WeCapitalは7月5日、「定額減税とおこづかい相場」に関する意識調査の結果を発表した。調査は2024年6月21日~6月23日、20代~50代の男女1,007人を対象にインターネットで行われた。
定額減税の理解度はどのくらい?
物価高に賃金上昇が追いついていない現状を踏まえ、国民負担を緩和することを目的とした、定額減税が今年6月から実施された。定額減税では、納税者本人だけでなく扶養家族も対象となり、年間で1人あたり所得税が3万円、住民税が1万円減税される。今回の調査では、この政策が生活に与える影響について、令和の社会人が自由に使えるお金(おこづかい)をどのように使うかに焦点をあて実施された。
はじめに、「2024年6月から始まった定額減税の仕組みや背景を理解していますか?」と質問したところ、6割以上が「よく理解している(12.8%)」「何となく理解している(48.5%)」と回答した。「聞いたことはあるが、理解はしていない(34.5%)」と回答した人も3割程の結果となり、見聞きはしているものの理解はできていない人が一定数いることが示された。
「よく理解している」と答えた人に「定額減税についてどうお考えですか?」と質問したところ、「住民税に関しては一定の評価はあるが、総合的に考えれば給付がよかった」(30代/男性/会社員)、「仕組みが複雑で、物価上昇を補う金額メリットがないわりに事務的に負担感がある」(50代/女性/会社員)、「もっとわかりやすく還元してほしかった」(50代/女性/会社員)といった声が寄せられた。
「何となく理解している」と答えた人からは、「正直なところ、経済にどのような影響を及ぼすか想像できていない」(20代/男性/会社員)、「一時的なもので、電気代も上がると言われており何も変わらないと思う」(30代/女性/公務員)という意見が寄せられた。
「聞いたことはあるが、理解はしていない」と答えた人からは、「わかりにくい。徴収される税金額と比較して還元される実感がない」(20代/女性/会社員)、「現金還元の方がいい」(20代/女性/公務員)との声が。「聞いたこともない」と答えた人からは、「減税の実感がない」(50代/女性/会社員)、「よくわからない(50代/女性/会社員)との声が寄せられた。
経済にどのような影響を及ぼすのかわからないといった回答も出ており、一時的に増えたお金の使い道も明確になっていないことがうかがえる。
定額減税で増えたお金の使い道は?
「定額減税によって増えたお金はどこに充てる予定ですか?(上位3つまで)」と質問したところ、「生活費(56.2%)」と回答した人が最も多く、次いで「貯金(自分用)(34.3%)」「貯金(家族用)(16.8%)」と続いた。一方で、自分や子どものために使うなどの回答は1割程という結果に。一時的に増えたお金は、消費に使うというよりも生活費や貯金に充てるという人が多いことがわかった。また、1割未満と少ないものの資金運用の元金に充てるという人もいるようだ。
物価高における「おこづかい」相場
「自分のために使えるお金」に充てるという回答もあったが、自分のために使えるおこづかいは、物価高が始まる前と後ではどの程度変化しているのか。
「物価高が始まる前(2022年中旬頃)と比べて、おこづかいは変化しましたか?」と質問したところ、7割の方が「変わらない(70.1%)」と回答した。大半がおこづかい額に変化はないと回答した一方で、2割は「減った」と回答。生活費などの支出額が増えざるを得ない状況に、まずは趣味や娯楽にかかる費用を節約する様子がうかがえる。
令和の社会人、おこづかいは「~30,000円」が最多
20代~50代に「現在のおこづかいの金額を教えてください」と質問したところ、「~30,000円(38.5%)」と回答した人が最も多く、次いで「~10,000円(22.7%)」「~50,000円(14.7%)」と続いた。
「~30,000円」と回答した人が3割以上と最も多くなり、次に多かったのが「~10,000円」という結果に。コンビニやその他諸々値上げされている中、20〜50代の社会人が自由に使えるお金の額としては、そこまで高くないように思われる。
続いて、「過去最高のおこづかい金額はどのくらいですか?」と質問したところ、「~30,000円(28.9%)」と回答した人が最も多く、次いで「~50,000円(18.1%)」「90,000円以上(15.6%)」と続いた。
「~30,000円」と回答した人が最も多いものの、「~50,000円」や「90,000円以上」といった回答が上位にあがった。
おこづかいが足りないときってどうしてる?
おこづかいが足りないときはどのようにやりくりしているのか、具体的に聞いたところ、「配偶者と直接交渉する」(30代/女性/公務員)、「貯金を切り崩す」(30代/男性/会社員)、「生活費を削る」(30代/女性/会社員)、「副業」(40代/男性/会社員)、「昼食のグレードが下がる」(30代/女性/会社員)、「妻に前借り」(30代/男性/会社員)、「我慢するかフリマアプリを利用する」(20代/女性/会社員)などの声が寄せられた。
どちらかが管理している場合には、おこづかいの前借りを相談するなどしているようだ。さらには、我慢して使わないようにする人や、貯金や生活費を切り崩すという人、さらには副業で増やす人など、対策法はさまざまであることが示された。
毎月の貯金額「余裕がなくなった」の声も
「物価高騰が顕著になる前(2022年中旬頃から)と比較して、毎月の貯金額ついて最も当てはまるものを選択してください」と質問したところ、「変わらない(46.9%)」と回答した人が最も多く、次いで「余裕がなくなった(26.9%)」「まったく余裕がなくなった(12.6%)」と続いた。
毎月の貯金額について、変わらないと回答した人が4割以上と多いものの、「余裕がなくなった」「まったく余裕がなくなった」と回答した人も3割以上いた。定額減税が始まった後でも、貯金するお金は変わらず、貯金に回せるお金が少なくなっているのかもしれない。
6割が投資経験あり、始めたきっかけは?
「現在、投資をしていますか?」と質問したところ、「している(48.6%)」「過去にしたことがある(11.8%)」「したことはない(39.6%)」という回答結果になった。4割以上が現在投資を行っているようだ。また、現在は行っていないが過去に行っていた人も1割程度いることが示された。
前の質問で「している」「過去したことがある」と回答した人に、「投資を始めたきっかけは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、「老後資金のため(69.7%)」と回答した人が最も多く、次いで「勉強や趣味に使えるお金を増やすため(28.1%)」「生活費のため(24.5%)」と続いた。7割近くの人が老後資金のために投資を始めたようだ。また、勉強や趣味など自分のために使えるお金を増やすためや、生活費のために投資を始めた人もいることが判明した。少ないが、物価高の影響を受けて投資を始めた人も17.6%いるということから、資産形成の必要性を感じる人もいることがわかった。