リコーイメージングは6月18日、ハーフサイズのフィルムコンパクトカメラ「PENTAX 17」(ペンタックス イチナナ)を発表した。一般的な35mmフィルムを用いつつ、2倍の枚数が撮影できるハーフサイズカメラ。フィルムの巻き上げは電動ではなく手動で、巻き上げレバーを搭載する。レンズは35mm判換算で37mm相当の単焦点で、ピント合わせはゾーンフォーカスを採用した。上下カバーはマグネシウム合金製とし、質感も高めた。デジタルにはない雰囲気の撮影やカメラの操作が楽しめることを訴求し、フィルムカメラに興味を持つ若年層に売り込む。
希望小売価格は107,000円(税別)で、予想実売価格は88,000円。発売は7月12日。
リコーイメージングがフィルムカメラの開発検討を進めてきた「フィルムカメラプロジェクト」の第1弾製品。ベテランの技術者と若い世代の技術者が協力して新規に開発した。ハーフサイズのフォーマットを採用したのは「カメラを横に構えると写真は縦位置となり、スマホで縦位置写真を撮り慣れている若者の好みに合う」と判断したため。
ネーミングの由来は、35mmフィルムの長辺(36mm)のハーフサイズは18mmで、コマ間のスリット部を除くと17mm、ということから「イチナナ」にしたという。
開発のコンセプトは「カメラならではの操作が楽しめる」こと。ピント合わせはオートフォーカスではなく、撮影したい被写体を選ぶとピントが合わせられるゾーンフォーカスを採用した。レンズ周囲に刻まれている被写体のアイコンは、ファインダー内でも確認できる。
フィルムを1コマずつ巻き上げてシャッターを切る、という操作を楽しんでもらうため、フィルムの巻き上げは電動ではなく手動にした。PENTAXのフィルム一眼レフの巻き上げ機構を継承し、滑らかな感触や巻き上げ音にこだわった。右手部に搭載する巻き上げレバーは、かつてのハーフサイズカメラ「オート110」とほぼ同じ形状だという。クランクによるフィルムの巻き戻し機構も健在。
レンズは35mm判換算で37mm相当/F3.5の単焦点で、描写性能に定評のあったフィルムコンパクトカメラ「PENTAX エスピオ ミニ」のトリプレットレンズ(3群3枚レンズ)をもとにハーフサイズ用に新規設計した。レンズにはマルチコーティング「HDコーティング」を施し、クリアに描写できるようにした。リコーイメージングの担当者によると、「ハーフサイズカメラは写りが悪い」という認識を持っている人が海外を中心に多いという。「そのイメージを覆すために、描写性能にはこだわった」という。
レンズ上部に測光センサーを搭載しており、露出制御は自動。独立した露出補正ダイヤルを備える。低速シャッターやバルブなど、7種類の撮影モードも用意する。シャッター速度は1/350秒~4秒、バルブ。
本体はクラシック調のデザインに仕上げた。上下カバーはマグネシウム合金製とし、質感と剛性を高めた。フィルムのDXコードの読み取りには対応せず、フィルムの感度は手動で設定する。本体には、縦吊りにも対応するストラップホールを3カ所備えるほか、背面には長時間露光時に欠かせないケーブルスイッチ(CS-205)接続端子を備える。
電源はCR2リチウム電池1本を利用する。当初は単3形乾電池を用いる案もあったというが、世界的に見ると品質にバラつきが多いことが判明したため、品質が安定しているCR2電池を用いたという。電池寿命はフィルム10本(36枚撮りフィルム使用時)。電池はグリップ部に格納され、電池カバーがグリップを兼ねる。
本体サイズは127×78×52mm、重さは290g。