福岡名物のひとつといえば「明太子」。以前、博多に単身赴任していた筆者も、安価でおいしい明太子に随分お世話になった。そんな明太子の魅力を楽しくおいしく学べる場所があると聞きつけ訪れたのが、福岡県糟屋郡篠栗町(かすやぐんささぐりまち)にある、やまやの工場「Yamaya Factory Terrace(やまやファクトリーテラス)」である。
やまやと言えば、福岡でも有名な明太子ブランドのひとつ。今回は同ブランドが運営する工場へ招待してもらったので、潜入していこう。
明太子の楽園「やまやファクトリーテラス」
博多駅から電車で約30分、篠栗駅からシャトルバスで約5分の場所にやまやの工場・やまやファクトリーテラスがある。駅から工場までは、かわいらしい真っ赤な無料の送迎バスが出ているので、当日はこちらを利用した。
明太子の魅力を体感できる施設として作られた本工場は、「知る」「買う」「食べる」といったコンテンツが用意されている。館内では、製造工程が見学できるほか、体験イベントやレストランでの食事を通して魅力を知れるいわば"明太子の楽園"だ。
テクノロジーを駆使した工場見学へ
早速、誰でもいつでも無料で体験可能な工場見学へ。エントランスを抜けると、九州のおいしいものを集めたかわいらしいイラストが来場者をお出迎え。
実はこの絵の中には、あるワードが隠れている。なんのワードかは、現地へ行ってのお楽しみだが、「それを見つけてみてください」と遊び心ある仕掛けから見学はスタート。
エントランス左手には映像コーナーがあり、明太子の歴史ややまやの明太子の製造工程をまとめたガイダンスが上映されている。各自、好きなタイミングで見たあとは、階段を上がってファクトリービューエリアへ。
ここでは明太子の製造工程を楽しく学べるだけでなく、窓からは実際に作業風景を眺めることも可能。デジタル×リアルを組み合わせて、普段知ることのできない工場の裏側や明太子の秘密を知ることができた。
オリジナルめんたいこ作り
お次は「オリジナルめんたいこ漬けこみ体験」(大人 5,000円、子ども(※高校生まで)2,000円)へ。
体験をする前に、まずは"明太子とは?"といった基本情報を学ぶ! そもそも明太子はスケトウダラの卵巣を塩蔵したタラコを、唐辛子を原料とする調味液などで味付けしたもの。
タラコはスケトウダラの卵巣を塩蔵したもので、唐辛子の有無によって名称が異なってくる。
ただ、一口に辛くするといってもこの味漬けが各社こだわりのポイント。
やまやの場合、漬け込み液は独自で作った「先辛」ブレンド唐辛子のほか、北海道産の昆布、福岡・喜多屋の酒を使用する。さらに柚子こしょうをプラスすることで、華やかで上品な香りを演出。また漬け込み時間はなんと168時間、1週間ものあいだ熟成させる。
こうすることで、コクがありながらもゆずの爽やかな香りが印象的な明太子ができあがる。
今回はこの明太子づくりを体験。工程は簡単で、オリジナルの漬け込み液を作り、そこにタラコを漬け込むだけ。
酒、ゆずこしょうをビーカーにいれ、ここににんにくペースト・かつおだし・ブラックペッパーを好みの分量だけいれていく。筆者はごはんが食べたくなるような香りを生み出すにんにくペーストと、うまみがアップするかつおだしを投入。
そのあとはタイプが異なる3種の唐辛子を好きな分量だけいれ、辛さなどを調節する。最後に昆布を追加すれば漬け込み液が完成だ。
この漬け込み液にタラコを浸し、味をなじませるため30回程度もみもみもみ。最後はラベルを作り、自宅に持ち帰るだけ。帰宅後は冷蔵庫で168時間寝かせることで、オリジナル明太子の完成だ。
ちなみに筆者は、シンプルに白ごはんと明太子の組み合わせでいただいた。これが最強のおかずで、食欲をそそる香りと味わいでごはんが進む進む! 食べるシチュエーションなども考えながらぜひ、世界にひとつだけの明太子を作ってみてほしい。
"明太子のおかわり自由"などが楽しめるレストラン
レストランには、明太子を堪能できるメニューが勢ぞろい。その中でも、ランチタイムに楽しめるめんたいビュッフェ付のメニューはここに来たらぜひ食べてほしい。
めんたいビュッフェは、明太子のおかわり自由をはじめ、色とりどりのサラダや白ごはん、みそ汁、ドリンクも好きなだけ楽しめるのが魅力。
今回は「熟成 鶏の唐揚げめんたい風味定食(めんたいビュッフェ付き)」(1,680円)を試食させてもらった。これが届いてびっくり! 単位が1個というよりも1枚と言ってもいいほどのビッグサイズの唐揚げに、明太子が1本、さらに野菜やごはん、みそ汁がついてくる。これは食べ盛りを連れてきても安心のコスパ最強メニューと言えるだろう。
唐揚げにかかった明太子のピリ辛なタレはまるで食欲増進剤! 一度食べたら最後、病みつきになるその味をぜひ体験してみて。
レアなお土産もそろうマーケット
入り口右手にあるマーケットでは、やまやの商品のほか、九州の美味しいものが手に入る。
ここに来たならチェックしておくべきなのが、工場併設のやまやファクトリーテラスでのみ販売している「八十八っ歩めんたい」(1,680円)。工場からショップまでわずか88歩で到着することから名付けられた本商品は、漬け込み後、一度も冷凍していないからこそ味わえるプチプチとしたはじける食感がたまらない!
