英Nothing Technologyのカール・ペイCEOは6月5日、Xの投稿を通じて、Nothingがコンシューマ向けAIの競争に参戦していることを明らかにした。同社が考えるAIデバイスについて語り、初期コンセプトのデモを披露した。スマートフォンの次期フラッグシップモデル「Phone (3)」で、来年からAI機能の導入を開始するという。

  • カール・ペイ氏

    カール・ペイ氏のX(@getpeid)から

AIウェアラブルデバイスの「Humane Ai Pin」や、AIアシスタントデバイス「Rabbit R1」など、ポスト・スマートフォンを見すえたようなAIデバイスが今年注目を集めた。しかし、発売後の製品レビューでは、それらの限られた機能や乏しい有用性を指摘する評価が相次いだ。

ペイ氏は「人々はスマートフォンが大好きで、毎年十数億台が売れている」と指摘。全く新しいAIデバイスにスマートフォンが取って代わられるのではなく、「AIファーストのハードウェアとしても、スマートフォンがメインフォームファクタになる」と予想している。

一方で、スマートフォンは、高速化し、デザインも向上しているものの、「基本的なユーザー体験は変わっていない」と指摘した。AIがユーザーを理解し、必要としているものを提供することで、今日のアプリ中心からポスト・アプリの体験が実現する。テクノロジーとのやり取りをより快適に感じさせ、人間的なつながりも生み出すインターフェイスに消費者のニーズがあるという考えを示した。

  • カール・ペイ氏

    カール・ペイ氏のX(@getpeid)から

初期コンセプトのデモの1つは、パーソナライズされたダイナミックなホームスクリーンだ。近々必要になるチケットのQRコードを自動的に表示したり、ユーザーが興味を持ちそうなWebコンテンツを知らせたりする。もう1つは、対話を通じて、ユーザーがフレンドリーで快適と感じる対応を提供するAIアシスタントである。

AI機能の統合は、アプリを否定し、アプリと競争するのを意図したものではない。アプリ中心の環境からポスト・アプリの世界への橋渡し役となるように「慎重に進めていく」としている。ペイ氏はまた、PlayStationやXboxに対する任天堂を例に挙げ、同じレースを競うのではなく、ユーザーが楽しいと感じる体験を提供するのがNothingの仕事だと述べている。