東京商工リサーチは6月19日、企業の「人材確保・退職代行」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2024年は6月3日~10日、企業5,149社を対象にインターネットで行われた。
人材確保への施策「賃上げをした」が7割超え
「貴社では人材確保(新規採用・離職防止)に向け、2023年1月以降でどのような施策を取りましたか?」との質問に対し、「賃上げをした」が73.5%(5,074社中、3,731社)で最多だった。次いで、「休暇日数を増やした」が24.4%(1,241社)、「社内レクリエーションを実施した」が10.5%(535社)、「テレワークを導入した」が8.5%(432社)、「施策は取っていない」が6.0%(305社)、「フレックスタイム制を導入した」が5.2%(268社)、「リスキリングに関する補助を充実させた」が4.6%(237社)と続く。また、「その他」は17.7%(902社)で、「外国人人材の登用」、「特別賞与の支給」、「パワーハラスメントの防止」などがあった。
規模別では、「賃上げをした」は大企業が84.9%(446社)、中小企業が72.2%(3,285社)で、中小企業が12.7ポイント下回った。また、「休暇日数を増やした」は大企業が17.7%(93社)に対し、中小企業が25.2%(1,148社)で、中小企業は働き方改革を進め、福利厚生などの改善で人手不足に対処する傾向にある。「社内レクリエーションを実施した」は大企業が12.1%(64社)、中小企業が10.3%(471社)で、具体的には「社員旅行」、「食事会やBBQ」などがあった。
「退職代行」業者を活用した従業員の退職、大企業の約2割が経験
続いて、「2023年1月以降、貴社では「退職代行」業者を活用した従業員の退職はありましたか?」と質問した。全企業で、「正社員・非正規社員であった」は1.9%(5,149社中、101社)、「正社員のみであった」は6.3%(328社)、「非正規社員のみであった」は0.9%(50社)で、これらを合計した「退職代行を活用した従業員の退職があった」企業は9.3%(479社)と約1割にのぼった。
規模別では、大企業は18.4%(499社中、92社)で約2割に達し、中小企業は8.3%(4,650社中、387社)で、2倍以上の開きがあった。
退職代行の利用「あり」業種は洗濯・理容・美容・浴場業が最多
退職代行を活用した従業員の退職があったと回答した企業の業種別(母数10社以上)は、最多が美容・理容業、クリーニング業などを含む「洗濯・理容・美容・浴場業」の33.3%(15社中、5社)だった。次いで、百貨店などを含む「各種商品小売業」が26.6%(15社中、4社)、旅館やホテルなどを含む「宿泊業」が23.5%(17社中、4社)と続く。消費者と直接対面する接客業や販売業のBtoC業界が多いのが特徴だった。