大阪・関西万博では会場内での支払いが完全キャッシュレスとなる。完全キャッシュレスを実現したはじめての万博であることをアピールし、万博への認知と盛り上げを図るために、キャッシュレス推進協議会と連携して、新たに「キャッシュレス対応店舗」のピクトグラムを作成するなどの取り組みを実施していく。
2025年4月13日の大阪・関西万博の開幕に向けて300日を切った現在、万博に対する気運を盛り上げるため、EXPO 2025デジタルウォレットアプリを提供してNFTの配布を行うなど、事前の取り組みを開始している。
7月にはアプリのバージョンアップでオリジナル決済サービス「ミャクペ!」、ポイントサービス「ミャクポ!」、NFTサービス「ミャクーン!」の金融連携サービスをスタート。利用状況に応じて特典を提供する「ミャクミャクリワードプログラム」も開始する予定でイベントの盛り上げを図っていく。
万博会場ではショッピング、飲食などの店舗が原則すべて完全キャッシュレスになる予定で、SMBCグループがsteraサービスを提供して約60種類の決済手段に対応する。ミャクペ! 以外にもクレジットカードの国際ブランド、電子マネー、QRコード決済と、国内で使えるほとんどの決済手段をカバーする見込みだ。
キャッシュレス推進協議会は国のキャッシュレス化を推進する業界団体で、今回の連携では万博におけるキャッシュレスの取り組みをサポートしてイベント気運を高めることなどが目的。
全面的キャッシュレス決済をアピールするポスター
まずは第1弾として会員企業16社と連携して万博の全面的キャッシュレス決済をアピールするポスターを制作。Osaka Metroなどの公共施設のサイネージを皮切りに、会員企業の店頭やWebサイトなどを中心にポスターを掲示する。
「キャッシュレス対応店舗」のピクトグラム
もう1つの取り組みとしては「キャッシュレス対応店舗」のピクトグラムを作成。万博会場では原則キャッシュレス化しているが、日本全体のキャッシュレス決済比率は39.3%で4割に満たず、特に海外からのインバウンド旅行客にとってキャッシュレス対応店舗か分かりにくい店舗もある。
万博で3000万近い来場者を見込む中、相応のインバウンド旅行客も期待されるため、そうした海外旅行客が国内店舗でキャッシュレス対応かどうか迷わないように、キャッシュレス推進協議会が専用のピクトグラムを作成して無償で配布する。
「CASHLESS ONLY(完全キャッシュレス店舗)」「CASHLESS OK(キャッシュレス利用可能店舗」という2種類を用意。協議会のWebサイトから無償でダウンロードして店頭に張り出すこともできる。
KDDIとSMBCグループと連携した「金融教育」
さらに、会員企業のうち金融教育に力を入れるKDDIとSMBCグループの協力を仰ぎ、両社が取り組む金融教育とも連携する。KDDIは、中学高校を中心に学園祭におけるau PAYによるキャッシュレス化を実現する「キャッシュレス学園祭」を展開。キャッシュレス学園祭は年度内に45校で開催予定となっているそうで、同時にお金に関する知識などを提供する金融教育も進める。
SMBCグループでは、グループ各社の知識やノウハウを生かした金融教育を高校生・大学生中心に展開。両社とも、万博に向けて特別な講義も行い、EXPO2025デジタルウォレットで受講記念NFTを配布する取り組みも行う。
万博側はこうした取り組みについて、ほかの金融教育を行う事業者で万博と連携したいとの声があれば積極的に連携していきたいという。キャッシュレス推進協議会も、万博だけでなく、国内のキャッシュレス決済推進に向けた認知度向上にも取り組んでいきたい考えだ。
インバウンドの旅行者向け「JPQRグローバル」
キャッシュレス推進協議会では、こうした万博側と連携した取り組みの他に、インバウンドの旅行者向け施策も展開。東南アジア各国のQRコード決済と日本のコード決済を相互にやりとりできるようにする「JPQRグローバル」を、万博を機に国内で展開することを目指す。
JPQRは、複数の国内QRコード決済を1つのQRコードで対応できるというもの。これを拡張して、海外のQRコード決済の利用者が、海外アプリで国内のJPQRを読み込み、海外アプリでそのまま決済できるようにするのがJPQRグローバルだ。
相互運用のため、将来的には国内のコード決済ユーザーが、国内のアプリで海外のQRコードを読み込んで決済することもできるようになるが、まずは万博をめどに海外ユーザーが国内でQRコード決済を利用できるようにする方針。
JPQRの加盟店は現時点で国内に1.5万店程度だが、これを10万店近くまで拡大して国内での海外QRコード決済ユーザーの利用環境を整備。インバウンドの利用拡大に繋げたい考えだ。