SixTONESの京本大我が単独初主演を務める映画『言えない秘密』が、6月28日から公開される。本作は台湾のヒット映画を原案として製作された作品。伝統ある音楽大学を舞台に、過去の出来事からトラウマを抱えた湊人(みなと)と、どこか謎めいた雰囲気のある雪乃(ゆきの)が運命的な出会いを果たし、次第に惹かれ合う姿を描く。

今回は、主人公の音大生・湊人を演じる京本にインタビュー。謎めいたタイトルを持つ本作の魅力や、古川琴音演じるヒロイン・雪乃との関係性、演技へかける思いについて話を聞いた。

  • 京本大我 (C)2024「言えない秘密」製作委員会

映画『言えない秘密』で主人公・湊人を演じたSixTONESの京本大我

――最初に脚本を読まれたときの印象を教えてください。

湊人と雪乃の関係性があまりに儚くて美しすぎて、自分が演じられることをすごく光栄に感じました。事前に台湾版の映画を観ていたので、比べるとよりノスタルジックで繊細な世界観で、そこも演じがいがあるなと思いました。

――湊人というキャラクターは京本さんの目にはどんな風に映りましたか?

ザ・等身大の男の子。留学で挫折を経験したりトラウマを抱えたりすることって多かれ少なかれ誰にでもあるし、父親に対してのぎこちない距離感なんかも、年頃だと結構あるじゃないですか。すごくリアルな大学生の男の子だなと思ったので、特別個性的に仕上げようとは思わず、自然体でやらせてもらいました。

――湊人に共感できるポイントや自分に重なる部分はありましたか?

夢を追いかけている姿は自分と重なる部分でもあるし、挫折も完全にしたことはないけれど、しかけたことはいくらでもあったし、湊人を演じる引き出しは多かったと思います。雪乃とも、あれだけ自然体で恋愛できるというのは理想ですよね。

――京本さんとしても雪乃は魅力的な女の子?

そうですね。雪乃の存在で湊人は挫折から立ち直ってもう1度夢をつかもうとする、湊人のことを導いてくれるような存在なんですけど、アプローチの仕方がすごく上手で。厚かましくない、程よいノックをしてくれるので、「そりゃ湊人も惹かれるよな」という。

2人の関係性も、恋愛なんだけどただの恋愛ともちょっと違って。一緒にいてキュンとするとかそういうことを求めるんじゃなく、もっと深いところでわかりあって繋がれる相手なんだろうというのは、序盤から感じていましたね。親友にも近いような、いろんな意味でのパートナーという存在です。

――2人で過ごすシーンは物語の中でもたくさんありますが、特に印象的な場面はありますか?

たくさんあるんですけど、具体的に思い出そうとして記憶をたどっていくと、例えばゲーセンのシーンでは空き時間も琴音ちゃんと本当にそのままゲーセンで遊んだりしていたので、「本当の撮影と空き時間に遊んでたのと、どっちの記憶だっけ?」みたいになっちゃうんです。2人の空気感が変わらなすぎて。そういう意味では、2人のシーンはどれもナチュラルに和気あいあいとできたのかなと思います。

――お互いを「こっちゃん」「きょも」と呼び合っていたとか。

はい。古川さんが普段「こっちゃん」と呼ばれてるという話から、俺はファンの人から「きょも」って呼ばれてるよ、じゃあ……と。2日目くらいからその呼び方になってましたね。

――それは自然にそうなったんですか?

どの作品でも、入ったら毎回あだ名から聞くようにしてるんですよね。自分からしゃべらないと「京本さんって寡黙なのかな」とヒロインの方に気を使わせちゃうので。

――そんなお二人の関係性がお芝居にも表れていたと思います。演じる際に意識したことはありましたか?

河合(勇人)監督が段取りをすごく丁寧にやってくださる方なので、2人のシーンもお互いがスムーズにやれるまで、目線や立ち位置、距離感などかなり細かく確認しながらやりました。湊人のピアノに対する気持ちが変化する過程や、雪乃との距離感とか、じっくり向き合えたと思います。

――湊人と雪乃が連弾するシーンは、特に物語を象徴する場面だと感じました。

あれは湊人にとってもすごく大切なシーンだったので、特に時間をかけて1カットずつ段取りをやりました。連弾って勝手に難しそうだなと思っていたんですが、誰かとハモったりギターでセッションしたりするのと同じで、言葉じゃないからこそ距離がぎゅっと縮まる魔法のようなものを感じて。

だから、演奏がうまくいくと思わず琴音ちゃんとハイタッチしたりしてたんです。役をまとい合っているのにお互い心が通じ合った芝居ができたのも、ピアノを通じて分かり合えて、一緒に奏でる楽しさがあったからこそだと思います。

SixTONESメンバー「こんな良い曲を持ってきてくれて、ありがとう」

――今回はピアノもほぼ未経験からの挑戦だったそうですが。

簡単なコード弾きができるくらいで、クラシックは全くやったことがなかったんです。マネージャーからある日突然「ピアノ弾けるよね?」と聞かれて。「簡単なコード弾きくらいは」「クラシックは無理なの?」「無理です」というやりとりをして、その後は音沙汰がなかったのであの会話はなんだったんだろうと思っていたら、今回のお話をいただいて納得しました(笑)。監督との顔合わせで「ぜひご自身で弾いていただきたい」と言ってもらって、撮影の3カ月以上前から練習に入りました。

――役を通して新しいものに触れるというのは、ご自身ではどんな風に感じられていますか?

めちゃくちゃ楽しいです。役を通して自分の知らない世界に触れられるし、「こんな経験もできるんだ」と思うし。自分の中のマルチバースを味わってるような感覚がすごい楽しいんですよね。

――今回は主題歌もSixTONESが担当されていますね。

この前MVを撮影したんですが、(森本)慎太郎が「こんな良い曲を持ってきてくれて、ありがとう」と言ってくれて。SixTONESのファンもそうですけど、メンバーにも見てもらいたいなと思います。

――普段メンバーの方の作品はお互いに見たりしますか?

しますね。ジェシーが結構マメに見てくれて、この前も『お迎え渋谷くん』(カンテレ・フジテレビ系)を観て感想を言ってくれました。「1話から展開早くない?」って。普段は俺から自分の作品見てなんて言わないから、急に言うのはこっぱずかしい気もしますけど(笑)

――映画館で実際に観て、みなさんの感想を聞くのが待ちきれませんね。

撮影から1年、公開をずっと楽しみにしていたので、公開が始まったらめっちゃエゴサしちゃいそうです(笑)。今年の夏も暑くなってくると思いますが、その中に心地よい涼しさと余韻がしっかり残る素敵な作品になっているんじゃないかと思います。

■京本大我
1994年12月3日生まれ、東京都出身。SixTONESのメンバーとして、2020年にCDデビュー。最近の出演作には、映画『TANG タング』(22年)、ドラマ『束の間の一花』(22年)、『ハマる男に蹴りたい女』(23年)、『お迎え渋谷くん』(24年)などがある。また、ミュージカル『エリザベート』(15、16、19年)、『ニュージーズ』(21年)、『流星の音色』(22年)、『シェルブールの雨傘』(23年)などミュージカルでもキャリアを着実に積み、2024年8月からは『モーツァルト!』で帝国劇場初主演(Wキャスト)を務めることが決定している。

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