リンナイは6月12日、カビに関する意識調査の結果を発表した。調査は2024年5月17日~20日、カビ掃除を行っている20~60代の男女1,000名を対象にインターネットで行われた。また同調査は、カビ専門家・千葉大学真菌医学研究センター准教授の矢口貴志氏が監修を行った。
最も多いカビ掃除の悩み、不満は?
自宅のカビ汚れについて「悩む」「どちらかといえば悩む」と答えた人は8割だった。また、最も多いカビの掃除の悩みや不満は、「カビ汚れが落ちない(73%)」だった。
矢口氏によると、カビの菌糸が目地やパッキンの隙間などに入り込むと、カビ汚れ専用洗剤が浸透しづらく、落ちにくい汚れとして残るという。洗浄後、カビの菌糸が少しでも残っていると、またそこから生育を始め、カビ汚れがすぐに復活してしまうとか。
カビ汚れが気になる場所は?
続いて、自宅のカビ汚れが気になる場所について聞いたところ、最も多い回答は「浴室(92%)」、次いで「エアコン(43%)」だった。また、浴室についてカビが生えるイメージのある場所は、「ゴムパッキン(79%)」が最も多い回答だった。
カビ汚れの対策、半数がこまめな掃除
カビ汚れの対策について聞いた結果、「こまめに掃除する(55%)」が最も多い回答となった。カビ汚れを気にする方が多い浴室とエアコンのフィルターの掃除の頻度については、それぞれ、浴室が「毎日(26%)」、エアコンのフィルターは「それ以下(1~2か月に1回程度未満)(57%)」が最多だった。
矢口氏によると、浴室はすぐカビが生えてしまうため、できれば毎日、エアコンのフィルターはホコリが目立ってきた段階(例えば、2週間に1回程度)が推奨されるという。
浴室のお手入れ 水の拭き取りでしっかり乾燥
浴室を使用した後のお手入れ方法について聞いたところ、意識していることとして最も多かった回答は「洗剤で掃除する(68%)」だった。一方で、意識していてもできていないことは「入浴後に水をふき取る(27%)」だった。
矢口氏によると、入浴後、熱めのシャワーで石鹸カスや湯垢などを洗い流し、よく乾燥すれば、カビは生えにくくなるとのこと。しっかり乾燥させるためにも、水分を拭き取り、換気扇を使用することを推奨している。水分を拭き取る際はT字型のワイパーを使用すると簡単だという。浴室でカビが目に着いたら、次亜塩素酸ナトリウムが入ったカビ汚れ専用洗剤を使用して、殺菌、漂白できる。
浴室の乾燥 ドアは開けずに換気
浴室の乾燥方法について聞いたところ、最も多い回答は、「換気扇を使用する(60%)」、次いで「浴室のドアを開ける(43%)」、「窓を開ける(40%)」だった。また、入浴後の浴室の乾燥度合いは、「湿気が気にならなくなるまで(32%)」が最も多い回答だった。
浴室の乾燥は、天井、壁、床の水分を取り除くことが重要に。窓を全開にすると浴室の中央部分の空気が多く移動してしまうので、窓の端を少し開け、壁際に空気が通るようにし、雨の日は窓を閉めて換気扇で換気できる。浴室のドアを開けて換気すると、湿った空気が他の部屋に回ってしまうため、ドアを閉めて換気扇を回すのが良いという。乾燥は浴室全体が乾くまで行い、換気扇だけで不十分な場合は、24時間換気や乾燥機の機能がある浴室はそれらを使用することができる。
浴室のカビ汚れ ブラシでこすらない
続いて、浴室のカビ汚れの掃除方法について聞いた。その結果、最も多い回答は「ブラシやスポンジでこする(71%)」、次いで「カビ汚れ専用洗剤を使用する(59%)」、「洗剤(カビ汚れ専用を除く)を使用する(58%)」だった。
汚れが落ちないからといって、硬いブラシで決してこすると、壁、床、目地、パッキンなどに細かい傷がついてしまい、そこにカビが入り込んで、次からカビが落ちにくくなることも。カビ汚れ専用洗剤を使用してもカビ汚れが落ち切らない場合は、もう一度行うようにと、矢口氏は勧めている。洗剤をかけたあとにラップで覆い、洗剤の成分が浸透すれば、カビが落ちやすくなるという。
