円相場が1ドル160円を超えて記録的な円安水準となっています。そんな状況でやってくる夏休み。「もう海外旅行なんて行けないのかな」と早々諦めてしまう人もいるでしょう。しかし、諦めるのはまだ早い! 世界にはたくさんの国があります。超円安時代の今でもお得に行ける海外旅行先をご紹介します。また、少しでも旅費を安くするためのコツも合わせてお伝えします。円安でもお得な海外旅行を実現させましょう。

  • 超円安でも海外旅行に行きたい!

    超円安でも海外旅行に行きたい!

海外旅行が高くなった理由

年に1回海外旅行に行っていたという人でも、コロナ禍では旅行を取りやめ、制限がなくなった現在は円安で気軽に行けなくなってしまったことで、久しく海外旅行をしていないという人は多そうです。「今後海外旅行は行けなくなる?」と不安がよぎりますが、海外旅行が高い理由を知れば、安く行ける方法を見つけることができます。

*円安の影響

一番大きな理由は円安でしょう。2010~12年は1ドル80円前後の超円高水準でした。その頃と比べると円の価値が半分になってしまったということです。ただし、ドルやユーロに対する円安が顕著であることは間違いありませんが、世界のすべての通貨に対して円安というわけではありません。アジア圏ではそうでもない国もあり、行き先次第で円安の影響を避けることができます。

<外国為替 2015年→2024年の変化>
・米ドル/円 2015年120円前後→2024年161円
・ユーロ/円 2015年140円前後→2024年173円
・豪ドル/円 2015年95円前後→2024年107円
・英ポンド/円 2015年180円前後→2024年204円
・トルコリラ/円 2015年50円前後→2024年4.9円
・韓国ウォン/円 2015年0.109円前後→2024年0.116円
・インドルピー/円 2015年1.9円前後→2024年1.9円
・中国人民元/円 2015年19円前後→2024年22円
・タイバーツ/円 2015年3.65円前後→2024年4.39円
・インドネシアルピア/円 2015年0.0092円前後→2024年0.0099円
※2024年7月1日時点の為替レートです

  • 外国為替 2015年→2024年の変化

*渡航先の国の物価高

円安の影響以外にも、渡航先の国の物価高も旅行費用の高騰の原因になります。アメリカはコロナ後の急激な需要の高まりによって、インフレが加速し、物価高騰が問題になっています。現在インフレ率は落ち着いていますが、それでも旅行先にアメリカを選ぶのは躊躇するほどの物価高です。そこで、日本より物価が安い国を選べば、旅費を節約できます。アジア圏は以前よりも物価が高くなったといっても、まだまだ日本と比べて物価が安い国が多くあります。そうした国を旅行先に選べば、現地での買い物や食事が安く済みます。

*航空券が高い

旅行代金の多くを占める航空券が高いのも海外旅行に足が遠のく原因となっています。コロナ前と比べて倍近くになっているケースもあります。原因はさまざまありますが、コロナ禍を経て、航空会社にとっての運航コストが上昇していることがあげられるでしょう。少しでも飛行機代を節約するなら、LCCなどの格安航空会社を利用するといいでしょう。また、航空運賃に上乗せされる「燃油サーチャージ」がかからない航空会社もあるので探してみるといいでしょう。そもそも日本から近い国にすれば、航空運賃は安く済みます。

円安でも行きやすいおすすめの旅行先6選

上記の理由から、海外旅行を安く済ませるには、円安の影響が少ない国、物価が安い国、日本から近い国となるでしょう。つまりはアジア圏となりますが、旅行先としてとても魅力的な国がたくさんあります。その中でも特におすすめの国を6つご紹介します。

なお、その国の物価を知るために「ビッグマック指数」を用いて、日本のビッグマックの価格と比較できるようにしました。ビッグマックは世界中にあるマクドナルドで販売されている世界共通の商品であるため、その国のおおよその物価が想像できます。ちなみに日本のビッグマックの価格は地域差はありますが、約486円(1ドル=160円で換算)です。

*韓国

羽田から2時間半で行ける韓国は、グルメにショッピングに美容と、大人気の旅行先となっています。昨今のインフレで物価は上昇傾向ですが、物価の体感は日本と同じくらいでしょう。ビッグマックの値段は、4.11米ドル=約658円となっており、日本より高くなっています。

航空券の予算: 往復2万円台〜
レート: 1000ウォン=116円(2024年7 月1日時点)
ビッグマックの値段: 658円

*台湾

台湾は、韓国に次いで近く、日本からの所要時間は3時間半~4時間ほどです。台湾の魅力はなんといっても豊かな食文化です。小籠包や魯肉飯、台湾スイーツなど、グルメ三昧な旅行を楽しめるでしょう。日本より物価が安く、ローカルなお店で食事をすれば数百円で済むこともあります。

