トップ棋士に現在の将棋界とそこでの戦い方を語っていただく本コーナー。第6回はA級昇級を果たした増田康宏八段に話をうかがった。歯に衣着せぬ発言が目立つ増田だが、活躍の裏にはさまざまな苦悩や葛藤があった。自分自身についてありのままに語ってくれた本インタビューで増田康宏という棋士の戦い方と人となりがよくわかると思う。

  • 今回の主役、増田康宏八段

    今回の主役、増田康宏八段

【インタビュー日時】2024年5月24日 【写真】上条幸一 【記】島田修二

※本文中の段位は将棋世界本誌掲載当時のもの

定跡で戦うか、力戦で戦うか

―本日はよろしくお願いいたします。

「よろしくお願いします」

―まずは現在の将棋界についてということで、いま行われているタイトル戦についてお聞きしたいと思います。まずは叡王戦から。ここまで挑戦者の伊藤匠七段が2勝1敗とリードしてタイトル獲得まであと1勝と迫っています。

「ここまでは伊藤さんがうまくやっている印象ですが、伊藤さんが力をつけてきたのか、藤井さんの調子が悪いだけなのか、まだはっきりとはわかりません。伊藤さんが勝ってタイトルを奪取したら本物だな、ということになると思います」

―伊藤七段の将棋についてはどんな印象ですか?