悩めるカビ掃除 正しい頻度と専用洗剤の使い方
カビ掃除の頻度について聞いたところ、「見つけたその日のうちに」は3割に留まった。また、カビ汚れ専用洗剤に関して、半数以上が「身体によくなさそう(54%)」と回答した。
カビ汚れ専用洗剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、上水道やプールの殺菌にも使用されており、使用方法を守れば怖くないという。ただし、洗剤の容器に「まぜるな危険」と表示があるように、酸性のものと混ざると塩素を発生して危険だとか。また、スプレータイプのカビ汚れ専用洗剤が眼や皮膚に付着したり、吸入したりするのも危険なため、眼鏡、ゴム手袋などを装着して、よく換気して使用する必要がある。
エアコンのお手入れ・使い方
エアコンの正しい使い方において最も意識していることは、「フィルターを定期的に掃除する(70%)」、次いで「掃除する際は上部のほこりから取り除く(45%)」となった。また、意識しているができていないことは、「フィルターを定期的に掃除する(28%)」が最も多い結果に。
エアコンのフィルターに溜まったホコリにはカビが含まれているので、普段からこまめな掃除が必要だという。冷房時、そのままにしておくとカビが繁殖しやすいため、乾燥させることが重要だとか。エアコンを使い終わったらすぐに電源を切らず、15~20分ほど送風運転して乾燥させることを矢口氏は推奨している。
梅雨時期の部屋干し 浴室乾燥機で屋内のカビ対策
梅雨の時期の洗濯の悩みについても聞いたところ、最も多い回答は「乾きづらい・乾かしづらい(75%)」だった。洗濯物を部屋干しする頻度については、「2~3日に一回程度(34%)」、次いで「毎日(27%)」だった。
部屋干しする際は、なるべく早く乾燥させることが大切。矢口氏によれば、6時間(半日)以内が目安だという。扇風機を使用して風を洗濯物にあてる、除湿器を使用して湿度を下げるなどできる。部屋干しの頻度が増えると、屋内のカビの発生の原因にもなるため、できれば、浴室乾燥機を使用するのが好ましいという。
「梅雨を快適に過ごす3つのポイント」は?
矢口氏がこの梅雨を快適に過ごすための3つのポイントを解説している。1つは、「カビの栄養源を溜めない」こと。カビの栄養源となるもの、浴室では皮脂、石鹸カス、湯垢など、リビングルームなどでは食べかす、ダニの死骸、糞、土などを含むホコリをこまめに取り除くことが重要だという。掃除は朝イチに行うのがおすすめだとか。夜、人が寝ているとき、空気の流れがなければカビは床に落下するため、それをウェットタイプのモップで拭き取り、そのあとで掃除機をかけることができる。
2つめのポイントは、「空気の流れを止めない」こと。空気の淀んでいる場所、家具の裏、部屋の隅、クローゼット内、下駄箱内などはカビが生えやすいため、カビの胞子が定着しないように、扇風機、サーキュレーターなどを使用して、空気の流れをつくること、つまり換気が重要になるという。梅雨の晴れ間、外出する際は、クローゼット、下駄箱などは開けたままにしたり、扇風機などで風を当てるのも効果的だという。
3つめは「なるべくカビを吸わない」こと。身の回りからカビをゼロにするのは不可能だが、こまめな掃除でカビの栄養源を取り除き、カビが定着しないように換気することで、カビがなるべく生えないようにする努力は必要だという。カビを多く吸いすぎると健常な人でも呼吸器系のアレルギーを起こすことがあり、免疫の落ちた患者には肺に感染してしまう危険性があるため、カビをなるべく吸わないことが大切。
リンナイ調べ