JR東日本は4日、鉄道電気設備設計のDX推進を加速すると発表した。2022年度から導入した鉄道電気設備の設計ツール「Railway-Eye」について、新たに設計図面の自動作成機能、信号機等の見通し確認機能を追加し、設計作業時間の2割削減をめざす。
鉄道設備の調査はこれまで、夜間の限られた時間に、土木・電力・信号等の関係する係員が工事設計の都度、現地で計測し、設置位置の検討を行っていた。今後は3Dレーザスキャナおよびカメラ等で撮影した点群データや、それをもとに作成したBIMモデルを活用することで、机上での計測や検討が可能になるとのこと。
これにより、現地に行くことが最小限となり、業務の効率化につながるとしている。鉄道設備の設計についても、これまでは必要な図面と技術検討資料等をそれぞれ作成・管理していたが、BIMモデルを作成することで、さまざまな図面・資料を自動作成し、生産性向上を図るという。
鉄道電気設備設計に関して、2022年度から鉄道電気設備の設計ツール「Railway-Eye」を活用し、3Dモデリング・寸法計測・レイアウト検討を実施してきた。今回、3Dモデルに設備の諸元(規格・仕様・製造年月・メーカ等)と環境条件(風速・温度等)を加えたBIMモデルを作成することで、平面図や装柱図のような設計資料を自動作成する機能を追加したとのこと。
この機能追加により、設計条件や設計内容に変更が発生しても、BIMモデルのデータを修正することで、設計資料がすべて連動し、変更されるという。工事計画の変更が発生した際も、すでに取得した点群データを用いることにより、現地調査の省略が可能になる。これらの機能を活用し、図面作成・技術検討等の設計業務において、約2割の作業時間削減をめざす。
点群データやBIMモデルは、信号機等の設置位置検討でも活用される。これまで、信号機を新設・改良する工事において、運転士の視点から信号機を確認するため、夜間等に線路内に脚立を設置し、同じ目線を再現する作業が必要だったが、多くの労力と時間がかかっていた。
今後は現地の点群データを取得して「Railway-Eye」に取り込み、信号機の新設位置をBIMモデルとして配置することで、運転士の所定位置からの確認を「Railway-Eye」でできるようになる。遮へい物を自動認識するため、設置位置をシステム内で調整することも可能になるとのこと。
鉄道設備の設計・施工および設備維持管理において、今後、新たに構築した社内の共通データ基盤上で点群データやBIMモデルを部門間で相互に活用し、施工計画の可視化に加え、工程管理をよりスムーズに行えるように、さらなるDXを推進する計画だという。AI等を活用し、過去データとの比較で設備状態把握を実現することにより、設備の維持管理レベルも向上。これらを通じて質の高い鉄道サービスを提供し、サービス品質のレベルアップを図るとしている。