30〜40代になると、「若い頃とは肌が変わってきた」と感じる機会が多くなるもの。特に最近では、男性向けのスキンケアが浸透していることもあり、「自分もお手入れを始めてみようかな」と考える方は多いでしょうか。ただ、スキンケアの習慣がないと、何を使ってどうお手入れすればいいのかわからないかもしれません。

そこで今回は、ニベア花王 ビジネスユニット2 マーケティンググループの北原さんと、ニベア花王 研究所の岩崎さんに、「男性のスキンケアの基礎知識」を教えていただきました。

  • お話しをうかがったニベア花王 ビジネスユニット2 マーケティンググループ 北原さん(写真左)と、ニベア花王 研究所 岩崎さん(写真右)

■男性のフェイスケアに対する意識は高まっている

━━まず、男性化粧品の市場についてお聞きしたいのですが、市場規模はどのように推移しているのでしょうか。

北原さん: 市場の中でも、特にフェイスケアについては伸びています。たとえば、2017年と2023年で比較すると、市場の金額としては161%と非常に大きくなっています。男性のフェイスケアアイテムの市場は、コロナ禍でも大きく落とすことはなく、ずっと伸び続けているんです。

一方、「メンズブランド」のフェイスケアアイテムを使っている人に関しては、伸び率は111%ですが、今実際に使っている人の割合でいうと16%にとどまっています。まだスキンケアを始めていない男性も世の中にはたくさんいらっしゃるので、そういう方たちにも使いやすいアイテムをご提案していきたいですね。

━━男性のフェイスケア市場が伸びている背景や、男性の意識の変化について教えてください。

北原さん: いわゆるアラフォー世代の方の中には、コロナ禍のWeb会議や久しぶりの出社で、マスクを取った同僚の方のお顔つきの変化を目の当たりにし、「自分もやらなきゃ」とフェイスケアへの意識が高まっている方が多いです。

ただ、フェイスケアに興味が出始めても、「シミケア・しわケア」と大きく書いてある商品には手を出しづらいという男性心理もあります。そこで、そうした事情をうまく汲み取っているのが「加齢不安に対応したオールインワン系のアイテム」であり、ここ1〜2年で伸びている商品なんです。

フェイスケア市場の伸びには、こうした商品が自社他社ともに増えていることも背景にあるのではと思います。実際の市場の伸びとしても、エイジングケアの領域は成長率が高く、一方で、肌トラブルケア系の領域は横ばいという状況です。

━━スキンケアに対する意識は、10〜20代と30〜40代で違いはありますか。

北原さん: 意識の違いはありますね。まず、若い方がスキンケアをする理由というのは主に2つあります。

1つめは、ニキビができたとか肌がカサつくといった、お肌の直接的なトラブルを解消したいからという理由。2つめは、他人に印象悪く見られたくないからという理由です。若年の方は男女問わず、「相手から見える自分の印象」というのを気にする傾向が強いように感じています。

一方、30〜40代の方たちは、どちらかというと、「目に見えて自分の顔に変化がある」というのがスキンケアをする動機になっています。若返りたいとまでは思っていなくても、「今の肌の調子を維持したい」「ずっと若々しくありたい」という意識でフェイスケアにチャレンジされる方が多い印象ですね。

━━スキンケアを行うことによって、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

北原さん: たとえば、30〜40代からスキンケアを始めていただいても、お肌のコンディションとしては良くなっていくと思います。具体的には、肌の水分量が保たれ、潤った肌や肌ツヤがいい状態にできます。

■朝晩のお手入れは「洗顔、髭剃り、フェイスケア」の順番で

━━男性の肌には、どのような特徴があるのでしょうか。

岩崎さん: 男性の肌は、元々の生理的な特徴として、男性ホルモンの影響で「皮脂量が多い」という点が挙げられます。また、女性と比べて肌の「水分量」が低く、肌の水分が失われる「水分蒸散量」が高いという特徴もあります。

それらに加え、男性は日々のお手入れがルーチン化されていない方が多く、女性がメイク時に用いるような日焼け止め効果のあるアイテムを使う方も少ないです。そのため、紫外線などによって肌荒れ状態にあるというのが、男性の基本的な肌の状態なんです。

