Copilot+ PCの発売を翌日に控えた6月17日、日本マイクロソフトが都内のイベントホールで記者説明会を開催した。Copilot+ PCはマイクロソフトによるWindows PCにおける「クラス」とされる製品群だ。
カテゴリでもなく、ジャンルでもなく、「クラス」だと同社は説明するが、決して優劣を意味するクラスではないというのが同社の見解だ。おそらくオブジェクトプログラミングにおけるクラスを想定したものだと思われるが、そうだとしてもよくわからない。
Windowsは米Microsoftが開発したOSだが、各パソコンメーカーは同社からWindowsのOEM供給を受け、ハードウェアとしてのパソコンをWindows PCとして販売している。
今回のCopilot+ PCも、そのパターンに準拠し、Windows Home Editionに、MicrosoftのAIであるMicrosoft Copilotを筆頭に、コクリエイター、リコール機能、Windows Studioエフェクト、ライブキャプションといったAI機能を提供するアプリを添付したOSが各社に提供され、それをプリインストールして出荷されることになる。
具体的には、OSそのものはWindows 11だが、インストールされているのがCopilot+ PCであることを検知されると、これらのアプリが有効になるという建て付けになっているそうだ。
Copilot+ PCを名乗るためには、Microsoftが定めた最小要件をクリアし、Microsoftの認証を得る必要がある。
Microsoftが承認しているSoCやプロセッサーを搭載し、そのNPUが40TOPS(Trillion Operations Per Second, 毎秒1兆回の演算)以上の処理性能を持つ必要がある。さらに16GB以上のメモリ、256GB以上のSSDストレージ等を持つ必要がある。
NPUはAI処理に特化したプロセッサで、これまでのCPU、GPUに加えて統合された3種類めのプロセッサとしてAI処理を担う。
最初のCopilot+ PCは、QualcommのSnapdragon X EliteとSnapdragon X Plusのどちらかのプロセッサを搭載して発売される。Snapdragon X シリーズは、NPU が 45 TOPS を実現するCPU、GPU、NPUオールインワンの SoC(システムオンチップ)だ。
インテルのLunar LakeやAMDのStrix Pointなど、この要件を満たすプロセッサーは、この先の提供が予定され、今後、Copilot+ PCのためのSoCとして採用されていくことになるはずだが、少なくとも、2024年6月時点で、この要件を満たすプロセッサーはSnapdragon X シリーズだけだ。そのため、2024年6月18日から販売が開始された各社の製品も、すべて同シリーズのSoCを搭載したものだ。
今回の、2024年6月17日の発表会では、日本で発売される各社のCopilot+ PCがお披露目された。MicrosoftのSurfaceシリーズは、Surface ProとSurface Laptopともに、6月18日午前9時からマイクロソフト公式ストアで販売を開始している。
また、日本エイサーからはSwift 14 AI、ASUS JapanからはVivobook S 15、デル・テクノロジーズからはXPS 13とInspiron 14 Plus、日本HPからはOmniBook X14、レノボ・ジャパンからはYoga Slim 7x Gen 9といった製品がお披露目されていた。各社、これらの製品以外も含め、2024年6月18日以降、順次出荷の予定だ。
発表会でステージにたった日本マイクロソフト執行役員 常務 コンシューマ事業部長の竹内洋平氏は、Copilot+ PCはプラットフォームの再創造であり、今日、その歴史が変わるとアピールした。
シリコン、システム、ユーザー体験という3つの側面で成立してきたパーソナルコンピュータに、今回、NPUの採用とOSの最適化という大きなふたつの変更が加えられ、これによって日常的に生成AIを使う時代がやってきたとした。
Microsoftでは、これまでクラウドAIに力を入れてきたが、今回のアプローチはそれをパソコンに分散することで、今後は、クラウドAIとローカルAIのそれらが融合することが必要であるともいう(竹内氏)。
こうして竹内氏は新しいシリコンを活用できるようになったことで、安心して使えるAI PCを各パートナーが提供可能になったとし、18日の発売を高らかに宣言した。