Appleは現地時間6月10日、Mac向けの次期OS「macOS Sequoia」(マックオーエス セコイア)を発表した。手持ちのiPhoneの画面をワイヤレスでMacに映す「iPhoneミラーリング」のほか、Safariの強化、新しいパスワードアプリなどを盛り込んだ新OSで、新しいAI機能「Apple Intelligence」も導入。2024年秋に提供開始する。
iPhoneミラーリングは、macOSから直接iPhoneにワイヤレスでアクセスし、操作できるようにする新機能。ネット閲覧中にウェブページ上で簡単に情報を見つけるためのハイライト機能を加えた新しいSafariや、簡単にパスワードにアクセスし、すべての認証情報を一か所にまとめられるという新しいパスワードアプリなども搭載する。
macOS Sequoiaを利用できる製品は以下の通り。
- iMac(2019年発売以降の製品)
- iMac Pro(2017年発売以降の製品)
- Mac Studio(2022)
- MacBook Air(2020年発売以降の製品)
- Mac mini(2018年発売以降の製品)
- MacBook Pro(2018年発売以降の製品)
- Mac Pro(2019年発売以降の製品)
なお、Apple IntelligenceはM1以降を搭載したMacで、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定している場合、今秋からベータ版が米国英語で利用できるようになる。Apple Intelligenceの詳細は別記事で紹介する。
macOS SequoiaのiPhoneミラーリングでは、ユーザーがカスタマイズした壁紙やアイコンを、手元のiPhone上と同じように表示。Macのキーボード、トラックパッド、マウスを使ってiPhoneを操作し、ホーム画面でページ間をスワイプしたり、好きなアプリを起動して楽しんだりできるという。
常時表示のスタンバイともスムーズに連係。Macから直接、iPhoneの通知を確認して応答することもできる。iPhoneとMacの間でシームレスに各種ファイルをドラッグ&ドロップすることも可能で、ユーザーのiPhoneはロックされたままなので他人にアクセスされたり、操作内容を見られることもないという。
Safariブラウザには、経路や要約、クイックリンクなど、Web上の情報をすばやく見つけられるハイライト機能を追加。また、Webサイトを簡潔に表示するリーダー機能を再設計し、ページ上に動画がある場合は前面中央やピクチャーインピクチャーで再生できるように改善した。
ゲーム面のアップデートとして、最新のM3チップファミリーを活用したレイトレーシングによる描画や、パーソナライズされた空間オーディオによる没入感あふれる体験を提供。AirPods Pro(第2世代)では音声の遅延を大幅に低減させたとする。ほかにもフレームレートの改善、先進的な電源管理によるMac全体のパフォーマンス向上などもアピールしている。
WWDCの基調講演では、Ubisoftの「アサシン クリード シャドウズ」をはじめとする多数の新作ソフトをmacOS上でプレイできることを紹介した。
使い勝手の面でもさまざまな改善や機能強化を図った。
たとえば、ウインドウのタイル表示の強化。画面の端にウインドウをドラッグすると、OSが自動的にデスクトップ上のタイルの位置を提案し、ユーザーはそれに沿ってウインドウを正しい位置に配置したり、すばやくタイルを並べて配置したり、より多くのアプリを表示できるように隅に置いたりできるようになる。新しいキーボードとメニューのショートカットで、よりすばやくタイルを整理できるようにする。
ビデオ会議機能にも改善を加えており、FaceTimeやZoomなどのアプリで使える「プレゼンター」機能を強化。参加者(相手)に共有しようとする内容を、画面共有する前に確認できるようになる。ほかにも、自分の背景にさまざまな色のグラデーションやシステムの壁紙を適用したり、自分の写真をアップロードして使えるように改善しており、背景の置き換えはFaceTimeや、Webexなどの他社製アプリでのビデオ通話中に適用できる。
新搭載のパスワードアプリは、パスワードやパスキー、Wi-Fiパスワード、その他の認証情報のすべてを一カ所にまとめて簡単にアクセスできるようにするもの。iCloudの同期は、安全なエンドツーエンド暗号化をサポートする。iCloud for Windowsアプリを使って、ユーザーのApple製デバイスとWindowsの間でシームレスに同期させることもできるとする。