海外旅行に行きたいけど、魅力的な国がたくさんあって、どこがいいのか悩んでしまう――そんな方に向けて、世の中には「旅行好きがオススメする国」「SNSで今最も注目されている国」など、いろんな視点でレコメンドする情報があふれているが、今回マイナビニュースでは、“海外ロケバラエティ番組を作る人”に、オススメの国を直撃。
世界中の“宿・グルメ・観光スポット”情報の真偽を確かめるため、アンタッチャブルやスタッフが自ら現地調査を敢行、海外を中心に楽しいロケを届けるバラエティ番組『アンタッチャブルの早速行ってみた』(カンテレ・フジテレビ系毎週火曜21:00~)の総合演出・横田幸介氏が、4日・11日に放送されるドバイロケなど番組の見どころと共に、これまで番組で紹介したなかから「驚いた国」「オススメの国」「苦労した国」を教えてくれた。
海外ロケを中心とした番組にリニューアル
――昨年4月にスタートした『アンタッチャブるTV』が1年経ち、『アンタッチャブルの早速行ってみた』としてリニューアルされました。パワーアップした点を教えてください。
まず、僕個人としてはアンタッチャブルさんの「低評価宿企画」、「行き当たりばったりでプラプラする企画」や、尾形軍団の皆さんの「ゴミ拾い企画」、ウエストランドさんの「悪口漫才企画」、きしたかの高野さんの「海外ハードロケ企画」などが大好きだったのですが、4月以降、さらなるパワーアップを目指して、前身の番組で視聴者の皆様からの評判が良かった「海外ロケ」を中心としたリニューアルに舵を切りました。パワーアップしたからには、これまで以上に“海外だからこそ撮れる強い画”を求めて、予算の都合上、タレントさんなし、スタッフだけのロケも敢行しています。
――番組を拝見していると、スタッフさんだけのロケも楽しく仕上がっていますが、力量が問われそうですね。
めちゃくちゃ問われると思います。ネット上に書かれた謎の書き込み「謎レビュー」を現地まで調査しに行くという企画では、当然ロケの前に下調べをするわけですが、その場所のことをくわしく知ってしまうと、カメラを回したとき素直なリアクションを取るのが難しくなってしまう。だからリポートを担当するディレクターは会議に一切出ず、レビューだけ見て「観光客」と同じ状態で現地入りしたりと、ロケチームごとにいろいろな工夫をしています。僕からオーダーしているのは、「ふざけずに、一生懸命、真っ直ぐな調査をしてきてほしい」「トリッキーな演出や斜に構えたリポートはいらないので、とにかく汗をかいて調査してきてほしい」ということ。その結果、一生懸命さが裏目に出て色々と失敗してしまうスタッフもいますが、スタジオにはアンタッチャブルさんや、よく来てくださる滝沢カレンさん、ゲストの芸人さんと手練れのタレントさんがそろっているので、そのロケ映像を脚色せずに流しても、ワイプでしっかり違和感を見つけてツッコんでくれる。演者の皆さんは、一生懸命やってるスタッフになんだかんだ優しいんです。そのスタジオとのセッションが、番組の色にもなっています。
一番驚いた国とオススメの国を紹介
――海外ロケバラエティ番組を作っている横田さんが、番組で紹介したなかで一番驚いた国を教えてください。
ベタですけど、インドと中国です。僕は直接行っていなくて、リサーチの段階でどんなものを撮影してくるか聞いていたのですが、上がってきた映像は想像を大きく超えていました。中国では「焼いた石を食べている」というネタの検証で夜市に行ったのですが、焼いた石のほかにも「焼いた牛乳」や「謎の甘いお寿司」が売っていて。インドには日本では考えられないくらいの人がいて、人口が多いことを知っていても「こんなに人が密集してるの!?」と驚きました。街を歩いているだけで日本にないものが見られるんだなとインパクトを受けたのが、この2つの国でした。
――では、旅行にオススメの国を教えてください。
