ASUS JAPAN株式会社から、Wi-Fi 7にも対応するハイエンドWi-Fiルーター「ROG Rapture GT-BE98」が4月26日に発売されました。従来のWi-Fiよりも高速なWi-Fi 7への対応だけでなく、同社のゲーミングブランド「ROG」に属する製品らしい仕様にも注目が集まっています。

最大2.6GHzで動作するクアッドコアCPUを搭載、有線LANも10Gbpsに対応するポートが2つ、さらに2.5Gbpsに対応するポートが4つも用意されるなど、ネットワーク機器としてはかなり豪華な仕様です。

  • 8本の大型のアンテナが聳え立つGT-BE98の外観。

もちろん通信性能の高さも本機の売りですが、それ以外にも「ハイエンドモデルらしい機能」に富んでいるため、今回はASUS JAPANよりROG Rapture GT-BE98をお借りしてROG Rapture GT-BE98の魅力を紐解いていきます。

見るからに速そうなアンテナに目線が釘付けになる本体

まずはROG Rapture GT-BE98(以下、GT-BE98)の外観からチェックしていきます。

GT-BE98の外観の大きな特徴ですが、まず最初に目に付くのは本体周囲に設けられた見るからに速そうな8本のアンテナです。実はこのアンテナ、1本あたり「2本のアンテナ」を内包しているため、実際には16本アンテナを搭載しています。

  • 8本の大型のアンテナが聳え立つGT-BE98の外観。

なぜこんなにもたくさんのアンテナを搭載しているかというと、GT-BE98は2.4GHz、5GHz×2、6GHzと4つの帯域に対応しています。さらに各帯域で4ストリームのMIMOにも対応しているので4帯域×4ストリームで計16本のアンテナが必要になるからです。もっと簡単にいえばすべての帯域で外部アンテナを搭載し、高速通信にも対応しているので、どんな機器を繋いでも安定かつ高速な通信を実現できる仕様になっているわけです。

外観の特徴としてアンテナに次いで注目したいのは筐体のデザインです。ゲーミングブランドであるROGを冠する製品らしく、ROGのロゴや内部が透けたように見えるメカニカルなデザインが筐体各所にあしらわれています。

ROGのロゴはドットLEDで点灯し、発光色や発光パターンをカスタマイズすることも可能です。もちろん消灯させることも可能です。内部が透けたようなデザインも、実はデザインだけでなく内部基板を冷却するためのヒートプレートを兼ねています。

  • メカニカルなデザインも実は本機を効率良く冷やすためのヒートプレートです。

ネットワーク機器は意外と熱を持ちやすく、GT-BE98のように10Gbpsの高速な有線LANやWi-Fi 7による高速通信を扱うとなれば通常のネットワーク機器以上に熱を持つのは避けられません。そのためしっかりと冷却に配慮された構造になっているのはハイエンドモデルならではといえます。

またネットワーク機器として最も注目したいのはLANポートです。10Gbpsに対応するLANポートが2つ、さらに2.5GbpsのLANポートが4つ、そして1GbpsのLANポートは1つ、合計で7つのLANポートが用意されています。10Gbpsの光回線と組み合わせた際に、ONUとの接続用だけでなくPCとも10Gbpsでの有線接続を行えるのはハイエンドモデルならでは。

  • 10Gbpsの有線LANポートが2つもある豪華な構成のLANポート。

さらに10GbpsのLANポートは「ゲーミングポート」として動作し、ここに繋いだ機器の通信を優先することもできます。また、対応する機器の増えている2.5GbpsのLANポート数も多いため、GT-BE98を導入すれば家庭中のネットワークの高速化が図れるわけです。

その他にもUSBポートが2つ備わっており、外付けのHDDを接続して簡易NASとしてファイル共有を行ったり、USB接続のデータカード(USBドングル)を挿すことでモバイル回線を共有することも可能です。

  • USBポートは簡易NASなど周辺機器との接続でさらに便利な機能が利用できます。

ROGブランドならではの特化機能に注目。ルーターとしても高機能

続いてGT-BE98の機能の部分をチェックしていきます。高速な10Gbpsの有線LANやWi-Fi 7に対応するルーターは数多く市場に存在しますが、あえてGT-BE98を選びたい、GT-BE98だからこその機能が数多く存在します。

