携帯電話の普及は、テキストでのコミュニケーションの増加を招きました。音声通話と比較すると文字入力という負担は生じるものの、わずかなデータ量で意思疎通を図れるうえに、記録として残しやすい、内容を通覧しやすいなどのメリットがあります。やがて絵文字・顔文字も登場し、表現の幅はさらに広がりました。
通信技術が向上すると、リッチコンテンツへのニーズが高まり、文字だけで構成されるメッセージング規格(SMS)にくわえて画像を添付できる「MMS」が整備されました。SMS/MMSと併記されるように、両サービスは携帯キャリアの基本サービスと考えられています。
そしてスマートフォンの普及が進むと、LINEに代表されるようなSNSのメッセージングアプリが現れました。アニメーションやスタンプなど扱えるコンテンツが増えたほか、位置情報やファイルの共有といったスマートフォンならではの要素も考慮されるようになっています。
RCS(Rich Communication Service)は、テキストはもちろんファイルの送受信やコンテンツ共有までカバーする、SMS/MMSの進化形といえるメッセージングサービス規格です。モバイルデータ通信を利用しますが、SMSと同様に携帯電話番号を宛先として使用できます。
GoogleメッセージでサポートされるなどGoogleが積極的に推進してきた経緯があるほか、日本では国内大手キャリア3社で利用できる「+メッセージ」、楽天モバイルが提供する「Rakuten Linkアプリ」でRCSが採用されています。
iPhoneでも、2024年秋に公開予定のiOS 18でRCSがサポートされます。2024年6月現在詳細は明らかにされていないものの、Androidなど他プラットフォームとのやり取りを含め通信内容は暗号化され、画像や動画付きのメッセージを送受信できるようになることが見込まれています。