女優の杉咲花が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(毎週月曜22:00~)が10日に放送され、ラストシーンが反響を呼んでいる。(本記事は第9話のネタバレを含みます)

  • 『アンメット ある脳外科医の日記』より(本記事写真は第9話のもの)=カンテレ提供

■杉咲花主演『アンメット ある脳外科医の日記』第9話

週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)連載中で、元脳外科医の子鹿ゆずる氏が原作(漫画:大槻閑人)の同名漫画を実写化する今作は、“記憶障害の脳外科医”という主人公が目の前の患者を全力で救い、自分自身も再生していく医療ヒューマンドラマ。第9話でミヤビ(杉咲)は麻衣(生田絵梨花)に、三瓶(若葉竜也)との婚約について何か知っているのではないかと尋ねる。綾野(岡山天音)、麻衣と4人で過ごした記憶は、南アフリカのケープタウンで三瓶と初めて会ったときのものだった。当時、ミヤビと三瓶が2人でよく行動していたことは事実だが、それは綾野からのアプローチをかわすための嘘が始まりだったという。婚約については麻衣も詳しくは知らず、真実を知るのは三瓶ただ1人ということに。ミヤビはついに、三瓶本人に向き合おうと決意する。

そして、麻衣から「大迫教授はミヤビちゃんに言ってないことがある」と聞いたミヤビは大迫(井浦新)の元を訪ねる。一度は何も答えなかった大迫だったが、あることをきっかけにミヤビを改めて呼び出し、「全部話すよ、君の記憶障害の原因も、それを言えなかった理由も」と語り始める。大迫と三瓶は、別の大学病院で働いていたが、目の前の患者と未来の患者どちらを尊重すべきかで対立。三瓶は、目の前の患者を救うため、院内で反対されながらも独断で未承認薬を使用する。大迫は「それこそが三瓶先生の怖さだよ。わずかな光で周りの人間を惑わせる。ほんの少しでも希望があればリスクをとってでも治そうとする」と話し、「そういう医者だから君の記憶障害の本当の原因を知れば手術すると言い出す。そして、君の命を危険にさらす」と三瓶を危険視。

そして、ミヤビにこれまで見せていなかった脳の詳細なMRI画像を見せる。ミヤビが「ノーマンズランド?」と一言つぶやくように聞くと、大迫は頷き、「人がメスを入れてはいけない領域、君の記憶障害の原因はここにあるんだ」と、無理に手術をすれば命に関わる場所に原因があると明かす。「何度も何度も何度もシミュレーションをして、方法を探ったけど」といい、首を横に振る大迫。「できるものなら、僕が手術で治したかった。でも今は、現状を維持するしかないと判断したんだ。もし手術をすれば君は二度と目覚めることができなくなってしまう。だから三瓶くんには絶対に知らせたくなかった」と、隠していたことを謝罪した。

ミヤビは三瓶に記憶障害の原因を聞いたことは伏せ、好きな食べ物や学生時代の放課後について、他愛のない会話を繰り広げる。しかし兄弟の話になると、三瓶は重度障害者の兄がすでに亡くなっていることを明かし、ぽつりぽつりと過去を語り始める。「僕はまだ光を見つけられていません」。後悔も含む三瓶の涙ながらの告白を聞き、ミヤビは「光は、自分の中にあったらいいんじゃないですかね。そしたら多分、明るく見えると思います」と伝える。それはかつて、記憶がなくなる前のミヤビが口にした言葉だった。大事な思い出がミヤビの中に残っていることを確信した三瓶。「三瓶先生は、私のことを灯してくれました」と言われると、ミヤビを抱きしめる。しかし、涙を流しながら三瓶を抱きしめ返していたミヤビが突然、「ごめんなさい。どなたですか?」と目を泳がせて……。

■SNSでは、ミヤビと三瓶のラストシーンに反響が

最後のミヤビと三瓶のシーンは、子どものとき何の食べ物が好きだったか、兄弟はいるのかという、おやつをつまみながらの他愛もない会話からスタート。本来のドラマであれば省略されてしまいそうな日常会話に、SNSでは、「アドリブ?」と予想する声が上がっていたが、自然な流れで三瓶が重度障害者の兄についての過去を話し始め、一瞬でシリアスなストーリーの本筋に移ると、「演技上手…」「演技が自然すぎる」「ノンフィクション見てるみたい」「ドキュメンタリーのインタビューみたい」と、リアリティあふれる芝居を絶賛する声が上がった。

そして、ミヤビが「ごめんなさい。どなたですか?」と記憶を失うラストシーンでは、「何、、、、、、、、」「もう、え?」「なんで…」と言葉を失う視聴者が続出。劇中で初めて、ミヤビと三瓶が心を通じ合わせたようなハグを見せた直後だっただけに、その落差が与える衝撃もより大きかったようだ。放送後、Yuki Saito監督のSNSでは「ミヤビちゃんと三瓶先生の演技を超えたドキュメンタリー長回し〜衝撃のラスト、いかがでしたでしょうか?」と、このシーンが長回しで撮影されたことが明かされている。

17日放送の第10話では、手術をすれば二度と目覚めることはできない……困難を極めるミヤビ(杉咲花)の病状が三瓶(若葉竜也)の前に立ちはだかる。果たしてミヤビの決意と三瓶の胸中は。物語は最終章へ突入する。

【編集部MEMO】17日放送 第10話あらすじ
一過性健忘の症状が現れ、突如、三瓶(若葉竜也)が誰だか分からなくなってしまったミヤビ(杉咲花)。今回は軽い発作で済んだが、大迫(井浦新)は三瓶にミヤビの病状を詳しく伝えた上で、手術するにはあまりにも危険だから絶対に手を出すなよ、と釘を刺す。数日後、絵描きの柏木周作(加藤雅也)が公園でてんかん発作を起こし、丘陵セントラル病院に運ばれてくる。最悪性の脳腫瘍を患う周作は、できる治療は全て受けてきた上で、もはや手の施しようがない状態。やがて周作は、徐々にこれまでの記憶も失い始め、妻・芳美(赤間麻里子)のことすら分からなくなっていく。その姿に、ミヤビは自分もこの先、何もかも忘れてしまうのだろうかと不安に駆られて……。一方、三瓶は大迫の元で見た、より精細な脳のMRI画像を思い出していた。ミヤビの記憶障害の原因は、決して人がメスを入れてはいけない領域“ノーマンズランド”にあり、無理に手術をすれば命に関わる状態。しかしこのまま放っておいて再発すれば、同じ結果を招く。ならば手術にかけるしかないのか…葛藤しながらも手術の練習に没頭する三瓶に、ミヤビはある決意を口にする。