第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定トーナメントが開幕。6月26日(水)には1回戦の木村一基九段―増田康宏八段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、難解な終盤戦を制した増田八段が136手で勝利。見事な逆転劇で2回戦進出を決めています。

最終盤にハイライト

本局は先手の木村九段優勢で迎えた最終盤にドラマが待っていました。木村玉は薄い形ながら数枚駒を渡しても詰みはない形。対する後手の増田玉は4枚の金に守られた堅陣ながら、すぐそばに飛車・角・と金と3枚の駒に迫られており、落城は時間の問題と思われました。

ともに一分将棋間近の局面で木村九段が選んだのは後手玉から一番遠くにいる金を狙う桂打ち。確実な攻めではあるものの、結果的にこの手が敗着となり攻め合いの速度が逆転しました。代えては角を切って玉のすぐそばにいる金をはがす手が正しく、それなら詰めろが続く形でした。

増田八段が逆転で2回戦へ

九死に一生を得た増田八段は桂打ちの間隙を縫って遊び駒の竜を活用。続いて質駒の角を外す決め手で混戦を抜け出すことに成功しました。広そうに見えた木村玉も竜と角の2枚ににらまれると途端に狭くなった印象で、銀打ちからの詰めろが容易に受かりません。

終局時刻は20時7分、最後は自玉の受けなしを認めた木村九段が投了。クラシカルな相矢倉の持久戦に進んだ本局は両者の力が出る攻め合いに進んだのち、スリルあふれる終盤の攻防での決着となりました。勝った増田八段は次戦で黒田尭之五段と顔を合わせます。

水留啓(将棋情報局)

  • 第48期にはベスト8まで進出した増田八段、今期は挑戦まで駆け上がれるか

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