JR西日本は27日、人機一体や日本信号とともに開発を進めてきた多機能鉄道重機について、2024年7月以降、JR西日本グループの西日本電気システムが営業線での鉄道設備メンテナンスにおいて使用開始すると発表した。
高所で人が実施している多様な設備メンテナンスに対応する汎用性の高い作業用機械をめざし、2020年から多機能鉄道重機の開発を進めてきた。JR西日本、人機一体、日本信号の3社が共同研究開発した高所重作業ロボットPoC試作機「零式人機 ver.2.0」をベースに、試作機に使用された人機一体の特許技術等のライセンスをメーカーである日本信号に提供し、製品化。鉄道設備メンテナンスにおける高所重作業を解消し、生産性、安全性の向上を図ることを目的として、西日本電気システムにより運用される。
多機能鉄道重機は、道路・線路の両方を走行可能な鉄道工事用車両に、人に代わって作業を担う人型ロボット、人型ロボットを広範囲移動を担うブーム、人型ロボットとブームの操縦装置を搭載。インタラクティブ作用により、直感的な操作や多様なツールの装備が可能で、重量物(最大40kg)の把持と高所作業(最大12m)が行える。当面は架線支持物の塗装や支障樹木の伐採に使用するとのこと。
導入効果としては、生産性の向上により作業に要する人手が約3割減少するほか、作業の機械化で安全性が向上することにより、労働災害(墜落・感電)ゼロをめざす。性別や年齢によらず高所での重作業に従事することも可能になり、多様な人財の就業環境の創出が期待されている。