2025年卒業予定の全国の大学生、大学院生を対象にマイナビが実施した調査で、就活生の生成AI利用の実態が判明しました。

全体の37.2%、おおよそ3人に1人が就職活動で利用したことがあると回答しています。利用用途としては、エントリーシートの推敲や作成が中心で、自己分析や業界研究、そして面接対策などにも活用されているようです。

生成AIを使ったことがある学生は62.9%、37.2%が就活でも利用

2025年卒業予定の全国の大学生、大学院生を対象に実施した「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(5月)」によると、生成AIを使ったことがある学生は全体の62.9%で、37.2%が就職活動でもChatGPTなどの生成AIを活用したことがあると回答しています。

  • 出典:「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(5月)」

生成AIを利用する理由としては、「自身のアウトプットを改善改良するため」(57.3%)や「作業時間の短縮になるため」(53.9%)、「より良いアウトプットがだせるため」(36.3%)が上位に入っており、エントリーシートの内容をブラッシュアップしたり、面接での受け答えを的確にしたりするためにも活用されていることがわかりました。

  • 出典:「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(5月)」

生成AIの具体的な利用用途は「エントリーシートの推敲」が最多

具体的な利用用途としては、「エントリーシートの推敲(誤字脱字のチェック、添削など)」(56.6%)が最多で、「エントリーシートの作成」(41.7%)が続きます。

やはりエントリーシートは就活生にとっては重荷になっているようで、生成AIを活用して少しでも負担を軽減してエントリーシートを作成したいという思いが見て取れます。

他には、「自己分析(自己分析の深堀りなど)」(28.8%)、「業界研究(業界の情報をまとめる、わからない情報を調べるなど)」(25.2%)が上がっており、エントリーシートや面接で必ず確認される、自己PRや志望動機の作成にも活用しているようです。

また、17.8%の学生が「面接対策(想定問答など)」と回答しており、面接で予想される質問に対する回答をあらかじめ準備して、本番に向けた備えをしているようです。

  • 出典:「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(5月)」

的確な回答を得られるが模範例の印象、生成AIはあくまでも補助ツールに

具体的にはどのように生成AIを活用しているのか、今回の調査では、自由回答で実際の活用方法についても聞いています。

ケースごとに生成AIに投げかける質問例(プロンプト)をいくつかピックアップしてご紹介します。

企業研究

・株式会社〇〇の事業・業務・強み・平均残業・休暇日数・競合比較結果などを教えてください

・○○会社の主要な事業内容とその市場での位置づけを調べてください。〇〇会社の最近のニュースやプレスリリースを確認し、重要なトピックを説明してください

エントリーシートの作成

・あなたは企業にエントリーシートを提出する就活生です。以下のテキストを、エントリーシートに最適な文体に直してください

・下書きした文章を打ち込み、特定のキーワードをアピール出来るような文章に変更してもらう。箇条書きで伝えたいことを打ち込み、文章にしてもらう

エントリーシートの添削

・「以下の文章を、私の長所が明確になるように添削・推敲してください」というプロンプトを、自分で作成したES用の文章とともに送信

・あなたは○○社の面接官です。○○社は○○、○○という価値観を大事にしており、近年は○○という活動をしています。これらを踏まえて、以下のESを100点満点で採点してください

・就活のエントリーシートにて、「~」という質問に対して、以下のように回答しました。この回答を評価し、また、エントリーシートとして改善点があれば教えてください。誤字や言い回しについても適当な言い換えがあれば、教えてください

面接対策

・以下のエントリーシートに対して新卒採用を行う企業はどのような質問、深掘りをすると考えられますか?具体的に箇条書きにしてください

・○○という質問を受けました。この質問で何を問われているのか、この質問に対する回答で何を判断され得るか、教えてください

・あなたは新卒採用面接官です。新卒採用の2次面接という仮定で私の回答に関して質問してください

・(職種名)の最終面接で、最近の気になるニュースに対する見解を求められた時の解答例を教えてください。また、理由や、(職種名)としてその問題にどのように関わることが出来るか考えてください

実際に筆者も、上記の質問例のいくつかを生成AIに投げかけてみたところ、確かに具体的かつ詳細な答えが返ってきました。

しかし、どこか一般的な模範例という印象を受けたのも事実です。

エントリーシートの内容や面接での受け答えを、できるだけ自分の個性や人柄を反映した内容にするためには、生成AIに過度に頼りすぎず、あくまでも補助ツールとしての活用にとどめておくのがいいかもしれません。