タフネス仕様のスマートウォッチを探してみると、どうしてもハイエンド帯の製品が多く、アウトドアやスポーツシーンにおいて、入門レベルで使うにはハードルが高いものです。
一方で、Zepp Health Corporation社が展開する「Amazfit(アマズフイット)」ブランドから、3月末に発売されたタフネスモデルの「Amazfit Active Edge」は、MIL規格に準拠するタフネス仕様を備えており、かつ19,900円という手頃な価格帯に収まっています。「ちょっと試してみようか」くらいの気分で、チャレンジできる選択肢のひとつだと言えるでしょう。
本稿では、同機の概要をおさらいしつつ、実機を使用した上での印象をお届けしたいと思います。
10ATMの防水性能を備えたタフなスマートウォッチ
この「Amazfit Active Edge(アマズフィットアクティブエッジ )」は、1.32インチのディスプレイを備えたタフネス仕様のスマートウォッチです。
製品のコンセプトは、“アクティブな都市生活での衝突やすり傷に耐えるために”とされており、アメリカ国防総省が定める物資調達基準であるMIL規格(MIL-STD-810G)に準拠したタフネス仕様であることがポイント。
具体的には、「低圧」、「極端な高温」、「極端な低温」、「熱による衝撃」、「塩霧」、「振動」、「衝撃」といった7項目に対応しています。また、10ATM(気圧)の防水性能も備えており、静止状態で100m(10気圧)までの水圧に耐えることも安心です。
カラーバリーエーションとしては、「ラバブラック」「ミッドナイトパルス」「ミントグリーン」の3色が展開されており、今回は「ミッドナイトパルス」を試用しました。
外観としては、樹脂製のケースに、同色のストラップバンドが備わっています。ミッドナイトパルスの場合には、樹脂はやや透明感を伴ったカラーであり、見た目は軽やかです。バンドはオーソドックスなピンバックル式が採用されています。
ボタン類に関しては、2時、4時、8時、10時の位置に計4つのボタンを搭載。裏面には、光学式の心拍数センサー類が備わっています。また、2つの充電端子もそこに並び、マグネット式で固定する専用端子を使って充電する仕組みです。
特殊な操作はなし、慣れない人でも使いやすい
同機のディスプレイは、タッチ操作に対応しており、日常シーンでは素手で画面をタッチ操作するのが手軽です。
具体的な操作としては、画面上部から下スワイプすると、アイコン類が表示され、バッテリー残量を確認したり、各種機能へのショートカットが使えたりします。
反対に下部からスワイプアップすると、トレーニングの進捗などを確認できる画面が開きます。そして、右スワイプで、通知画面。左スワイプでアプリリストの画面が起動するというもの。
特殊な使い勝手ではないので、スマートウォッチの使用経験がなくとも、多くの人は数日で慣れるでしょう。
また、アウトドアシーンでの操作に関しては、ボタンを駆使しても良いようになっています。例えば、2時位置のボタンでワークアウトメニーの起動(または決定)、4時位置でアプリリストの起動(または戻る)、8時位置で下へ、10時位置で上へ――といった操作が可能です。
さらに、ボタン表面には、滑りどめの溝も掘られており、グローブを装着した状態でも扱いやすいと言えます。
日常向け機能は十分だが満足に使えない部分も
Amazfit Active Edge限定の機能というわけではありませんが、タフネス仕様のモデルでありながらもライフログを測定できる項目や、タイマーのような使える機能は充実している印象です。
例えば、「ワンタップで測定」という機能を使えば、心拍数、ストレス、血中酸素、呼吸速度――の4指標をまとめて計測できます。ただし、筆者の場合、腕の毛が伸びた状態だと正常に動作せず、毛を剃ってから再度試したら正常に計測されたことを補足しておきます。
ほかには、運動向けの「Zeppコーチ」機能も日常的に使うことになるはずです。同機能は、状況にあったトレーニングメニューを提案してくれるもので、トレーニングを勧めるスケジュールでリマインドしてくれたり、反対にトレーニング日以外にワークアウトをする際に注意を促したりしてくれます。
また、日常的な運動習慣については、「PAI」という指標を使って継続的な運動量をキープできるように、モチベーションを維持できる仕組みが整っています。
睡眠については、機器を装着して就寝することで、睡眠時間を計測でき、さらに「覚醒」「REM」「浅い眠り」「深い眠り」の4段階の分析も可能です。さらに、日中の仮眠をしっかり認識してくれることもポイント。同製品の価格帯を鑑みれば、コストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。
10時間のトレッキングで使ってみた、電池持ちが頼りに
さて、今回はレビュー期間中にちょうど屋久島に行く機会が重なったので、往復10時間のトレッキングで、Amazfit Active Edgeを使用してみました。
結論から言うと、シティユースをうたう同機でも、アウトドアシーンでの活躍はある程度期待できるます。タフネス仕様や防水性能のおかげで安心して利用できるほか、バッテリー持ちが良く、位置情報即位の性能も頼もしいレベルでした。
ワークアウトを「ウォーキング」として測定していましたが、バッテリー残量が100%のところからスタートして、10時間以上が経過してたどり着いたゴール地点でもまだ50%残っていました。今回は日帰りのトレッキングでしたが、このスタミナならば1泊2日の予定でも十分に対応できるでしょう。
位置情報については、5衛星測位(GPS、GLONASS、Galileo、BDS、QZSS)をサポートしており、往復22kmのコースを測定して、約21km程度の記録となりました。「ウォーキング」として測定していたため、登り降りの動きが中心となるエリアで誤差が出てしまったのでしょうが、それでも平坦な道を歩く際には、ペースや進捗の目安として心強い存在となりました。
なお、今回はルートナビゲーション機能を使いませんでしたが、スマートフォンの「Zepp」アプリ経由でルートを取り込むことで、ワークアウト測定の際に「ナビゲーション」を選択することで利用できます。
ワークアウトのメニューとして、ハイキングや登山のメニーが選択できれば良かったな、とは感じましたが、その反面、かなりマニアックなアクティビティや種目(例えば「ロッククライミング」や「ムエタイ」など)には対応しているので、幅広いシーンで活躍が期待できるでしょう。
あくまでシティユースを主用途に掲げている製品だと認識しておく必要はありますが、2万円弱で入手できるタフネスモデルとしては完成度の高い一台だと思います。