ドワンゴは、ランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃によって、6月8日早朝から「ニコニコ」のサービス全般を利用できない状態が続いていることを受け、「ニコニコ動画(Re:仮)」を新バージョンとして2024年6月14日15時にサービスリリースした。
「ニコニコ動画(Re:仮)」は、「ニコニコ」のサービス最初期(2006年)と同じ、動画視聴やコメントといった基本的な機能のみを備えた動画コミュニティサイト。ドワンゴ開発チームが自発的に3日という短期間で作り上げた。
サービスの負荷を考慮し、ニコニコ動画に投稿された作品の中から選ばれた一部の動画のみ公開。主に2007年の人気動画を中心にラインアップしている。アカウントなしで無料で視聴可能だ。ちなみに、サイト上では『つりっくま』というゲームを遊ぶことができる。
また、今回の被害について、ニコニコインフォで公表。今回の第三者によるサイバー攻撃は、発覚後も繰り返し行われ、遠隔でプライベートクラウド内のサーバーをシャットダウンした後も、第三者がさらに遠隔からサーバーを起動させて感染拡大を図るといった行動が観測されたという。
そのため、サーバーの電源ケーブルや通信ケーブルを物理的に抜線し封鎖。これを受け、グループ企業が提供するデータセンターに設置されているサーバーはすべて使用できなくなった。また、さらなる感染拡大を防ぐため、ドワンゴ社員の歌舞伎座オフィスへの出社を原則禁止とし、社内ネットワーク、社内業務システムも停止している。
ニコニコ動画のシステム、投稿された動画データ、動画の映像配信システムは、パブリッククラウド上で運用されていたため、被害は受けていない。ニコニコ生放送はシステム自体がパブリッククラウド上で運用されていたので被害はなかったものの、ニコニコ生放送の映像配信を司るシステムはグループ企業のプライベートクラウド上で運用されていたため、過去のタイムシフト映像などが使用できない可能性がある。
停止中のサービスは以下の通り。情報漏洩については調査中で、個人情報・クレジットカード情報等の漏洩は現時点では確認されていないが、引き続き調査を進めていくとしている。
【停止中のサービス】
・ニコニコ動画、ニコニコ生放送、ニコニコチャンネル等のニコニコファミリーサービス
・外部サービスでのニコニコアカウントログイン
・楽曲収益化サービス
・ドワンゴチケット
・ドワンゴジェイピーストアの一部機能
・N予備校 ※N高等学校・S高等学校の生徒向けには復旧済
・各種企画におけるプレゼント発送
復旧には、封鎖したサーバーの中身を1つずつ確認して、無事なデータを救出し、救出したデータを使って安全な環境下でニコニコ動画とニコニコ生放送のシステムを再構築するといった作業が必要。正確な復旧時期は被害状況の調査結果次第だが、1か月以上かかる見込み。再開できるサービスから順次再開していく予定だ。
「ニコニコ漫画」アプリについては、影響を受けなかったシステムが多いことがすでに確認できており、漫画を読む、コメントする、お気に入りに追加するといった基本的な機能が利用可能な、機能縮小バージョンでのサービス再開を検討中。2024年6月中の復旧を目指す。
そのほか、番組中止およびサービス停止に伴い、以下に関する補償を予定。補償の詳細については検討中。月額会員サービスの補償対象期間は、2024年6月と7月を予定している。
【補償予定のサービス】
・プレミアム会員・ニコニコチャンネル有料会員(ニコニコチャンネルプラス含む)の月額会員料
・N予備校の月額会員料
・ニコニコチャンネルおよびニコニコチャンネルプラスの運営者への収益分配
・クリエイター奨励金の分配