アサヒビールは、メキシコのホセ・クエルボ社のプレミアムテキーラ「1800 ミレニオ」を2024年7月2日から数量限定で発売。その発売に先駆けて、「プレミアムテキーラ 新商品発表会・試飲体験会」を開催した。
「現在の日本のテキーラ市場は、特にプレミアムテキーラと呼ばれるカテゴリを中心に目覚ましい成長を見せている」と、日本におけるテキーラ市場の現状を紹介するアサヒビール マーケティング本部 ワイン・スピリッツマーケティング部 部長の松橋裕介氏。「1800」テキーラブランドは、特に、都心部のエグゼクティブ層を中心に支持を集めているという。
そして、こうしたトレンドに合わせるため、「1800」テキーラブランドから、3年以上の熟成期間を経たエクストラアネホである「1800 ミレニオ」を日本市場に発売に至ったことの経緯を説明する。
●テキーラ市場は世界的に急成長
続いて、プロキシモ・ジャパン 社長のロリー・ブルエット氏が登壇。世界的にも急成長をみせるテキーラカテゴリーはこの20年間で約3倍増となっており、「ここまで成長しているスピリッツはテキーラを置いてほかにない」と断言する。このトレンドは世界最大のマーケットであるアメリカで始まり、日本にも波及。特にコロナ後に急速に伸びており、現在では世界第7位のテキーラ消費国になっているという。
テキーラには、スタンダード、プレミアム、スーパープレミアムといった3カテゴリがあり、中でも売上数量が伸びているのがスーパープレミアム。2018年は全売上数量の3%に留まっていたが、2023年には13%と大きく伸びている。さらに売上高で見ると、2018年には9%だったスーパープレミアムが、2023年には33%となっている。そして、「1800 アネホ」が、日本におけるプレミアム化の火付け役になっており、「1800」テキーラブランド全体を見ても、2015年の売上数量が約4,000ケースだったのに対し、2023年は約47,000ケースと大きな伸びをみせている。こういった土台ができているところに、「さらに良い、最高のものをお届けするには最高のタイミングである」とブルエット氏。
3年以上の熟成期間を必要とするエクストラアネホにカテゴライズされる「1800 ミレニオ」は、フレンチオークのコニャック樽を使用しているのが一番の特長で、IWSC(International Wine & Spirit Competition) 2024においてトップテキーラにも選ばれている。なお、「1800 ミレニオ」は2000年に北米で発売されたブランドで、次の1000年愛されることを願って「ミレニオ」と名付けられている。
テキーラは、原材料となる「アガベ(アガベアスール)」という植物からできており、アガベの糖分が51%以上使用されていることが条件だ。「1800 ミレニオ」は、アガベだけで作られた、アガベ100%の最高級品だという。
「1800 ミレニオ」はウェーバー・ブルー・アガベを100%使用。アメリカンオークの新樽で40カ月以上、その後はフレンチオークのコニャック樽で4カ月熟成されている。生産地であるメキシコのハリスコ州ハイランドは雨の多い土地で、フルーティーな香りが強めになるのが特長。色は暗めのアンバーゴールドで、アガベの香りが素直に伝わってくるが、これは格付けの高いテキーラならでは。しばらくすると木樽からくるウッディなニュアンスが感じられるが、これは最初の熟成期間にアメリカンオークの新樽を使っていたことに由来するもので、さらに時間が経つとバニラのニュアンスが漂ってくる。
口に含むと、最初はウッディな味わいからはじまり、しばらく経つと赤いベリー系のフルーツのニュアンスが感じられ、その後にシナモンのニュアンスが続くなど、次々と新たな発見が重なってくる。そして、心地よいフィニッシュに繋がる過程において、さわやかなミントチョコレートのようなニュアンスが湧き出てくる。ペアリングは、クリーミなチーズや砂糖を使った甘いお菓子にもピッタリ。ダークチョコレートはもちろん、アップルパイやクリームブリュレなどとの相性も良いという。
●グラスで味わいが変わる
日本初のテイスティングイベントとなる試飲体験会では、リーデル・ジャパン 代表取締役のウォルフガング・アンギャル氏が登壇し、3つのグラスを使用したテイスティングセミナーを開催した。
リーデルは300年に渡ってグラスを作り続けており、家族経営形態のグラス会社としては世界で最も古く、現在は11代目。デザイナーと協力関係を作り、新しいアイデアを盛り込んだ製品が特長で、見た目が美しいグラスから、役割と機能を持ったグラスまで幅広く手掛けている。
グラスに機能を背負わせるというのは、60年前の9代目による発想。グラスが変わると、同じ飲み物でも違った味わいになると強く感じた9代目は、プロフェッショナルな考えを持った人物で、そのような飲み物の特性と、人間が味覚を感知するときのメカニズムを徹底的に研究。その考えが受け継がれ、現在では、“それぞれの飲み物の可能性を最大に引き出し、最高の味わいをもたらすこと”を目的に、200種類以上の機能的なグラス、ファンクショナルグラスが作られている。
同社のテキーラグラスは、2001年にメキシコのテキーラ管理委員会から招かれ、「テキーラを飲むために一番理想的なグラスを作ってほしい」という要請を受けたことをきっかけに、徹底したリサーチによってできがったものであるという。テキーラグラスは、なにかひとつの特性だけを引き立たせるのではなく、テキーラが持つ潜在的要素をすべて、一番バランスよく表せる形状となっている。
ワイングラスに比べて小さくなっているのは、テキーラのアルコール度数がワインの3倍以上あるため。アルコールによって、ほかのアロマが消えることがないように、小さく作られている。実際、スニフターグラスだと少し強すぎると感じるアルコールも、テキーラグラスを使うとそよ風のように鼻へ抜けていくのがわかる。
また、グラスの形状によって口の中への流れ込み方が変わるため、味わいが変わってくるというアンギャル氏。テキーラグラスの場合は、自然と頭を後ろに傾斜させるようになるため、舌が上がり、上の歯の根本に近づくようになる。そして、自分の舌の中央の部分で味わいを感知し、それが広がっていくため、アルコール感は抑えられ、アフターテイストにドライフルーツやドライフラワーのようなニュアンスがふんわりと残る。
一方、スニフターグラスの場合は、すぐに舌の下側に入ってくるため、口蓋の中で味を感じる面積や重量感が変わってくる。実際、口の両脇の下のほうに直に入ってくるため、口が熱く焼けるような感じを受けてしまう。
また、シングルモルトグラスの場合は、テキーラの凝縮感が表現できず、緩く、弱いアロマになってしまう。これは、アルコールが飛んでしまい、アロマを下支えしてくれなくなるため。味わいは、スニフターグラスよりは良いが、そこまでの評価となる。
そして、日本で「1800 ミレニオ」のワークショップを行った際に、選ばれたのがコニャックグラス。「テキーラグラスはアガベの特色をストレートに出すが、スニフターグラスは残念ながらアルコールが強く残りすぎるし、シングルモルトグラスはすべての要素を表現しきれない。それに対してコニャックグラスは、アガベの味わいや香り、それからアルコールの調整もバランスが良く、樽の香りも十分に表現してくれるのが特長です」とアンギャル氏。
実際、日本はショットグラスのイメージが強いテキーラだが、現地メキシコではコニャックグラスなどで飲む方法も一般的だという。、グラスの形状によっても香りや味わいは変わってくるので、テキーラを愉しむ際は、グラスにも注目してみたい。
なお「1800 ミレニオ」は、7月2日より3,000本限定で発売予定。参考小売価格は、瓶750ml入りで28,380円。