独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は7月12日、モバイルバッテリー・携帯用扇風機・着火剤による事故を紹介し、注意を呼び掛けた。
モバイルバッテリーの事故
モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を使用している製品は、熱(暑さ)が苦手。暑くなりやすいところや、直射日光が当たるようなところに放置すると、バッテリーが熱暴走して、発火に至るおそれがあるという。2021年8月には、自動車内に置いていたモバイルバッテリー付近から出火し、周辺を焼損するという事故が起きている。
日本自動車連盟(JAF)の試験によると、真夏の車内はかなり高温になる。車を離れるときは、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を使用している製品を車内に放置しないことが大切。特に直射日光が当たっているとダッシュボードの上の温度は70度を超えることがあるという。なお、事故は真夏以外でも、天気の良い暑い日に発生しているため、真夏が過ぎた後であっても、車内放置は避ける必要がある。
携帯用扇風機の事故
リチウムイオン電池を搭載した携帯用扇風機が普及しているが、外部からの強い衝撃で電池内部が破損すると、破裂や発火につながるおそれがあるという。 2020年08月には、充電中の扇風機付近から異音がして出火し、焼損するという事故が起きている。リチウムイオン電池が内部ショートして異常発熱し、焼損したものと考えられる。
外部からの衝撃で、リチウムイオン電池内部の正極、負極を隔てる絶縁フィルム(セパレーター)が破れ、ショートすることにより異常発熱が起こり、内圧が上昇して電池が破裂・発火する場合がある。落とすなど、強い衝撃を与えないよう、注意する必要がある。
強い衝撃を与えてしまった後に、充電が行われない、充電中にこれまでよりも熱くなった、外装が膨張し変形した、バッテリーパックが膨張したなど異常を感じた場合は、直ちに使用を中止して、購入店又は製造・輸入事業者の修理窓口に相談するようNITEは勧めている。また、このような異常が発生した場合は、発火、破裂などの事故に備え、携帯用扇風機を金属製の缶などの保管容器に入れて保管することが望まれる。事業者による必要な措置が取られるまでは、決してごみとして携帯用扇風機を廃棄しないようにとのこと。
万が一、発煙・発火したときには、消火器での消火や大量の水を掛けるなどして、被害の拡大を防ぐ。大きな火炎により対処が困難と判断した場合は、直ちに避難するとともに119番通報を。
着火剤の事故
夏のレジャーの1つ、バーベキューの火起こしに絡む事故も発生している。2003年4月には、公園でのバーベキューで、残り火があるところにゼリー状の着火剤を使用したところ、「ボン」という音がし、直後に2~3メートル離れた場所にいた女性の衣服が燃え、他の2名もやけどを負うという事故が発生している。着火剤はメチルアルコールを主成分としたもので、揮発性があり引火しやすいことから、わずかな炎であっても、着火剤に火がつく前に揮発成分に引火し、続いて着火剤が急激に燃焼されることによって飛び散る等の可能性があるため、製品本体に燃焼中の継ぎ足しを禁止する旨が表示されているが、残り火がある状態で継ぎ足したため、着火剤が急激に燃焼し飛散した炎が衣服に着火したものと考えられる。
既に火が点いている炭に着火剤を継ぎ足した場合、大きな炎が上がり、やけどや火災に至る場合があるため、絶対に着火剤の継ぎ足しはしないよう、注意が呼び掛けられている。特に炎天下では着火剤の炎が見えにくいため、気づいたときには重傷になることがあるという。
危険な着火剤の継ぎ足しをしたことのある人は、炭・薪でのバーベキュー経験者では3割を超えるとの調査結果も出ている。
チューブ式やパウチ式の容器で販売される着火剤には、継ぎ足しを禁止する警告文が付けられているものが多いので、使用前によく読み、注意を払うことが大切。
また、新聞紙などに消毒用のアルコールを染み込ませ着火剤として投入した場合や、直接火元にアルコールをかけた場合、急激かつ爆発的に燃え上がり大変危険だという。昨年5月には死亡事故も起きている。