ちなみに、酒飲みの筆者としては、明太子を熟成・乾燥させてからすみ風に仕上げた「やまやドライ明太子」(1,458円)がおすすめ。明太子を丹念に乾燥させることで、辛子明太子本来のコクとうまみを凝縮させているという。
こちらはそのまま薄くスライスすれば簡単に酒のお供が完成。これが日本酒や焼酎と非常に相性がいい。
本商品は常温で持ち運びができるので、酒好きへの贈り物にもピッタリだ。ちなみに、やまや社員に聞いたところ、接待や取引先へも持って行くというほど重宝する手土産なんだとか。
そのほか、めんたいチューブやめんたいせんべいなんかもあるので、ぜひ工場を訪れた際は、多彩なお土産をチェックしてみてほしい。
■Information
「Yamaya Factory Terrace(やまやファクトリーテラス)」
【所在地】福岡県糖屋郡篠栗町彩り台1-1 2F
【営業時間】10:00~17:00 (レストランラストオーダー 16:30)
※10:00~11:00、15:00以降はカフェメニューのみ
【定休日】不定休
【料金】入場無料(一部体験やレストランでの飲食は有料)
※同施設での支払いはキャッシュレス決済のみ
やまやの知られざるユニークな店舗に寄り道
工場だけでは物足りない方へ。最後はやまやのユニークな店舗もちらっと紹介。明太子のイメージが強い同社だが、会社としては"九州の美味しさを発信すること"に注力している。
上質空間で九州食材を味わえる「やまや総本店 白金小径」!
天神や博多の都心に近い白金エリアに佇む「やまや総本店 白金小径」は、黒い箱のような一風変わった見た目が特徴的な店舗。
その入り口を抜けるとなんと想像に反して、店内は庭を囲むように丸くなっている。春には梅や桜、秋には紅葉など四季を感じられる庭を眺めながら、旬の食材を使った料理が味わえる。
ランチメニューには"できたてめんたい"と地元九州のお米を使った釜炊きごはんなどが味わえる「博多めんたい織 ~御膳~」(3,300円)や、車海老、明太子をはじめとした海の幸を散らした「博多めんたい織 ~海鮮重~」(2,200円)をラインナップ。
いずれも博多織を代表とする「献上柄」のひとつである「五色献上」と呼ばれる五色で構成された帯をモチーフに創作された。
そのほか、店内では手土産も購入することができ、辛子明太子「山本秀波の明太子」(10,800円)なども用意されている。上質な空間で九州の美味しさを存分に楽しむなら、白金小径へ。
■Information
「やまや総本店 白金小径」
【所在地】福岡県福岡市中央区白金1-5-5
【営業時間】ランチ 11:00~15:00(L.O. 15:00)
ハッピーアワー・カフェ 15:00~18:00(L.O. 17:30)
昭和レトロな「果樹蔵フルーツ工房 白金」
明太子だけでなく甘い物も食べたいと思ったあなたは、白金小径のすぐ隣「果樹蔵フルーツ工房 白金」へ。レトロかわいい雰囲気を醸し出す同店は、"和"と"九州のおいしいフルーツ"をテーマにしたカフェ。
1階はフルーツなどの販売ショップ、2階は日本家屋をイメージしたイートインスペースになっている。ノスタルジックな雰囲気の中でいただいたのは、見た目にも鮮やかな「果樹蔵フルーツ膳(抹茶体験セット)」(2,300円)だ。
九州のフルーツなどをぎゅぎゅっと詰め込んだお膳仕立ての一品は、まるでスイーツの宝箱! 福岡・八女の抹茶をたてるめずらしい体験もかなうので、ぜひ見て・食べて・体験して楽しい一品を味わってみてほしい。
■Information
「果樹蔵フルーツ工房 白金」
【所在地】福岡県福岡市中央区白金1丁目6-1-1
【営業時間】11:00~19:00(イートイン L.O. 18:00)
【定休日】なし(年末年始は除く)
おなかもはきちれんばかりになりお土産でも買って帰宅しようと思ったら……やまや社員が、「実は店舗の中でもキャナルシティ博多店が1番試食ができるんですよ」と耳より情報を教えてくれた。工場まで行けない人は、試食しながら買い物ができる同店へ行ってみるのもアリだろう。
みなさんもぜひ寄り道も楽しみながら、明太子の魅力にどっぷりつかってみては?
取材協力:やまやコミュニケーションズ