俳優の市原隼人と陣内孝則が27日、都内で行われた『WOWOW×テレビ東京 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season2』(WOWOWプライム/WOWOWオンデマンド 毎週日曜22:00~)の完成披露試写会に、共演の淵上泰史、メガホンをとった波多野貴文監督とともに出席した。
WOWOWとテレ東による共同製作作品で、主演に向井理を迎え、先日最終回を迎えたSeason1は、近年ネットの普及と共に拡大し続ける様々な詐欺被害をテーマにした、正義と悪を使い分けながら法では裁けない悪を裁くクライムエンターテインメントとして話題を呼んだ。
Season1では、交番勤務の警察官・多家良啓介(向井)が、法では裁けない相手ばかりを狙う"詐欺師K"としての顔を持ち、法を超えて悪人を華麗に欺いていくが、市原演じるSeason2の主人公・田胡悠人は、巨大詐欺組織を喰らう詐欺師。かつて海外拠点の特殊詐欺で逮捕された経験を持ち、出所後に詐欺会社・ライドクリーンに入り込み、圧倒的な詐欺の知識とセンスを武器に、成り上がっていく姿を描く。
本作のオリジナル脚本を読んだ際の心境を聞かれた市原は「本当に難しかったです」と吐露し、「Season1ではテレビ東京さんが地上波ならではの作品を務めてくださっているので、我々はWOWOWにしかなしえない表現、手法で物語を深く掘り下げ、人物を深く掘り下げることによって、お客様に伝わるものがあると信じ、撮影の時間を紡いでまいりました」とコメント。
続けて、市原は「こんなに迷いながら、考えながら作品と向き合ったのは初めてかもしれません。答えを求めれば求めるほど、答えが遠くなっていくような感覚でした」と打ち明け、「僕自身の迷いをそのまま役に投影することが、1つの大きな役へのアプローチだと思いましたので、形ではなく心情や感情に深く入ることだけを考えて、見られ方よりも在り方を大切にしました。その中で生きるということも深く考えさせられました」と役を演じる上でこだわった点を明かした。
また、謎のサロンを主宰する詐欺師・海藤周を演じる陣内とは、映画『チェケラッチョ!!』(2006年)で親子役を演じて以来、約18年ぶりの共演だったそうで、陣内との久しぶりの共演に、市原は「すごく嬉しかったですね。少し大人になった自分を見ていただいて照れくささもありましたが、胸を借りるような思いで芝居をさせていただきました」と笑顔を見せ、陣内はこの日も陣内節で会場の爆笑をさらっていたが、撮影現場でも場を和ませていたそうで、市原は「なかなか役から外れられないので、現場に入ると下を向いてしまったり、会話を続けていられなくなるときがあったので、すごく申し訳ないなと思いました。もっとたくさんお話ししたかったです」と胸の内を明かした。
一方、陣内は「初めて会ったのが(市原が)19のときでしたが、もう出来上がっていたんですよ。ずっと主役を張っていく人だなという感じで、今回18年ぶり会ったんですが、大人としてすごくセクシーになっていて、役に対する熱量がすごいんですよ。主役を張る人はこうじゃないとという感じの熱量でした」と感心しつつ、「僕とベンガルさんと岩松了さんと橋本じゅんさんは緩いところがありましたね」とコメントして笑いを誘った。
さらに、詐欺師を演じたことにちなみ、嘘にまつわるエピソードを聞かれると、市原は「芝居をやってまだ25年くらいなので嘘っぱちなんですよね。虚像ですし、常に申し訳ない気持ちがあるので、それを払拭しようとして役にアプローチして深く入っていきたいと思うんですけど、なんだか特殊な職業だなといつも思っています」としみじみ。
陣内は「この作品に入る前に肺がんの手術をしまして、(役を)降りるかという話をしていたんですけど、『1週間手術と入院して、1週間自宅療養すれば仕事できますよ』ということで、ステージ2Aでしたが転移もなくて大丈夫でした。なんなら術前より元気なくらいですよ」と告白し、入院中にお見舞いに来たバンド仲間に「絶対黙っていてくれ」と約束したにも関わらず、1週間後に先輩から「博多のミュージシャンみんなが心配している」と連絡があったそうで、「博多の人間に正直に話しちゃダメですね。嘘をつかないとダメだと思いました」とにっこり。MCから「お元気で出演していただけてありがたいです」と声をかけられた陣内は、「恩に着るなら次の仕事ください」とお願いして会場を沸かせた。