位「世界の果てまでイッテQ!」(35名)、3位「チコちゃんに叱られる!」(24名)、4位「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「ダーウィンが来た!」(いずれも21名)となった。また、9位には「3年B組金八先生」(16名)が挙がっており、長きにわたり評価されていることや根強い人気があることがうかがえる。
TOP3となった回答について、薦めたいと思う理由をみると、1位の「新プロジェクトX~挑戦者たち~」では「諦めないことの大切さを教えてくれる」、2位の「世界の果てまでイッテQ!」では「チャレンジすることの大切さを学べる」、3位の「チコちゃんに叱られる!」では「いろいろな分野について知ることができる」といった回答がみられた。
年代別にみると、20代と30代では「世界の果てまでイッテQ!」(20代7名、30代12名)、40代以上では「新プロジェクトX~挑戦者たち~」(40代14名、50代33名、60代16名)が1位だった。
子どもに薦めたい映画
児童・生徒に最も薦めたい映画のタイトルを聞いたところ、1位「ドラえもんシリーズ」(27名)、2位「ショーシャンクの空に」(26名)、3位「となりのトトロ」(25名)、4位「名探偵コナンシリーズ」(21名)、5位「いまを生きる」(20名)となった。
TOP3となった回答について、薦めたいと思う理由をみると、1位の「ドラえもんシリーズ」では「思いやりの大切さを伝えたい」、2位の「ショーシャンクの空に」では「生きる信念や自由の素晴らしさを学べる」、3位の「となりのトトロ」では「人を思いやる気持ちを感じることができる」といった回答がみられた。
年代別にみると、20代と30代では「名探偵コナンシリーズ」(20代5名、30代11名)、40代では「スラムダンクシリーズ」(8名)、50代では「いまを生きる」(10名)、60代では「となりのトトロ」(11名)が1位だった。
子どもに薦めたいYouTubeチャンネル
児童・生徒に最も薦めたいYouTubeチャンネルを聞いたところ、1位「HikakinTV」(16名)、2位「QuizKnock」(14名)、3位「中田敦彦のYouTube大学 - NAKATA UNIVERSITY」(12名)、4位「小島よしおのおっぱっぴー小学校」(11名)、5位「エガちゃんねる EGA-CHANNEL」「とある男が授業をしてみた」(いずれも6名)となった。
TOP3となった回答について、薦めたいと思う理由をみると、1位の「HikakinTV」では「思いやりがあり、ためにもなる」、2位の「QuizKnock」では「知識があることの楽しさがわかる」、3位の「中田敦彦のYouTube大学 - NAKATA UNIVERSITY」では「教養を身につけることの素晴らしさがわかる」といった回答がみられた。