ビジョンメガネでは、子どもの弱視など眼疾患の早期発見につなげるための啓蒙活動を行っている。
裸眼視力が1.0未満の小学生の割合は過去最大
子どもの視力低下が進んでおり、文科省が2023年11月に公表した2022年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の小学生の割合は過去最大の約4割で、中学生も過去最大となる約6割に上ることわかった。 また、「眼鏡DB(データベース)2023」(眼鏡光学出版)によると、5~14歳の眼鏡購入人口は、コロナ前の2019年から2022年にかけて約57%増加しており、コロナ禍以降の子どもの眼鏡人口の拡大ぶりが伺える。
こうした背景もあり、同社は6月10日の「こどもの目の日」をきっかけに、子どもを持つ保護者に向けた情報発信を強化したという。
その1つとして、目の病気や異常に気づける"子どものサイン"を9つのイラストで紹介するポップを、全国の店舗に掲示するほか、HP上で公開。日常の仕草で「ものを見るとき頭を傾けたり、横目で見たりする」「ひどくまぶしがる」といったことがあると、弱視などの眼疾患の可能性が考えられるが、そうした仕草を同社キャラクター「ビジョンくん」を使い、わかりやすく伝えている。
店頭で販売スタッフが保護者から目の異常に関する相談を受けた場合は、まずは眼科受診を促し、早期発見と治療につなげる。そのほか、同社のHPにおいては「3歳児健診の屈折検査」の重要性に関するコンテンツを公開している。
また今回、「眼鏡作製技能士」の1級を取得している同社営業本部・教育担当 課長の小倉正道氏が、子どもの「視力検査・眼鏡づくり」のポイントを解説した。
「視力検査」はいつ頃から可能?
一般に3歳以上になると「自覚的視力検査」が可能になると言われており、厚生労働省が義務付けている3歳児健診で視力検査が受けられるという。小倉氏は、屈折異常の早期発見、治療のためにも自治体の健診を受けることを推奨している。なお、子どもは自分から「見えづらい」と言うことはめったにないとか。そのため、本やテレビを観ている時の距離や目の動きなどを、大人が注意して見てあげることが大切だという。
眼鏡を作った方が良い視力は?使用頻度は?
眼鏡は、一般的に近視で視力が「0.3以上0.7未満」であれば必要な時だけ使い、「0.3未満」であれば、常に使ったほうが良いと言われているそう。とはいえ、日常生活の眼の酷使の頻度によっても異なり、近視だけでなく遠視や乱視などの人もいるため「参考としてください」とのこと。
屈折異常や視力矯正を放っておくリスクは?
発達段階で何らかの原因により視力の成長が止まってしまうと、眼鏡を掛けても視力が上がらない「弱視」や、右の目と左の目が違う方向を向いてしまう「斜視」になる可能性があるという。これらは自然に良くなることはなく、将来、運転免許の取得や就労に支障をきたすこともあるとか。そのため、発達過程のできるだけ早い段階で、眼科医の指導による適切な治療が必要だという。近視・遠視・乱視の屈折異常を放っておくと、目の疲労や視力機能の低下だけでなく、近視の場合は病的近視に進行する可能性も。黒板の文字が見えづらいことなどが、集中力の低下、さらには勉強嫌いの要因の1つになるとも言われているため、本人にあった視力矯正が大切。
眼鏡をかけると視力が落ちる?
眼鏡をかけて、「近視が進行する」「視力が低下する」ということはなく、眼鏡を頻繁に掛け外しすることも視力低下には繋がらないという。自分にあった度数で、正しい位置で眼鏡を掛けることが最も重要となる。
眼鏡とコンタクトはどちらから始めるのが良い?
コンタクトレンズは、目に直接レンズを乗せて使用するため、使用時間や期限、お手入れなどの衛生管理が必要で、小さな子どもにとっては扱いが難しい。扱いを誤ると目の病気の原因にもなる可能性があるため、コンタクトは、自己管理ができる中学生や高校生になってから使うのが安心とのこと。
子どもが初めて眼鏡をつくる時の重要なポイントは?
まずは眼科で目の状態を詳しく検査してもらい、メガネが必要と診断された場合は処方箋を発行してもらい、眼鏡店へ持参して眼鏡の作成を進めることができる。子どもの眼鏡はレンズ選びも重要。子どもは身長が低く上を見上げる機会が多いため、縦幅のある大きめのフレームに、目線を動かしてもレンズの端まで歪まずに見える視野の広いレンズを入れるのが適しているという。フレームの素材としては、柔らかさと軽さが特長の特殊な樹脂「TR90」や、「ベータチタン」「形状記憶合金」がおすすめだとか。また、毎日使うものなので、「ずれにくい」「掛け心地が良い」などの機能面から選ぶこともできる。店頭では正しい位置で眼鏡を掛けられるよう、眼鏡の受け取り時に、しっかりと調整を行なってもらうことが大切。お店選びは「保証内容やアフターサービスが充実している」「通いやすい場所にある」ことがポイントだとか。
購入後の注意点は?
1カ月に1回を目安に、眼科や眼鏡店での視力測定やメンテナンスを推奨している。子どもは大人に比べて視力が変わりやすいため、定期的(小学校高学年までは1カ月に1回程度、高学年以上は3カ月に1回程度)に視力測定をするのがおすすめだとか。特に9歳未満は眼鏡の取り扱いに不慣れなため、フレームに歪みが発生しやすい。視力変化の有無に関わらず、眼科や眼鏡店で見え方や掛かり具合をチェックできる。
視力を悪化させないための注意点(視力を守る生活法)は?
「読書や勉強をする時は、明るい場所、正しい姿勢で」「本や教科書からは30cm以上距離をとる」「ゲームやパソコン、スマートフォンも長時間使用せず、時間を決める」といった点がポイントに。さらに、日光にあたる屋外での活動も良いとされている。お天気の良い日や休み時間は外で遊んだり、1日の中で2時間程度外に出たりするのも良いと言われている。