劇場版『鬼平犯科帳 血闘』が、14日から23日に中国・上海で開催された「第26回上海国際映画祭」フィルムパノラマ部門に公式招待され、中国に現存する最古の映画館(1928年創建)の上海大光明電影院で、初の海外上映が行われた。
22日に行われたクロージング・レッドカーペットで主演の松本幸四郎が登場すると、会場は大歓声に包まれ、幸四郎は現地メディアからの声かけに丁寧に足を止めながらレッドカーペットを歩いた。
海外でのレッドカーペットを歩くのは今回が初めてだったる幸四郎。「レッドカーペットを歩く時はドキドキしましたが、鬼平犯科帳チームで作り上げたものですので、その代表として皆の想いを背負って歩いているのだということを一歩一歩踏みしめながら歩きました」と心境を語った。
翌23日には、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』の本編上映後、舞台挨拶に登壇した幸四郎から上海の観客へ「松本幸四郎です!」と挨拶を送ると、客席からは「Koshiro-san」の呼びかけとともに大歓声が送られた。上海に訪れるのは今回が初めてという幸四郎は「生まれて初めてこの地を踏みましたけども、こんなに温かく優しく迎えてくださり、そして美味しい食事がある場所はない」と幸四郎らしい言葉で喜びを露わにした。
また、「鬼平犯科帳の今後の“展開計画”について」という質問に、幸四郎は「既にSEASON2まで撮影が終わっており、まだ皆様にご覧いただけていない作品が4作品もありますので、世界の皆様にご覧いただけるよう制作チームが準備している最中です」と発表があり、観客からは万雷の拍手が送られた。
その後のQ&Aでは、「この映画は日本の“時代劇”としてどこを世界の皆さんに観ていただきたいでしょうか?」という観客からの問いに対し、幸四郎は「昔の時代のお話なので、携帯もパソコンもなく、人と人とが出会わないと何も起こらないし、何も知ることができない。出会うことによって、うれしいことや悲しいことが起きる。それこそが生きる証ではないかと思います。“人”というもの、そして“人との交わり”というものが描かれている作品ですので、“全ての人間”に観ていただきたいと思います」と回答。
また、「歌舞伎は舞台なので観客のリアクションがすぐに分かると思いますが、映画はカメラに向かって演じるので、リアクションが分からない。その場合の区別はどうしていますか?」という質問には、「映像は短い時間の撮影で、一生に一回しかできないお芝居の積み重ねですので、“舞台はライブ感”と言いますが、“映像こそライブ”だと思います」と語り、さらに「僕も皆様と同じように(映像の中の)幸四郎を観て、『カッコいいな~』『キレイだな~』と感じています。たまにですけどね(笑)」と会場の笑いを誘った饒舌なトークを展開し、舞台挨拶は盛況のうちに幕を閉じた。
26日には、アジア最大級のTVの祭典「第29回上海TVフェスティバル」で、テレビスペシャル『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』のショーケース上映を予定している。
■徐昊辰(上海国際映画祭プログラミング・ディレクター)コメント
池波正太郎生誕100年企画である本格時代劇『鬼平犯科帳』。五代目として“鬼平”を継承した松本幸四郎の熱演とクールな剣戟アクション、そして本作を彩る江戸前料理が見どころです。私たち上海国際映画祭は、この海外での初プレミア上映を目にすることができて、とても幸運です。