まず最初に挙げたいのは「ゲームアクセラレーション」です。ゲーミングブランドであるROGを冠した製品だけあって、通常のWi-Fiルーターにはないゲームに特化した設定項目が存在します。

  • 流石ROGブランド、ゲームを快適にするための設定がいろいろあります

外観でもふれた通り、ゲーミングポートと名付けられた有線LANポートに接続された機器の通信を他よりも優先する機能だけでなく「ゲームブースト」としてゲームの通信を優先する制御を行うようにするといった機能を有しています。

またゲームを快適に遊ぶにあたり、接続するサーバーとの通信状況も重要です。GT-BE98に用意された「ゲームレーダー」ではオンライン接続を行うゲームサーバーのping値を計測できるため、より快適に通信できるサーバーを事前に確認することができます。

ゲームアクセラレーションと合わせ利用すればプレイ時のラグの心配がなく、1フレーム単位で勝敗の決まるシビアなプレイを求められる場合でも安心してゲームをプレイすることができます。

  • ゲームの通信を優先する設定は真っ先にオンにしたい機能です。

  • 接続状況が良好なサーバーをグラフィカルに、一目で確認できます。

もちろん、ゲーム以外の機能もハイエンドルーターらしく豊富なのがGT-BE98の強みです。

まずはWi-Fi周りで注目したいのが「マルチリンクオペレーション」です。パソコンやスマートフォン側の対応も必要になりますが、GT-BE98が対応する4つの通信帯域で同時に機器と接続することで通信の安定化、高速化を行う機能です。

「対応機器が必要」という点ではまだ活かしきれない機能ではありますが、Wi-Fiで接続を行うスマートフォンなどは今後登場する多くの機種が対応してくるはずです。そのため将来長い期間にわたりGT-BE98を導入すれば自宅内のWi-Fi環境を快適に保てると言っていいでしょう。

GT-BE98はセキュリティ機能にも富んでいます。「AiProtection」ではウイルスバスターシリーズでお馴染みのトレンドマイクロ社の技術を採用し、フィッシング詐欺やウイルス感染の疑いのあるサイトへのアクセスを遮断する「悪質サイトブロック」や、LAN内でウイルスに感染したデバイスを検知しネットワークから隔離する「感染デバイス検出・ブロック」機能を利用できます。

またGT-BE98はVPN機能も搭載しています。予めVPN機能を設定しておけば、外出先の公衆無線LANから自宅ネットワークにVPNで接続することができ、通信の傍受や情報漏洩を防ぐことも可能です。

他にもペアレンタルコントロール機能も搭載されているため、時間帯を指定してインターネット利用を制御したり、子供には有害と判断されるWebサイトや広告をブロックすることが可能です。

特に最近は小中学生でもパソコンだけでなく、自分用のタブレットやスマートフォンを所有、利用していることも珍しくありません。携帯電話会社が提供するフィルタリング機能も優秀ですが、GT-BE98のペアレンタルコントロール機能と組み合わせて使うことで、親目線では安心してインターネットを利用させられる環境の構築も可能です。

  • 高速・安定した通信を実現するマルチリンクオペレーションにも対応しています。

  • セキュリティソフト同等の機能がルーターに搭載されています。

  • 何かと便利、安心のVPNも簡単に設定することができます。

  • 時間制限など子供のネット利用も安心して管理できるペアレンタルコントール機能も。

このようにGT-BE98はROGブランドを冠する製品らしく、他社のハイエンドルーターにはないゲームをより快適に、より楽しく遊ぶための機能に富んでいます。ここまでは「ROGらしい」、あって当然の機能かもしれませんが、そもそものWi-Fiルーターとして求められる基本機能はこれでもか!と全部入りになっている点も見逃せません。

惜しむらくは10万円を超える価格です。とはいえ現時点でもかなり性能、機能に余裕があるので、日常生活から切り離すことのできないインターネット環境への投資として、長く使える1台として十分に導入を検討するだけの価値があります。