東京ガスは、7月4日に同グループの役員と人事担当者を対象とした生理痛体験研修を実施しました。働きやすい環境の整備を目的とした本研修会では、約20名の参加者が下腹部に貼付した電極パッドを通じて生理痛を疑似体験できるVR体験デバイスを用いて、生理への理解を深めました。
生理痛を体験することで行動へ踏み出す一歩に
中期経営計画にて“人的資本経営の実践”を掲げる同グループでは、DE&Iの活動を深化させ、なかでも女性活躍を端緒と位置付け、様々な取り組みを進めています。
今回、生理痛体験研修の実施に至った経緯として、昨年8月に開催したフェムテックセミナーの反響がきっかけとなったと同社 常務執行役員 DE&I推進担当の小西雅子氏は話します。「女性特有の健康課題に関するフェムテックセミナーの開催は、会社生活で一番と言って良いくらい終了後に反響がありました。セミナーを通して多くの社員の皆さんの認知と理解が進んだと思いますので、その次の行動に移していただこうと本日の研修を実施しました」
また、生理痛体験研修を発案した1人である人事部 安全健康福利室長 山田俊彦氏は、「(セミナーで)いろいろな体験談を聞くことで、自分自身も知識は上がったものの、実際に痛みに対してできていることがあるのかとずっとモヤモヤしていました。いろいろと調べている中で生理痛体験ができる研修をみつけて、Osaka Heat Cool社に連絡をしました」と、実現までの過程を説明しました。
Osaka Heat Coolが行う生理痛研修で使用されるのは、生理痛VR体験デバイス「ピリオノイド」という、下腹部に貼付した電極パッドを通じて“弱・中・強”の3段階に設定された筋電気刺激(EMS)を与えることで、生理時に生じる腹部の痛みを疑似再現する装置です。
先陣を切って体験をしたのは、同社 常務執行役員 CHRO 斉藤彰浩氏と執行役員 人事部長 五嶋希氏。早速“弱”モードから体験していくと「EMSのトレーニングギアみたい。まだ大丈夫だけど、表面でなく内側で痛むのか」と初めての痛みを体感し不思議な様子。
“中”モードにあげると、やや顔を歪めながら「これが数日続くとなるとたまらないですね」と一言。体勢によっても痛みが変わることを告げられると、椅子に座ったり、前屈みになったりと痛みの違いを確かめていました。
“強”に上げると「おお!」とその強さに驚いた様子。「これは結構厳しいですね。定期的に(痛みが)くるとなると憂鬱になりますね」「痛みに気持ちがいってしまうので仕事に集中できないと思います」と額にうっすらと汗を浮かべながら、会議中や旅行中を想定しながら痛みと向き合っていました。
体験を終え、五嶋氏は「この痛みがくると分かっていれば身構えられると思うのですが、それが一定の期間といいながらも、日中の仕事中にくるとか、重要な場面にくるとか考えると大きな影響があるなと率直に思いました」と体験した感想を述べました。
また、斉藤氏は「(痛みが)継続するというのと、どのタイミングでくるのか分からない中で生活しなきゃいけないのは本当に大変だと思う。女性特有の辛さを少しでも言いやすい環境づくりを具体的に繋げていきたい」と今後の展望を話しました。
今回の研修を終えてすぐに、体験者から自分の部署でも研修会を取り入れたいと相談があったのだそう。山田氏と共に今回の企画を発案した同社 人事部 人材戦略グループ 挑戦と多様性推進チームリーダーの宮沢有紀子氏は「実体験を通じて痛みを知ることで、自覚をして共感をして行動に移すというところを今日から取り組んでくれるのではないかと思っています。まさにその一歩を踏み出したと感じています」と、今後の期待と手応えを述べました。