2023年6月14日は、年金支給日です。前年度から2.7%の引き上げとなった改定後の最初の支給となります。加えて6月から定額減税が実施されるので、前回の支給額よりも大幅に増える人もいるでしょう。そこで気になるのが自分の年金額です。
多い方なのか少ない方なのか、平均はいくらなのか知りたいと思います。本記事では、6月の年金額の詳細と、「厚生年金」「国民年金」の平均額、いくらもらっている人が多いのかが一目でわかるグラフをご紹介します。
6月支給の年金は増える?
2024年度の年金額は前年度から2.7%の引き上げとなりました。これによって、国民年金の満額は月額6万8,000円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額※)は23万483円となります。
※平均的な収入(平均標準報酬43.9万円)で40年間就業した場合の老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)の給付水準
年金は、支給される月の前月までの2か月分がまとめて支払われます。4月と5月分は6月の支給日に、6月と7月分は8月の支給日に支払われます。そのため6月に支給される年金が2024年度の改定後初めての年金となります。
6月から実施される定額減税の影響も
2024年度税制改正により、6月から定額減税が実施されます。納税者本人と扶養親族を対象に、所得税から3万円、住民税から1万円のあわせて1人あたり4万円が減税されます。
所得税や住民税が徴収されている年金受給者も対象であり、所得税は6月支給の年金から、住民税は10月支給の年金から減税が行われます。減税分が引ききれなかった場合は、以後2024年度中に受け取る年金から順次減税されます。それでも減税しきれない金額がある場合は各市区町村から給付という形で受け取ることができます。
年金は支払額がそのまま受け取れるわけではありません。支払額から税金や社会保険料(介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料)を引いた金額が指定口座に振り込まれます。年金を多くもらっている人ほど引かれる金額は大きいため、定額減税の効果が手取りに大きく表れるでしょう。
しかし、厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の世帯の35%が住民税非課税世帯なので、定額減税の対象とはならない年金受給者は多いと思います。なお、住民税非課税世帯などの低所得世帯には給付金が支給されます。
国民年金と厚生年金の平均はいくら?
ここからは、国民年金、厚生年金それぞれの平均受給額と金額ごとの分布をみていきましょう。
*「国民年金」「厚生年金」の平均受給額
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金受給権者、厚生年金受給権者の平均受給額を紹介します。
■国民年金受給権者の平均年金月額
男性:5万8,798円
女性:5万4,426円
全体:5万6,316円
■厚生年金受給権者平均年金月額
男性:16万3,875円
女性:10万4,878円
全体:14万3,973円
国民年金の場合は5万円台とかなり少ないことがわかります。厚生年金の場合は、男女差が著しく、男性は平均が16万円台であるのに対し、女性は10万円台となっています。
女性の場合、結婚や出産、子育てによってキャリアが中断され、その後はパートなどの非正規雇用となるケースが多く、男性ほど高い賃金を維持できないことが原因のひとつと考えられます。
*厚生年金の月額階級別受給権者数
このように、厚生年金は受給額で男女差が大きいため、平均である14万3,973円が数として一番多くはなりません。そこで金額ごとの分布がわかるように、月額の受給額を1万円単位で階級にして、どの階級が多いのか一目でわかるグラフを作成しました。
女性は7万円以上13万円未満あたりにボリュームゾーンがあり、男性は14万円以上21万円未満あたりにボリュームゾーンがあります。女性は9万円以上10万円未満がもっとも多く、男性は17万円以上18万円未満がもっとも多くなっています。このように男女で山の位置が異なっているのは、働き方や賃金格差が影響しているようです。
おわりに
あなたが受け取っている年金額は、平均よりも多かったでしょうか、少なかったでしょうか。公的年金が少なくても、貯蓄や個人年金などで準備しておけば問題はありません。これから老後を迎える人はiDeCoやNISAなどを活用して、老後資金を少しでも増やしておくといいでしょう。