モトローラ・モビリティ・ジャパンから6月28日に発売予定のAndroidスマートフォン「moto g64 5G」をお借りして試用しました。直販サイト「MOTO STORE」における価格では34,800円と手頃なミドルレンジモデルで、おサイフケータイにも対応しています。
強力なライバル機種も多い売れ筋の価格帯に投入された新機種ですが、どんな端末に仕上がっているでしょうか。さっそく実機をチェックしていきましょう。
先代モデルを踏襲したシンプルなデザイン
先代の「moto g53j 5G」(2023年6月発売)と見比べると、日本向けモデルを示していた「j」の文字が消えていますが、ポジションは変わらず、FeliCa対応やIP52相当の防塵・防滴性能を備える点は同様です。
すでに「motorola edge 40」や「motorola razr 40」のような上位機種でもFeliCa対応などのローカライズが進んでおり、あえてgシリーズだけネーミングを変える必要もなくなってきたということでしょう。
カラーバリエーションの違いはありますが、本体のデザインはg53jのものを踏襲しています。背面・側面ともにフラットな板状のボディに、ボタン配置やマット仕上げの質感なども同様で、カメラ周りの装飾やDolby Atmosロゴの印字位置などが若干変わっているくらいでしょうか。好き嫌いの分かれにくいシンプルなデザインだと思います。
ただし、ワイモバイル版の「moto g64y 5G」のみに用意される限定カラー「バニラクリーム」はひと味違います。こちらは背面パネルがレザー風の仕上げに変更されており、edgeシリーズやrazrシリーズのようなワンランク上の質感が魅力です。
SoCはQualcommからMediaTekに変更、メモリに余裕があるのはうれしい
moto g64 5Gの主な仕様は以下のとおり。moto g64y 5Gもほぼ同様ですが、メモリ容量のみ8GBから4GBに変わります。
- OS:Android 14
- SoC:MediaTek Dimensity 7025
- メモリ(RAM):8GB
- 内部ストレージ(ROM):128GB
- 外部ストレージ:microSDXC対応(最大1TB)
- ディスプレイ:6.5インチ液晶 2,400×1,080(フルHD+)リフレッシュレート120Hz
- アウトカメラ:約5,000万画素 F1.8 OIS PDAF対応+約200万画素 F2.4(マクロ)
- インカメラ:約1,600万画素 F2.4
- 対応バンド(5G):n1/n3/n28/n41/n77/n78
- 対応バンド(4G):1/2/3/4/8/11/12/17/18/19/26/28/38/41/42
- SIM:nanoSIM+eSIM(DSDV対応)
- Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac
- Bluetooth:5.3
- バッテリー:5,000mAh
- 急速充電:最大30W
- 外部端子:USB Type-C(USB 2.0)、イヤホンジャック
- 防水/防塵:IPX2/IP5X
- 生体認証:指紋認証、顔認証
- その他の機能:NFC/FeliCa対応
- サイズ:約161.56×73.82×7.99mm
- 重量:約177g
- カラー:スペースブラック、シルバーブルー
g53j 5Gからg64 5Gにかけてのスペックの変更点では、まずSoCがQualcomm Snapdragon 480+ 5GからMediaTek Dimensity 7025に変わったこと、そしてディスプレイ解像度がHD+からフルHD+に上がったことに注目です。
Qualcomm製SoCからMediaTekへの変更となるとややマイナスなイメージを持たれがちですが、ゲームを遊ぶ上での最適化の問題や高度なカメラ機能を利用するための画像処理プロセッサ(ISP)の性能差が目立ってくるミドルハイ以上の場合はともかく、このクラスの機種では実用上の不利益はないかと思われます。パフォーマンスも十分で、ベンチマーク上はほぼ同等か若干高速化されたぐらいの違いです。
その代わり……というわけでもないでしょうが、ユーザー体験に直結するディスプレイがアップグレードされたのは評価したい点です。HD+からフルHD+になったことで多くの配信サービスで動画コンテンツをフル解像度で楽しめるようになりましたし(もちろんWidevine L1対応です)、元々優秀なDolby Atmos対応ステレオスピーカーを搭載されているのと相まって、動画視聴には適しています。
また、よりコストにシビアなキャリア向け製品では少し事情が違いますが、最近のモトローラ製スマートフォンは、本機種より下位の「moto g24」なども含めて、メモリ容量を潤沢に確保する傾向が見られるのもうれしいところ。オープンマーケット向けのg64 5Gには8GBのメモリが搭載されます。
カメラは広角+マクロの構成で、超広角や望遠は無いのが惜しいものの、メインカメラに関しては5,000万画素F1.8で光学式手ぶれ補正(OIS)やPDAFにも対応しており、ハードウェアの性能としては十分なものが奢られています。デジタルズームも、ワンタップで切り替えられる2倍までなら実用域という印象です。
ライバル機種と比べて選ぶメリットは?
冒頭でも触れたように、3~4万円のミドルレンジスマートフォンはMVNOやサブブランドでは売れ筋といえるクラスで、多くのメーカーがコストパフォーマンスに優れた機種を戦略的に投入しています。
現行製品のなかでライバルになりそうなのは、シャオミの「Redmi 12 5G」(29.800円)や「OPPO Reno11 A」(43,920円)あたりでしょうか。これら3機種の比較で言えば、価格の安さやQualcommの新世代エントリーSoCを搭載している点ではRedmi 12 5Gが優位ですし、少し価格は上になりますがカメラ性能や防水等級、67W急速充電やnanoSIMデュアル対応などはOPPO Reno 11 Aが優れています。
moto g64の長所としては3機種の中では唯一ステレオスピーカーを備えることや、メーカー独自のUIカスタマイズが控えめで素直な仕様であることなどが挙げられます。
また、実際には端末割引を含めて考えた方が良い場合も多いでしょう。moto g64 5GはIIJmioならMNP特価7,980円で購入できますし(9月2日まで)、価格や割引施策がまだ発表されていないワイモバイル版の動向も要チェックです。