JR北海道は28日、国土交通省へ鉄道事業旅客運賃の上限変更許可申請を行ったと発表した。この申請が認可された場合の実施予定日は2025年4月1日。初乗り運賃が現行の200円から210円となるほか、おもな区間の運賃も値上げとなる。
同社は2024年3月15日に国土交通大臣から受領した「事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」を重く受け止め、経営改善に向けた取組みをより一層深度化・加速化していく予定。しかし、道内の人口減少、リモート会議の普及等による鉄道運輸収入の減少、鉄道を維持するための修繕・設備投資費用の物価高騰による増加など、同社を取り巻く厳しい経営環境を踏まえると、現在の運賃・料金水準では輸送サービスを維持し、改善させていくことは難しい状況だという。
徹底した経費削減をはじめとする同社の最大限の経営努力を前提として、物価高騰への対応、人材の確保、輸送サービスの維持・競争力の確保のため、関係者からの支援とともに利用者にも費用の一部を負担してもらうため、運賃の改定を申請した。今回、同社の旅客運輸収入全体で7.6%(消費税込)の改定となるように申請。普通旅客運賃は平均で6.6%の改定とする。定期旅客運賃は普通旅客運賃の改定相当分を反映させた上で、割引率を見直し、平均で18.9%の改定となるように申請した。
札幌駅からおもな区間の運賃(普通旅客運賃)は、手稲駅まで現行340円から改定後360円、小樽駅まで現行750円から改定後800円、あいの里教育大駅まで現行440円から改定後470円、岩見沢駅まで現行970円から改定後1,040円、新千歳空港駅まで現行1,150円から改定後1,230円にそれぞれ値上げされる。なお、千歳線南千歳~新千歳空港間に設定している加算運賃は変更しない。
なお、特急料金・座席指定料金等の料金は改定しないが、新幹線の特別車両料金(グランクラスA料金のみ)について、車内サービスで提供する食品等の価格・人件費の上昇が課題となっていることから、今回の運賃改定と同時期に、届出により料金の引上げを実施するとしている。