世界では熱波が襲い、あちこちで猛暑という報道を聞く。しかし、ここフランスでは北極からの空気が流れ込み、6月というのに朝は10℃以下。最高気温も20℃に満たない日が続いており、「8月になる前にもう冬だね」というセリフがあちこちで聞かれるほど。そしてこの日は雨模様だった。
【画像】モンレリサーキットをロータスが所狭しと埋め尽くす!(写真42点)
第6回目を迎えたクラブ・ロータス・フランス主催によるロータス・フェスティバルがモンレリサーキットで開催された。この悪天候を英国の天気のようだとポジティブに受け止めてスタートした。
クラブ・ロータス・フランスは1983年、コーリン・チャップマンが他界した翌年に創設された。40年の間にフランスやベルギー、スイスなどフランス語圏からメンバーが集まり、今では1800人に成長している。このクラブが主催したクラブミーティングをパリ近郊の歴史あるサーキットで開催し、存分に走り回ってもらおうというものだ。参加者はメンバーだけでなく、イギリスやドイツのロータス愛好家も参加した。
ロータス一色に染まった会場の中央には、フランスのロータス・カーズが現行モデルを展示している。そういえば、パリの環状線を通るドライバー向けに、その環状線に沿って立つビル一面にLotus Eletreの巨大な広告が目立つ。エレクトリックカーに舵を切っているフランスを格好のターゲットとし、ロータスは本気だ。逆に、車に興味がない人からすれば、ロータスを知らず、新しいエレクトリックカーのブランドだと思うらしい。ちょうど同じ英国のMGのようだ。MGは好調のようで、かなりの数を見かける。
会場に話を戻そう。
圧倒的に多いのがロータスエリーゼ。数が多ければ、ノーマルのオーナーから本格的なレーシング仕様のものまでいる。サーキット走行でも、エリーゼが走らないときはないくらいだ。サーキットでのセーフティカーにもロータスが使われており、ロータス・エミーラが。メディカルカーにはロータス・エレトレが使用されている。多くのロータスエリーゼに紛れて、エヴォーラや2イレブンなども走る。もちろん、ケーターハム7もエリーゼに並んで多くが出走、参加している。
圧倒的に多い現代のロータスだが、サーキット走行では1グループだけ往年のロータスたちが走った。ロータスエランを筆頭に、ヨーロッパやイレブンが。コルチナはMk2が走行する。会場に目をやれば、ヨーロッパSやロータスエスプリ、ロータス エリート(Type 75/83)なども参加している。
どんよりとした空模様の中、時折強く降る雨。かと思うと急に明るくなり青空が見えてまた雲に覆われるという天候の中、フランス中から集まったロータスたちが1日を楽しんだ。「路面が濡れている方がタイヤの減りも少ないしね」
恒例のパリ横断「Traversée de Paris」は、この原稿執筆時にはパリオリンピックの影響で6月末に変更して準備が進んでいた。ロータスたちを撮影していると、オーガナイザーの一人から電話があった。開催1週間前になってパリ市内の走行が禁止されるというものらしい。大慌てで代替案を検討中で、パリ郊外の公園からヴェルサイユ宮殿に向けて走るコースを計画しているが、700台を超える車両を受け入れてもらえるのか?その顛末はいかに?
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI