米メディア大手パラマウント・グローバル社が、傘下のテレビネットワークの人員整理を実施。米MTVが長年手がけてきた「MTV News」もその影響で終了した(MTV JAPAN。約20年に及ぶ音楽記事がネット上から削除された後、非営利団体のインターネット・アーカイブがWayback Machine(ウェイバックマシン)を通じて過去のMTV Newsの検索と閲覧を可能にした。
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6月末、パラマウント・グローバル社がMTV NewsのWEBサイトを突如閉鎖したことにより、20年以上にわたる音楽記事やエンターテインメント記事が削除された。それからちょうど1週間後、インターネット・アーカイブはWayback Machineを通じて過去のMTVニュースを検索できるページを作成した。
このコレクションは、インターネット・アーカイブが長年にわたって蓄積してきた460,575以上のスナップショットで構成されている。このコレクションについて最初に報じたVariety誌によると、アーカイブされた記事は1997年まで遡ることができるようだが、MTV Newsが長年にわたって公開してきた全ての記事が残っているわけではない。また、アーカイブされたページの多くの画像も残っていないが、記事の原文はそのまま保存されており閲覧可能だ。
このMTV Newsのコレクションは、同サイトが閉鎖された際にインターネット・アーカイブがMTV Newsの創設者マイケル・アレックスに連絡した事をきっかけに生まれた。1994年から2007年にかけてMTV Newsを率いていたマイケル・アレックスは、このコレクションを「不完全だが、とても素晴らしい」と評し、コメントを付け加えた。「探していたものが見つかって、まるで宝物のようだ」
インターネット・アーカイブの創設者ブリュースター・ケールはローリングストーン誌にメールで次のようにコメントした。「インターネット・アーカイブはMTV NewsをWayback Machineを通して何十年にもわたって保存しております。MTV Newsの検索エンジンを利用し、記事の検索は可能ですが、完全な状態ではないことをお詫びします。インターネットの図書館として文化遺産を守り、資料を公開することが私たちインターネット・アーカイブの使命です。お役に立てれば幸いです」
非営利団体インターネット・アーカイブは、あらゆる種類のコンテンツ(デジタルとフィジカル)を収集し誰もが利用できるようにしているが、なかでも90年代半ばからインターネット上の資料を記録しているWayback Machineで最もよく知られている。長年にわたり、ユーザーや研究者がサイトをより簡単に調査できるよう、コレクションを作成してきた(MTV News以外ではGawkerやViceなどのアーカイブも存在する)。
昨年、パラマウント・グローバル社は大規模な解雇の一環として、長年続いたMTV News部門を閉鎖した。それ以降、同サイトは稼働していなかったが、6月24日の週に入りサイトの閉鎖が決定するまではアクセスが可能だった。パラマウント・グローバル社はMTV Newsの閉鎖とともに、CMTのサイトから数千の記事を、コメディ・セントラルのサイトからは数多くの動画を削除したようだ。
この削除決定について、パラマウント・グローバル社の担当者は、「パラマウント社全体にわたる大幅なWEBサイトの変更の一環として、より効率化されたシステムを導入しました。その結果として、MTV Newsのコンテンツは全てアーカイブに保存することになりました」と述べている。
インターネット・アーカイブは、コンテンツの保存プロジェクトでよく知られているが、同非営利団体は法的トラブルに見舞われたこともある。現在、インターネット・アーカイブは、書籍出版社と音楽著作権者から2つの著作権侵害の申し立てに直面している。