Recallの仕様変更

先週はいくつかの動きがあった。

最初はCopilot+PCに特化した機能といわれているRecallの仕様変更。米Microsoftが現地時間2024年6月7日に公開した公式ブログでは、OOBE(Out-Of-Box Experience)時にRecall機能の有無を選択し、有効時もWindows Helloによる認証を求める機能を加えていくという。また6月13日(現地時間)に追記された情報によると、当初予定されていたCopilot+ PCのプレビュー エクスペリエンスではなく、Windows Insider Program(WIP)での提供に移行するとしている。

同社は「スナップショットはローカルに保存」「スナップショットは共有されない」と安全性を強調しつつ、「Recall有効時はシステムトレイにRecallアイコンを表示する」「いつでも一時停止やフィルタリング、保存内容の削除が可能」といった利便性についても言及した。

Windowsは自身の安全性を高めるため、古くは「NTBackup(Windows Backup)」による手動バックアップ、システムファイルなどのスナップショットを、アプリの更新時などに作成する「システムの復元」機能を提供してきたが、Recallはマルウェアへの感染被害を抑止できる可能性が高い。

ただ、システムの負荷が高まることからRecallはCopilot+PCが備えるNPU(ニューラルプロセッシングユニット)は欠かせないため、消費者の間で広く使われるかは疑問が残る。

  • OOBE時のRecall取捨選択画面

NPU関連でいえば「ペイント」でAI機能を使用する「Cocreator」もCopilot+PC(実質的にはNPUによる支援)が欠かせない。また、Microsoft Storeからアプリを更新するため、Microsoftアカウントも必要だ。

サポートページでもNPUとMicrosoftアカウントの必要性を強調している。将来的には多くのPCがNPUを備え、Windows標準アプリのみならず、サードパーティーアプリもAIを利用してくるだろう。

長年、自作PCをメインに使ってきただけに、今後CPUやGPU同様にNPUを取捨選択できる時代まで、今のデスクトップPCをだましだまし使おうと思う。

少々お世話な新アカウントマネージャー

Microsoftは現地時間2024年6月12日、CanaryチャネルにWindows 11 Insider Preview ビルド26236をリリースしたのだが、少々気になる変更が加わっている。

公式ブログによれば、「アカウント設定とMicrosoftアカウントの保護に必要なアクションを表示するアカウントマネージャー体験」を加えたという。筆者のCanary版Windows 11は同種の項目が現れなかったので、下図をご覧いただきたい。

  • 新しいアカウントマネージャー

Microsoftが示した画像はMicrosoftアカウントでサインインし、Microsoft 365 PersonalとXbox Game Passのサブスクリプション状態、それに伴うOneDriveの使用量が示される。また、何らかのセキュリティ対策を求めているが、画像だけではよくわからない。

個人的には「あってもいいし、なくてもいい」機能だが、海外のIT系Webサイトを目にすると、否定的な意見が多かった。なお、Microsoftはローカルアカウントではなく、Microsoftアカウントの利用を推奨しており、Windows 10 バージョン22H2をローカルアカウントで使用していると、わざわざバッジで強調しながらサインインを求めている。

  • Windows 10のアカウントメニュー

Microsoftアカウントへの切り替えを催促

サポートページに書かれているとおり、MicrosoftアカウントはWindowsのみならず、Outlook.com、Hotmail、Office、OneDrive、Skype、Xboxで使用するサービスに不可欠。特にアクセシビリティーや無線LANのSSID/パスワードなどを同期できる「アカウント/Windowsバックアップ」は複数のWindows 11 PCを使う場合に便利である。

ただ、OOBE時にローカルアカウントが選択できなくなり、「BypassNRO.cmd」による逃げ道もなくなりそうだ。実際に試すか分からないが、Linux+WineでWindowsアプリ実行環境を確保すべきだろうか。

  • Microsoftアカウント使用時の設定同期機能