第74期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は一次予選が大詰め。6月4日(火)には第1ブロック決勝の屋敷伸之九段―本田奎六段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの持久戦からリードを奪った屋敷九段が108手で勝利。二次予選進出を決めています。
残る枠は7つ
本一次予選は16名程度からなる山を勝ち抜いた計9名が二次予選に進むもの。本局までに服部慎一郎六段と高田明浩五段が進出を決めています。振り駒が行われた本局は先手の本田六段が相掛かりを志向。3筋の歩を突いたところで後手の屋敷九段が揺さぶりに出ます。
飛車を1路寄ったのはタテ歩取りを見せて先手の指し手に制約を与える狙い。対する本田六段は穏やかに応じ、局面は持久戦に落ち着きました。ともに中住まいの陣形を完成させ戦機が熟したところで屋敷九段は飛車を右辺に転回。2筋逆襲を見せ先手の動きを誘います。
馬の力で屋敷九段勝利
「先手の桂頭攻め対後手の飛車先逆襲」という構図で右辺での小競り合いが続いたのち、ペースをつかんだのは屋敷九段でした。桂の取り合いが一段落した局面で馬を自陣に引き付けたのが大局的な好手。この馬が力を発揮して先手からは思うような攻めがありません。
優位に立った屋敷九段は軽い手筋で反撃を開始。8筋に放った手裏剣の歩は一歩を差し出すかわりに先手玉の退路を封鎖する手筋。これを取れない先手は受けに窮しています。終局時刻は16時0分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた本田六段の投了で屋敷九段の勝ちが決まりました。
勝った屋敷九段は一次予選4連勝で二次予選進出を決めています。
水留啓(将棋情報局)