クリックするだけのゲーム「Banana」が、Steamでプレイヤー数を急増させている。6月19日の24時間のピークプレイヤー数は88万3000人。ここ最近は毎日、同時接続プレイヤーのランキングでトップを争っており、オールタイムランキングでも「ホグワーツ・レガシー」を抜いて9位に上昇した。
Bananaは4月23日にリリースされ、ピークプレイヤー数が5月19日に1万人を突破してから増加ペースが加速し、6月7日に10万人、6月14日に50万人を超え、現在に至る。
Bananaは画面に表示されるバナナをクリックするだけのゲームだ。クリックするとカウントが増えていく。
そんなシンプルなゲームがなぜこれほど多くのプレイヤーを集めているかというと、地道に続けていると実績アイテムとしてバナナを獲得できるからだ。
バナナアイテムは3時間ごとおよび18時間ごとにドロッププールに落ちてくる。数多くの種類があり、中には数十個しか存在しないバナナやイベントオンリーで配られたバナナなどレアなバナナが存在する。
獲得したバナナは、Steamコミュニティのコミュニティマーケットで取引することが可能である。普通のバナナは売却しても1セントにしからならないが、25個しか存在しない「Crypticnana」は1000ドル以上で取引されている。バナナアイテムはNFTではなく、 Steamウォレットの残高は現金化できないため、アイテムの価値はSteam内に限られるが、それでも無料プレイできるゲームから資産を増やせることがプレイヤーを引き付けている。
コミュニティマーケットでバナナアイテムの取引が成立すると、開発者とSteamの取り分が発生する。数%の取り分だが、最低0.01ドルなので、最も安いバナナ(3セント)でも、取引成立で開発者とSteamはそれぞれ1セントを得られる。Crypticnanaは1000ドル以上で取引されるが、1日に1回成立するかどうかである。対して、最安バナナは6月19日だけで8万2000個以上も売れている。
プレイヤーの爆発的な増加とともにBananaに対して詐欺を疑う声が広がり始めた。過去のプレイヤー数の増減のデータを見ると、不自然な増加パターンが定期的に起こっており、Botを用いて複数アカウントでアイテムが収集されている可能性が指摘された。また、開発者の1人が過去にSteamのビットコイン詐欺に関与していたことが明らかになり、仮想アイテムの詐欺、暗号通貨マイニングを密かに実行している可能性など、プレイヤーコミュニティ内での不信感が高まっている。そうした声に対し、開発者の1人であるaestheticspartanはDiscordで「詐欺行為は一切行われていない」と否定した。ただし、Botの問題を抱えているのは事実で、全参加者の3分の2がBotだった時もあったが、Steamを運営するValveと対策を進めているという。