日本で中国製電気自動車(EV)のリース事業を手掛けるアパテックモーターズというベンチャー企業が、福島県に自動車の組み立て工場を持つべく準備を進めている。将来的には中国の自動車メーカーと日本の部品メーカーの橋渡し役としての役割を担い、日中合作のEVを作って日本で販売したいというのが同社の目標だ。
逆ファブレスは実現するのか
アパテックモーターズは現在、中国製EVを日本に輸入し、BtoBでのリース事業を展開中。昨年の時点でバックオーダーは3,500台に達していた。同社代表取締役社長の孫峰さんによると、取り扱う車種については「日本で受け入れられる、人気が出るのはどんなEVなのか」を見極めつつ、中国で販売中のクルマを持ってきているとのこと。小型車が多いのは「道路が狭い」「ちょい乗り需要がある」「地方でのクルマの乗り方を見ていると、1~2人での移動がメイン」「軽自動車の販売台数が多い」などの理由からだという。ブースに展示してあったのは4車種だが、実際に取り扱っている車種は倍くらいあるそうで、物流用のバンなども用意しているという。
同社は現在、福島県で工場を持つべく用地選定を進めているところだ。日本に工場を持ったあかつきには、地産地消で日中合作のEV生産を行いたいという。
日本の自動車メーカーが企画、設計して、実際の生産を中国など海外にある工場に委託する「ファブレス」というクルマ作りの話は聞いたことがあるが、その逆が実現すれば、けっこう画期的だ。孫さんは「大きな部品を中国など海外から日本に運んでくるのは割に合いません。日本のティア1、ティア2のメーカーさんと中国の自動車メーカーをつなげるような役割を担いたいと思っています」と話す。
自動車産業は日本のお家芸。「逆ファブレス」の実現はなかなかハードルが高そうだが、「無謀な挑戦かもしれませんが、我々はベンチャーですから」と孫さんは前向きだ。消費者目線で見れば、価格の安いEVの選択肢が増えるかもしれないし、日本で生産からアフターサービスまでやってくれるなら安心感も高いので、同社の取り組みについては今後も注目していきたい。