島―上野裕寿戦で四手角の「米長新手」が24 年ぶりに指されました。新鋭やAIの研究により、結論が出たと思われる古い定跡が掘り起こされるのは驚きます。ここ数年のキーワード、「温故知新」がこれからも進んでいくのを予感させる潮流です。
※前編では、NO.5(第5問)までを掲載しています。NO.6(第6問)以降をお読みになりたい方は、後編をご購入ください。
はしがき
今回でいちばんびっくりしたのは、表紙にもなった井出五段の対トーチカ「イデオンソード2」です。居玉で攻め倒し、藤井システム1号局を彷彿とさせるような快勝譜でした。
島―上野裕寿戦で四手角の「米長新手」が24年ぶりに指されました。ベテランの島九段には修業時代からの経験があったのに対し、21歳の上野裕寿四段は昔の定跡を全く知らず、一手一手考えて戦ったそうです。島九段は「あとで調べたら、途中までは悪くなかったです。若手のホープとじっくり戦えたことに加えて、新手年鑑で米長先生の名前と指し手が出るのはよいことですね」と話していました。
対四間飛車の右銀急戦が復活しています。私にとっては愛着がある戦法で、41年前に中学生名人戦で優勝し、奨励会に入ることができました。使い手の筆頭は、18歳の藤本五段です。新鋭やAIの研究により、結論が出たと思われる古い定跡が掘り起こされるのは驚きます。ここ数年のキーワード、「温故知新」がこれからも進んでいくのを予感させる潮流です。
七段 勝又清和
編集協力 小島渉
本文中、一部肩書・段位を省略しました
NO.1
●ヒント●
奨励会三段同士の一局。北村は師匠が下町流三間飛車の小倉で、本人も創意あふれる振り飛車党だ。図で普通は△7二銀や△6二玉だが、北村は新感覚の四間飛車を披露した。 (R5/8/10 廣森―北村 加古川青流 後手番)