明日16日に最終回を迎えるTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(21:00~)。第9話のラストでは、長谷川博己演じる弁護士の明墨正樹が、証拠隠滅罪により逮捕されてしまうという衝撃の展開で終了。最終回への期待が高まるが、放送前に本作のプロデューサーである飯田和孝氏に見どころを聞いた。
ラスボス・伊達原は「勧善懲悪像で倒される敵にはしたくなかった」
公式HPに掲載された最終回のあらすじには、明墨の証拠隠滅罪を問う裁判が始まる――という記載がある。担当検事は、これまで何度も明墨を挑発してきたかつての上司である東京地方検察庁の検事正・伊達原泰輔だ。演じるのは野村萬斎。
飯田氏は「萬斎さんに関しては日曜劇場における勧善懲悪像で倒される敵という感じにはしたくなかった。もっと人間味のある悲哀のある感じを伊達原には込めたんです」と明かし、「萬斎さんは、映画『七つの会議』だったり、狂言での表現を見て、その悲哀のある人物を表現してもらえるのではと思いました」とキャスティング理由を明かす。
さらに飯田氏は、配役を決めたあと、長谷川と萬斎の『シン・ゴジラ』での関係性や、萬斎が企画・監修した舞台に若かりし頃の長谷川が出演していたことを知ったというと「ご本人の関係性が役柄にプラスされているようにも見えて、とても見応えのある最終回の法廷シーンになっていると思います」と期待を煽っていた。
主演の長谷川博己の熱意に賛辞「周りを巻き込む力がすごい」
長谷川には、昨年の3月15日に会って作品のオファーをしたという。そこから1年3カ月が経過した。「長い間ずっと『アンチヒーロー』の明墨と並走していただき、お疲れ様でしたと言いたいです」と労をねぎらうと「台本の会話やキャラクターを作っていく作業を監督と共にやっていくなかで、明墨というキャラクターを魅力的にしようということだけではなく、ドラマ全体を面白いものにしようという熱意というか、周りを巻き込む力がすごいなと改めて思いました。唯一無二な俳優さんです」と絶大なる賛辞を送る。
25分拡大となる最終回。飯田氏は「第9話を放送したことによって、明墨先生がこれまで動いてきた理由の根源というものが、すごく見えてきたと思います。そこに対して最終回では、明墨の行動の全ての動機は回収されるのですが、果たしてそれが本当に最終目的だったのか……という部分で、物語をどう締めくくるのかというのは期待して欲しいです」と過去にないほど法廷シーンに力を入れたことを強調し、「APさんが調べたのですが、最終回の法廷シーンの放送時間は実に38分38秒費やしているんです。最後勝負は法廷ですべきだという思いのもと、相当な熱量を込めました」と語る。
最終回のプチ注目ポイントは、青山の奥さんの登場
本作は、山本奈奈氏、李正美氏、宮本勇人氏、福田哲平氏という4人の脚本家によるチーム制をとっている。飯田氏は「良かった点はアイデアが枯渇しないこと。有名脚本家の方々の技やセリフ、アイデアに勝てない部分は多々あるのは重々分かっているので、必ずしもチーム制がベストではないと思いますが、今回に関していうと、10話を通した法廷ドラマ。仕掛けとかいろいろある中で、どうひっくり返すかというのが重要だったので、アイデアをみんなで議論しながらできるのは非常に大きなメリットでした」と総括する。
4人それぞれの個性を活かしての脚本づくり。長ゼリフで熱い思いを吐露する部分では李が、2話で出てきたようなポップな展開は山本が、仕掛けを構築していくところは宮本、構成が得意な福田……というようにそれぞれがぶつかるところなく適材適所でシナリオを構築していくことで、バランスが取れたストーリーを紡げたという。
飯田氏は「とにかく最終回を観て欲しいです」とストレートに表現すると「世の中に出すものなので、恥ずかしくないものを作らなければいけませんし、頑張るのも当然なのですが、やっぱり観ていただかないと始まらない。理想を言えば、9話までをU-NEXT ParaviコーナーでもTVerでもNetflixでも全部を振り返ってもらって、最終回をリアルタイムで観て欲しいです」と願いを込める。
最後に「最終回のプチ注目ポイント」として「(林泰文演じる)青山(憲治)さんの奥様が出てきます。こちらはオンエアで解禁になるので、ぜひ注目してください」と述べていた。
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