Netflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(6月27日配信)で主演を務めたKing & Princeの永瀬廉がこのたび、本作の魅力や撮影の裏話など語った。
森田碧氏によるベストセラー小説『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』(通称『よめぼく』)を映像化。余命1年の宣告を受けた主人公・早坂秋人(永瀬廉)と余命半年の宣告を受けた桜井春奈(出口夏希)が出会い、恋をして、限られた時間の中で今を懸命に生きる姿を描く。
――演じられた秋人というキャラクターについて、どのように感じられましたか?
物語の始めの方はいきなり余命宣告を受けて、気持ちは真っ暗だったと思います。何に希望を見出していいか分からない時に、春奈という光に出会う。ただ最初は純粋な興味だったと思うんですよね。「この子はなんで死ぬことが怖くないんだろう?」って。でも2人の距離がだんだん縮まっていくにつれ、秋人は気持ちを言葉で伝えるよりも行動で示すタイプの子なのかなと思いました。不器用ではあるけど、毎日春奈の病室に通ってお花を持って行ったり、文化祭に春奈を連れ出したりとすごく漢気がある。本来は自分のことでいっぱいいっぱいのはずなのに、残された時間を春奈のために全部使おうとするところは優しいなと思いました。それくらい春奈の存在は大きい光だったんだろうなとも思うし、ある意味で春奈との時間にすがっていたのも秋人らしいなと。結局秋人は春奈と出会ってから最後の瞬間まで、春奈のことだけを一番に考えていたと思います。
――秋人は春奈のことをいつ本当に好きになったと思われました?
気付いたら好きになっていた……という感じだと思います。まずは興味から始まって、彼女の内面を知ってからはどんどん好きになっていったんだと思います。お互いに余命があるという共感は秋人にはあっただろうし、春奈は春奈で秋人は初めて「魔法の言葉」が効かなかった相手ですし。出会うべくして出会った2人だと思うし、“運命”という言葉が似合う2人だなと思います。
――秋人は決して“陽キャ”ではありませんが、共感するところはありましたか?
ありました。僕もどちらかと言うと言葉より、行動で示すタイプなので。ただ秋人のまっすぐさには勝てない! 高校生だからということもあるかもしれませんが、自分の「好き」という気持ちにどこまでも素直になれる秋人は見ていて気持ちがよかったし、尊敬もできました。春奈も含めて、「生きている」ということを強く実感させてくれる2人だなと思います。死が近くに常にあるからこそ輝くものがある……。それを体現している2人だなと。この2人は普通の人よりもすべての事柄に対して、時間がないわけじゃないですか。だからひとつひとつの時間、事象、感情などに対してかける熱量が違うんです。2人ともがそうだからこそ、見ている人の心がより動かされるんじゃないかなと思います。
――久々の高校生役でしたが、役作りなどで意識したことがあれば教えて下さい。
外見で言うと、少し幼く見えるように前髪はかなり短めにしました。確かに高校生役は久しぶりでしたが、衣裳合わせで制服を着た時「まだ高校生役いけるね」と周りの方々に言われたので、その言葉を信じました(笑)。
――春奈役の出口夏希さんの印象は?
ほんまに透明感がすごくある方でしたね。春奈のちょっといたずらっ子っぽいところ、天真爛漫な雰囲気をすごく魅力的に引き出してくれたし、ふたを開けてみると秋人以上に感情豊かな春奈になっていました。春奈の素直さ、まっすぐさに秋人も感化されていったんだろうなと感じます。ただ春奈は普段は気丈に振る舞っているけど、心の中で絶対に不安はあったと思います。それを秋人も分かっているから、同じ気持ちを共有していくんです。強さもあるけど、17歳の女の子らしい儚さもある春奈を、出口さんは等身大の魅力で演じてくれたので、僕もリアルに春奈を感じられてありがたかったです。
――出口さんと春奈は永瀬さんの中でリンクしていましたか?
出口さんの方がもっとはしゃぐというか、キャピキャピはしていますね(笑)。でも春奈を演じる時はいいバランスで抑えてくれていたので、普段の彼女とはまた違う感じで。人の気持ちを明るくさせてくれるところは春奈と共通していたし、現場に出口さんがいるだけで皆が和まされていました。
文化祭シーンを満喫「テンションが上がりまくっていました(笑)」
――撮影で印象に残っているシーンを教えて下さい。
病室から別々で見る花火のシーンは切なくて印象に残っています。あとはやっぱり文化祭! 見ているだけでワクワクするような画の切り取り方、撮り方でした。秋人と綾香が春奈のために行動して、結果、春奈がすごくうれしそうな表情をしてくれるのが僕もうれしくて。秋人と綾香の行動力がすごく好きなシーンだし、2人の優しさを文化祭の一連の撮影からは感じました。
――綾香が主演する劇(白雪姫)も力作でした。
あれはリアルタイムで僕らも見ていたんですよ。実際はもっと長い尺で演じられていて、楽しかったです。秋人としては春奈の体のことはもちろん心配だけど、“今”を楽しんでほしいという気持ちの方が強かったと思います。あの文化祭は秋人と春奈にとってかけがえのない1日になったと思います。撮影としては僕も出口さんもめちゃめちゃ楽しんでいて、普通にテンションが上がりまくっていました(笑)。文化祭の美術やセットが本当にすごくて、2人でずっと「すごい! 楽しい!」って言ってましたね。高校生から見たら憧れるような文化祭だし、大人から見たら微笑ましいものがあると思います。キラキラしたいい時間を過ごせたことに感謝です。
――シーンとしては文化祭から2人で海に繰り出しますね。
あそこは本当に綺麗な画が撮れました! 限られた数10分間のゴールデンタイムを狙ったので、カメラマンさんも監督も僕らも必死で。少しでも時間を無駄にしないように全員でがんばりました。あの春奈をおんぶした後ろ姿は、自分で言うのも何ですが、すごくよかったなと思います。「俺、もってるな」と思いました(笑)。ただ当然春奈をおんぶした状態のまま、いろいろな角度から撮影したのですが、すごく引いた画の時に出口さんが謎に笑っていまして。僕が面白いことをしたのかな? 正直あまり記憶にはないのですが、ずっと彼女はツボに入ってましたね。たまにおんぶされた状態のまま、「笑わせないで~!」って僕の脇腹を軽く蹴ってきたりしたという裏話もあります(笑)。
――連日通った病室のシーンはいかがでしたか?
よく覚えているのは春奈と綾香が仲直りしてからのシーンです。「学校みたいだね」というやり取りは、春奈にとっては久しぶりの風景でうれしかったんだろうなと思う反面、切なさもありました。でも秋人と綾香を引き合わせたのも春奈だし、3人の楽しい時間を意図せず作り出したのも、やっぱり春奈の力なんですよね。