Armは7月10日(現地時間)、同社GPU向けの超解像機能「Accuracy Super Resolution(ASR)」を発表した。AMDがオープンソースソフトウェア(MITライセンス)で公開しているAMD FSR2を活用したことを明言している。

  • Arm、超解像機能「Accuracy Super Resolution」発表 - AMD FSR2からフォーク

超解像技術とは、ゲームなどでのレンダリングを映像出力よりも小さい解像度で行ってから、引き延ばすことでパフォーマンスを引き上げる機能のこと。NVIDIAではDLSS、AMDではFSR、IntelではXeSSがそれぞれ開発されており、超解像技術の採用は最新ゲームタイトルにおける潮流の一つになっている。

今回、Armもこの超解像機能を発表したという内容。とはいえ完全な独自開発ではないようで、商用にも改変して再配布できるMITライセンスで公開されているAMDの「FSR2」を採用したようだ。開発者はFSRの導入で使い慣れたAPIを活用でき、品質と性能のバランスに優れたテンポラルアップスケーラーを利用可能。Arm Immortalis-G720 GPUでのパフォーマンスについても紹介されている。

  • Arm Immortalis-G720 GPUを活用したフレームレート比較(2800x1260解像度)

また、Arm ASRでは電力効率も重視。ネイティブ解像度でのレンダリングではモバイルデバイスでサーマルスロットリングが発生することがあっても、Arm ASRを活用することでGPUの負荷を最適化してパフォーマンスを引き上げられるという。

  • 電力消費比較。品質を高めつつ消費電力を削減できる

  • プリセットはパフォーマンス、バランス、クオリティの3種類があるようだ

採用にあたってArmは、「AMDは寛容なMITライセンスで活動し、PCとコンソールの間に存在する格差に対処する負担を軽減するポータブルなソリューションを提供することを意図しています。このような価値観は私たちの関心を引き、モバイル向けの優れたソリューションとはどのようなものであるべきか自問するきっかけになりました」と言及している。

なお、Appleが導入を進めている「MetalFX Upscaling」もAMD FSR2がベースになっているらしい。AMD FSR2はオープンソースであるだけでなく、GPUメーカーもほぼ選ばないため、Armまで採用すると事実上スタンダードのような状況になっているといえそうだ。