航空券の予算: 往復3万円台〜
レート: ニュー台湾ドル1 TWD=4.9641円(2024年7月1日時点)
ビッグマックの値段: 382円

*マレーシア

他文化がミックスされたマレーシアは、クアラルンプールをはじめとする大都市、美しいビーチリゾート、熱帯雨林の大自然など、見どころいっぱいの国です。日本からクアラルンプール国際空港までの所要時間は直行便で約7時間半です。公用語はマレー語となっていますが、英語が準公用語となっているため、観光地などでは簡単な英語でのコミュニケーションが可能です。マレーシアの物価は日本の3分の1程度といわれていますが、アルコール類は酒税が高いため、日本よりも高くなります。

航空券の予算: 往復3‐4万円台〜
レート: 1リンギット=34.23円(2024年7月1日時点)
ビッグマックの値段: 445円

*タイ

バックパッカーに人気のタイは、物価が安い上にグルメ天国としても知られています。日本でも人気のガパオやカオマンガイ、パッタイなどのタイ料理は現地の屋台で驚くほどの安さで食べることができます。日本からバンコクは直行便で7時間程度です。タイの物価は日本の2分の1から3分の1程度といわれていましたが、ここ数年の物価上昇と円安の影響によって、旅行費用は上がり気味です。

航空券の予算: 往復4万円台〜
レート: 1バーツ=4.3944円(2024年7月1日時点)
ビッグマックの値段: 605円

*ベトナム

ベトナムは、北部は首都ハノイ、南部はホーチミンが有名ですが、ビーチリゾートや世界遺産なども多く、観光には事欠きません。日本からハノイまでは直行便で5時間半、ホーチミンには6時間程度で着きます。物価は日本のおよそ2分の1から3分の1ほどですが、コロナ前と比べて上がっています。商品によっては日本よりも高いものもあり、都市部や観光地は高めになっています。

航空券の予算: 往復3万円台〜
レート: 1000 ベトナムドン=6.3円(2024年7月1日時点)
ビッグマックの値段: 482円

*インドネシア

インドネシアには世界的なリゾート地バリ島をはじめとするアジア有数のビーチや仏教遺跡などがあり、エキゾチックな文化に触れることができます。日本からバリ島までは直行便で7時間半程度ですが、往復で12万円以上かかってしまうため、節約するなら乗り継ぎ便を利用するといいでしょう。所要時間が12時間程度かかりますが4万円台から行くことができます。

航空券の予算: 往復4万円台〜(乗り継ぎ便)
レート: 100ルピア=0.989円(2024年7月1日時点)
ビッグマックの値段: 389円

旅費を安くするためのコツ

海外旅行が高くなったといっても、工夫次第で費用を抑えることができます。ここでは旅行費用を節約するためのコツをお伝えします。

*オフシーズンを狙う

航空運賃や宿泊費は需要と供給の関係によって価格差が生まれるため、閑散期を狙えばリーズナブルな価格になります。オンシーズンとオフシーズンでは価格が3倍違うこともあります。旅行費用の多くが航空運賃と宿泊費で占めるため、円安による価格の上昇よりもオフシーズンのお得さの方が勝ることが多いでしょう。

旅行業界では一般的に、1月が一番安く、1月から8月に向かって徐々に値上がりしていきます。そして8月をピークに今度は12月に向かって徐々に値下がりしていきます。年末年始やゴールデンウイーク、お盆休みなどのオンシーズンは国内旅行に留めて、海外旅行はオフシーズンの土日と有給休暇を使って上手に計画を立てるといいでしょう。

*旅行先の選択を工夫する

たとえば、海外のビーチリゾートに行きたい場合に、ハワイを選択すれば、円安のデメリットを最大限に受けるでしょう。ビーチリゾートは世界にたくさんあります。フィリピンのセブ島やベトナムのダナン、インドネシアのバリ島などを行き先に選べば、費用をある程度抑えることができるでしょう。

*食事はローカルフードで

滞在費で多くを占めるのが食事代です。ホテルや観光地のレストランは高くつくので、滞在中は1回か2回に留めておき、現地の人が普段食べているローカルフードを食べるといいでしょう。安くて美味しい上に旅行の醍醐味を味わえます。ただし、現地で当てずっぽうに探すのはリスクがあります。衛生管理がずさんな店だったり、観光客を狙ったぼったりくりの店だったりすることがあります。今はネットの時代です。旅行に出発する前に、現地の安くて美味しい安全なお店を、実際に訪れた人のレビューなどを参考にして探しておくといいでしょう。

旅行は準備期間も含めて楽しいものです。さまざまな工夫によって円安時代でもお得な海外旅行を実現させましょう。