それに、日々のシェービングで髭を剃るだけでなく、肌を守る角層も一緒に削りとってしまう可能性が高く肌負担も大きいので、しっかりケアしていく必要があります。

━━朝晩に行うお手入れの基本ステップと、お手入れする際のポイントを教えてください。

北原さん: 肌の水分量を保つのにより効果がありますので、スキンケアはぜひ朝晩どちらも行ってください。

基本ステップとしては、まず洗顔をします。そのうえで化粧水と乳液、またはそれらが1つになった「オールインワン」のフェイスケアアイテムなどを使います。余分な皮脂や汚れを洗い流してからケア製品を使っていただくと、より成分の浸透が促進されますよ。

また、髭剃りは男性独特のルーチンで、朝にする方と夜にする方が大体半々くらいに分かれますが、男性はこうした髭剃りが入りますので、その場合の順番としては、まず洗顔をしたうえで、髭剃りしていただくことをおすすめしています。

「洗顔と一緒に髭も剃ってしまいます」という声をけっこう聞きますが、刃物を肌に当てますので、清潔な状態でやっていただいたほうが肌に対する刺激がより緩和されます。

そして髭剃りは、カミソリで肌の角質を削るのに近い行為ですので、その後は必ずフェイスケアをしていただくのが重要です。フェイスケアをしないと、肌の表面にある水分が飛びやすくなり、肌荒れや肌トラブルにつながることがあります。

朝晩のお手入れはぜひ、「洗顔、髭剃り、フェイスケア」の3つのステップでやってみてください。

■スキンケアは「保湿」と「日焼け止め」、そして毎日続けることが大切

━━お手入れには”男性向けアイテム”を使ったほうがいいのでしょうか。

岩崎さん: 男性の方は、男性向けアイテムを使っていただくほうがいいと思います。先ほどもお伝えしたように男性は皮脂量が多いので、どうしても肌がベタつきやすくなります。肌を潤す、守るというスキンケアの基本的な性能は女性用でも男性用でも同じですが、男性の肌はベタつきやすいので、その状態でさらに女性向けのアイテムでスキンケアをすると、余計ベタついてしまい嫌だという方も多いです。

ですので、弊社ではそういった男性に向けて、男性でも使いやすい使用感や、ベタつきが少なくしっかり潤いを与えるという点を踏まえた男性用化粧品をご提案しています。

女性用のアイテムが自分の肌に合うならそれを使って全く問題ありませんが、「ベタついて自分には合わない」と感じるなら、男性向けにカスタマイズされた化粧品を毎日継続的に使ったほうが肌にとってはいいと思います。

日焼け止めについても同じで、日焼け予防や潤いなど、基本的な性能は女性向けと変わりませんが、男性向けの日焼け止めは、使用感や香りが女性向けと異なります。男性向けの日焼け止めは、男性が使いやすいテクスチャーに調整されていますし、男性が好む香りにもなっていますので、はじめは男性向けのものが使いやすいと思います。

━━今までスキンケアをしてこなかった男性が最も意識したいポイントは何ですか。

北原さん: これについては2つあり、まず1つめとして、機能面では「保湿」と「日焼け止め」が重要です。紫外線は、肌に対して強いダメージを与えていますので、それを毎日ケアするのは非常に大切なんです。

そして2つめとして、「毎日続けられること」も重要なのではと考えています。やはり、毎日ケアすることがいいコンディションを保つには大事ですので、無理して色々なアイテムを買って続かなくなるよりは、たとえばオールインワンを毎日続けるなどして、肌を潤してあげたほうがいいですね。

━━色々使おうとして挫折するよりは、オールインワンを毎日しっかり続けたほうがいいんですね。

北原さん: そうですね。あとは、使用感の好みもあると思います。化粧水を使い乳液を使い、その後クリームで肌を覆って…というスキンケアは、肌の潤いを保つという面では効果的ですが、肌により多く水分を持たせようとすると、どんどんベタついていってしまいます。

そうしたベタつきを避けたいのであれば、弊社にも「ニベアメン アクティブエイジ マルチケアクリーム」という製品がありますが、こうした1品でしっかり肌を潤してくれるオールインワンアイテムを使うのがおすすめです。

  • オールインワンアイテムならシンプルスキンケアがかなう(写真は「ニベアメン アクティブエイジ マルチケアクリーム」)

あとは、30~40代で肌の変化を実感し、何かフェイスケアをしたいと思っても、化粧水や乳液をどう使ったらいいかわからない人も多いです。そういった初心者の方にもわかりやすいという点においても、オールインワンはおすすめですね。