テレビ東京開局60周年記念特別企画『孤独のグルメ』プロジェクト発表会見が、10日に都内で行われ、松重豊が登場した。

  • 松重豊

同作は、原作・久住昌之氏、作画・谷口ジロー氏による同名漫画の実写化作。2012年1月からテレビ東京で連続ドラマとしてシリーズ化され、食欲をそそる料理と井之頭五郎(松重)の大胆な「食べっぷり」や「心の声」に多くの共感が生まれ、その魅力にハマる人が続出。シーズン10までシリーズを重ね、長寿ドラマシリーズとなった。

松重豊、『孤独のグルメ』映画化&新作ドラマの制作を発表

この度、テレビ東京開局60周年特別企画として、「孤独のグルメ」プロジェクトが始動。2025年1月10日に『劇映画 孤独のグルメ』として映画化が決定し、10月4日からは多彩なキャストを主人公に迎えるオムニバス形式ドラマ『それぞれの孤独のグルメ』の放送も決定したことが明らかになった。

シリーズ初の映画化となる今回、12年にわたり主人公・五郎を演じてきた松重が監督・脚本・主演を務めることが決定。松重は監督・脚本に初挑戦となる。

同作の映画化について松重は「シーズン10というものが大きな節目だと思っていました。立ち上げ当初のプロデューサーは偉くなって、次のプロデューサーはNetflixに、その次のプロデューサーも辞めてしまって……僕に人望がないのか、予算的な問題かわからないですが、スタッフがいなくなってしまって」と切り出す。「次から次にシーズンを重ねてと言われても、人材を立て直さなきゃいけないという課題が2年くらい前にありまして、じゃあもうこの際、大風呂敷広げて映画化というのはどうかと。それがきっかけで今回の話にいたります」と明かした。

今回、主演のほかに監督を務めることについても「映画化するときにどういう監督にお願いしたらいいかと考えたときに、かつて『TOKYO! <シェイキング東京>』という作品で出演させていただいた韓国のポン・ジュノ監督が『孤独のグルメ』を撮ったらおもしろいんじゃないかと思って手紙を書いた」と話し、驚かせる。しかし、スケジュールの都合で実現しなかったそうで「さてどうしようと思ったときに日本の監督も頭に浮かんだんですが、日本の映画のシステムの中にテレ東のスタッフが飲み込まれてしまうのではないかという危惧があったので、僕が監督という形でやったらどうかと思った」と語った。

もともと俳優として活動する前に映画監督になりたかったという松重。「もともと映画監督になりたかったということを40年ぶりに思い出しまして。人前に出て何かするより、演者を支えるということの方がメンタルも安定してましたし、楽しかった」と初挑戦の監督業を振り返り、「この映画に最初から最後まで関わったというのが、僕にとっては非常に大きな財産」と話した。

報道陣の質疑応答で「監督を務めてみて難しかった部分は?」という質問が飛ぶと、松重は「難しかったところは……ずっと(五郎を演じるために)スーツを着ていなきゃいけなかったので、『監督でスーツ着てるやついないな』と思いながら(笑)。もっとラフな格好でディレクターズチェアに座りたかった」とこぼし、笑いを誘っていた。