独立を考える際、フランチャイズへの加盟を選択肢の一つにする方もいるでしょう。では、フランチャイズオーナーになるとどのくらいの年収が得られるのでしょうか。今回は、フランチャイズの主要な6業種におけるオーナーの平均年収をご紹介します。さらに、儲かるフランチャイズ本部の見つけ方についても解説しますので、フランチャイズオーナーを目指している方はぜひ参考にしてください。
■フランチャイズオーナーとは? どんな人が向いている?
<フランチャイズオーナーの業務内容>
フランチャイズオーナーとは、フランチャイズ本部と契約を結び、事業運営を行う経営者です。業務内容は加盟したフランチャイズによって異なりますが、一般的には以下のような幅広い仕事を一人でこなします。
・経営戦略の考案
・従業員の採用・教育・管理
・本部との連絡・相談
・商品やサービスの提供
・在庫管理や資金管理
・広告宣伝
「フランチャイズに加盟すれば、本部がほとんどのことをやってくれるだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし、店舗を経営していくのはあくまでオーナー本人ですので、一般的には、本部との連携を取りつつ経営戦略の考案から広告宣伝まであらゆる仕事を行う必要があります。
特に、従業員を雇わずに事業をスタートする場合、オーナーといえども運営に関わる全ての業務を一手に引き受けなければなりません。一方、従業員を雇う場合は、接客などの仕事を任せることができます。その際は、従業員の教育もオーナーとして欠かせない仕事の一つとなります。
<フランチャイズオーナーの平均年齢>
フランチャイズオーナーの平均年齢は、おおよそ45歳くらいと言われています。35歳〜55歳くらいのオーナーが多く、20代や60代以降の人は少ない傾向にあります。たとえば、大手コンビニチェーン「セブンイレブン」のデータを見てみると、オーナーの契約時の年齢は平均42.8歳で、20代が7.1%、30代が31.8%、40代が33.8%、50代以上が27.3%という結果になっています。
ただし、業種によってオーナーの平均年齢が高いところも低いところもあります。
<フランチャイズオーナーに向いている人・向いていない人>
フランチャイズに加盟するには開業資金を用意する必要がありますが、それだけでフランチャイズオーナーとして成功できるとは限りません。オーナーには、向いている人と向いていない人がいるからです。
フランチャイズオーナーに向いているのは、自己管理ができる人や本部の理念・方針に賛同できる人、そして決められたルールの中で工夫しながら経営ができる人です。
まず、フランチャイズオーナーには自己管理が求められます。本部は指導やサポートはしてくれますが、実際に店舗を経営するのはオーナー自身であるため、会社の上司のように細かい管理まではしてくれません。結果を出すためには、仕事の進捗だけでなく経営者である自分自身の健康やモチベーションもしっかり管理していく必要があります。
そして、フランチャイズで起業する以上、本部の理念や方針に賛同できる人というのも欠かせない点です。本部は加盟店の経営がうまくいくよう、これまでに培った経営ノウハウや成功・失敗事例などを提供してくれます。それらのアドバイスに素直に従い改善を繰り返していけば、経営を軌道に乗せられる確率は高まるでしょう。
また、フランチャイズに加盟すると、本部が決めたルールに従う必要があります。しかし、ルールはあっても全て本部任せにしていいというわけではありません。ルールを守りながらも、店舗の状況に応じて自分で考え、工夫しながら行動できる人がオーナーに向いていると言えます。
反対に、自己管理ができない人や本部の理念・方針に賛同できない人、全て自分の思い通りの経営がしたい人はフランチャイズオーナーには向いていないと言えます。フランチャイズオーナーを目指す前に、自分はフランチャイズに加盟すべきかどうかよく考えてみましょう。
■フランチャイズオーナーの平均年収は?
では、フランチャイズオーナーの年収はどれくらいなのでしょうか。ここでは、フランチャイズの業種として代表的な6つの業種におけるフランチャイズオーナーの平均年収をご紹介します。
<コンビニエンスストア>
どのコンビニチェーンに加盟するかによっても変わりますが、コンビニのフランチャイズオーナーの平均年収は約1,100万円とされています。日本フランチャイズ協会の「コンビニエンスストア統計調査月報」(2023年11月)によると、コンビニ1店舗あたりの月の売上は946万円ほどです。
コンビニのフランチャイズオーナーの手取りは、ロイヤリティや経費などを差し引き、売上の10%ほどと言われているため、単純計算では月94万6,000円、年収にして1,135万2,000円となります。
ただし、ロイヤリティはコンビニチェーンによって異なりますので、加盟を検討するコンビニのロイヤリティや収入の目安は事前に必ず確認しましょう。
<飲食店>
飲食店のフランチャイズオーナーの平均年収は、約500〜1,000万円と言われています。ただし、飲食店の中でもバーや居酒屋などは年収が高い傾向にあり、キッチンカー(移動販売)やテイクアウト・デリバリーは年収が低い傾向にあります。
飲食店のフランチャイズは、ロイヤリティが3〜6%程度と比較的低いのが特徴ですが、開業資金は最低でも20万円程度、最高では3,700万円程度とかなりの開きがあります。年収の目安だけでなく、開業資金についても説明会などでしっかり確認しておきましょう。
<学習塾>
学習塾のフランチャイズオーナーの平均年収は、約500〜800万円です。ただし、年収は生徒数が多くなるほど高くなり、生徒数60〜80人を超える塾であれば年収1,000万円を超えることも珍しくありません。
なお、学習塾の開業資金は約500〜700万円と比較的高額です。開業するにはある程度手元に資金が必要ですので、その点にも注意しましょう。
<ハウスクリーニング>
ハウスクリーニングのフランチャイズオーナーの平均年収は、約600〜900万円です。また、開業資金が0〜300万円と、他業種に比べて少なくて済むという特徴があります。
ハウスクリーニングは、開業前の研修が短期間であるためすぐに経営を始めたい人にも向いています。何より、少子高齢化や共働き家庭の増加で今後の需要も見込めるため、将来性のある業種と言えます。
<買取サービス>
買取サービスのフランチャイズオーナーの平均年収は、約700〜1,000万円とされています。買取サービスは成長市場であることから、オーナーの年収も押し上げられ、これよりも高い年収を得るチャンスもあります。
買取サービスは大きな店舗が必要なく、動き回ることも少ないことから、体力が心配な方でも始めやすいビジネスです。ただし、初期費用はそれなりにかかり、最低でも500万円程度は必要です。多くの資金を用意するのが難しい場合は、店舗を持たない出張買取で営業をスタートすることもできます。
<高齢者向け宅配サービス>
高齢者向け宅配サービスの場合、フランチャイズオーナーの平均年収は約300〜500万円と言われています。ただし、業績次第では1,000万円以上を期待することもできます。
少子高齢化が進む現代では、高齢者の単身世帯が増え、高齢者向け宅配サービスの需要も伸び続けることが予想されます。また、他業種と比べて低資金で開業でき、売上が小さいうちは自分で配達することで経費を抑えることもできます。
将来性の高い業種で初期費用を抑えて開業したい人は、高齢者向け宅配サービスを候補の一つにするのもいいかもしれません。
■儲かるフランチャイズ本部の見極めポイントは?
フランチャイズオーナーとして儲かる確率を高めるには、「どのフランチャイズ本部を選ぶか」という点も非常に重要です。最後に、儲かるフランチャイズ本部を見つけるポイントを4つご紹介します。
1.ブランド力の高さ
ブランド力が高く、消費者から広く知られているフランチャイズは儲かりやすい傾向にあります。知名度が高いと顧客が信頼感や安心感を持ってくれ、集客が楽になるからです。
ブランド力がそこまで高くなくても、加盟店オーナーの営業力が高ければ商品やサービスを売り込むことができます。しかし、営業力に自信のない人がブランド力の低い本部に加盟してしまうと集客に苦戦する可能性がありますので、気を付けましょう。
2.サポート・研修制度
儲かるフランチャイズ本部は、サポートや研修制度が整っています。未経験の業界でも、本部でしっかりとした研修が受けられれば安定した経営が可能になるでしょう。
特に、特殊な技術を必要とする業種では、開業前の研修だけでなく、開業後のサポート体制も重要です。中には、サポートがほとんどない、サポートや研修に別途費用がかかる、もしくはサポート期間に制限が設けられている本部もありますので、サポート・研修制度の詳しい内容は事前にしっかり確認しておきましょう。
3.ロイヤリティ
毎月の売上から本部に支払う、「ロイヤリティ」も重要なポイントです。ロイヤリティの割合や金額そのものだけでなく、支払う金額が加盟店として得られるサポート内容に見合うものかどうか見極めましょう。ロイヤリティが適切に設定されている本部ほど、儲かる可能性が高くなります。
なお、ロイヤリティの支払い方法には、主に以下の3通りがあります。
・売上に対して一定割合を支払う「売上歩合方式」
・粗利に対して一定割合を支払う「粗利分配方式」
・売上の額にかかわらず毎月一定額を支払う「定額方式」
ロイヤリティについては、支払い方法や毎月の支払額の目安、サポートとのバランスを確認しておきましょう。
4.テリトリー制の導入
「テリトリー制」とは、同じ地域における同フランチャイズの出店数を制限する制度です。テリトリー制が採用されていると、店舗数が多すぎて顧客の取り合いが発生するといった事態を防ぐことができます。一方、その地域でのみ営業ができる代わりに、他地域での営業活動が制限される可能性もあります。
テリトリー制の詳細については各本部で異なりますので、テリトリー制が採用されているかどうかだけでなく、採用されている場合はその内容も知っておきましょう。