第83期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、2回戦計17局の一斉対局が7月9日(火)に各地の対局場で行われました。このうち関西将棋会館で行われた都成竜馬七段―藤本渚五段の一戦は都成七段が103手で勝利。新鋭を下して今期1勝目を挙げました。
得意の雁木は通用するか?
C級1組デビュー戦を白星で飾った藤本五段を待ち受けるのは実力者の都成七段。序盤早々に雁木囲いを組み上げたのは藤本五段得意の作戦で、相居飛車戦に限れば直近7局連続での採用となりました。本局では右銀を自玉に引き付ける工夫を見せた形を採用しており、堅く囲える持久戦になれば自分の方が指せるという自信がうかがわれます。
対する先手の都成七段は矢倉囲いに組んで、こちらも堅さで対抗。7筋の位を取ったのが駒組みの主張で、後手の右桂の活用を制限する意味合いがあります。藤本五段がやむなく飛車先からの継ぎ歩攻めに出たところ、都成七段も右辺の端攻めで応戦して攻め合いを志向。盤面全体を使った戦いが始まりました。
都成七段堂々の見切り
小駒の手筋を駆使した難解な押し引きのなかで都成七段に好手が出ます。自陣の桂取りを手抜いて角取りに桂を打ち返したのが鋭い見切り。瞬間的に桂損でも攻防に働く後手の角を取り除くことができれば、自玉は自然と安泰になります。こうなると藤本五段は暴れるよりありません。
優位に立った都成七段の受けは最後まで冷静でした。攻めが一段落するのを見計らって2筋にと金をにじり寄ったのが反撃の合図。駒台には受けで手にした豊富な持ち駒があり攻め手には困りません。終局時刻は23時55分、最後は自玉の詰みを認めた藤本五段が投了。
これで勝った都成七段、敗れた藤本五段ともに1勝1敗に。都成七段―斎藤明日斗五段戦、藤本五段―片上大輔七段戦を含む3回戦は8月6日(火)に各地の対局場で予定されています。
水留啓(将棋情報局)