ブルネイはオススメです! あまりほかの番組で紹介していないような国を探していて、「税金ゼロ、学費ゼロ、医療費ほぼタダ」という情報に驚いて取り上げたのですが、今でもアンタッチャブルさんが「良かったよね」「ゴハンおいしかったよね」と仰ってくれます。同行したスタッフも「現地の皆さんが優しかった」と、くどいぐらい僕に教えてくれるので、相当感動したんだと思います。石油で経済を安定させていたブルネイですが、観光に力を入れ始めているので、まさに今行くべき国なのかもしれません。7つ星なのに割と安価で泊まれるホテルもあるし、治安もいいし、直行便も出ていますし、海もキレイで、絶対にいいと思います。
行って初めてロケの難しさを知った国
――では最後に、ロケで一番苦労した国を教えてください。
国としてはとても素晴らしいのですが、ロケで苦労したという点でいうと、4日、11日に放送するドバイは大変でした。これまでいろんな番組のドバイロケの映像を見ていて、個人的に「編集が不自然だな」と感じることが多々あったんです。今回ロケに行ってその理由が分かりました。ドバイは撮影許可を取るのがすごく難しい。海外ロケあるあるなんですが、この道はカメラを回しちゃいけないとか、この建物は外観を撮るだけでお金がかかるとか、ほかの国と比べてもダントツで規制が厳しいと感じた国でした。
――そんな苦労がある国なんですね。
撮影に制限があった分、アンタッチャブルさんとスタッフでいつも以上にワンチームになって知恵を出し合い、ドバイの魅力がしっかり伝わる映像ができたと思っています。いい意味で、裏側の苦労なんてなかったかのような仕上がりになっていて。日本じゃ見られないようなすごくキレイな景色やあり得ない現象をたくさん収めることができました。ドバイはスケールが桁違いです。
ドバイロケはアンタッチャブルの仲の良さに注目
――ドバイロケの、4日放送の1週目の見どころを教えてください。
とにかくアンタッチャブルのお二人の仲がいいところです。ゲストの新垣結衣さんや滝沢カレンさんたち女性陣がすごく微笑ましい笑顔でVTRを見てくださったのですが、「おじさんがハシャいでる姿」を見ていると確かにあの表情になるなと思いました。また、中盤あたりの「柴田さんの本編に全然関係ないお話」に注目してほしいです。本編に全然関係ないので、ディレクターが最初に編集した映像では全く使われていませんでしたが、僕個人の好みで全部使わせていただきました。スタジオでも柴田さんは「なんで使うんだ?」と不思議そうでしたが、山崎さんは大はしゃぎで(笑)。僕もめちゃくちゃ面白いと思っているので、絶対に見てほしいです。ドバイの派手な映像もいいですが、一番の見どころは「柴田さんの掛け算のお話」です。そのほかにも、柴田さんはドバイの街を飛んだり、高いところに吊るされたりと、たくさん頑張ってくれました。
山崎さんの見どころは、下町情緒あふれるオールドドバイのロケ。ドバイのなかでも物価の安い、“値切り文化”のある場所で、山崎さんには「値切り交渉をしてください」とだけリクエストしました。そのシンプルなお願いだけで、言葉も通じてないのに、山崎さんの手腕で、お店の人もかわいく見えて、場所も魅力的に映って、あんなに面白くしてくださるのはさすがだなというロケになっています。海外の派手な画も魅力的ですが、この番組にとってはアンタッチャブルさんの面白さが伝わるロケが一番大事だなと、改めて感じるドバイロケでした。
1987年生まれ。愛知県出身。11年、関西テレビ放送に入社し、営業セクションを経て15年に制作セクションへ異動。『有吉弘行のダレトク!?』『マルコポロリ』『おかべろ』などでディレクター、20年から『マルコポロリ』で総合演出を担当。特番『パンドラTV』の4度の放送を経て23年4月よりレギュラー化を果たした『アンタッチャブるTV』、現『アンタッチャブルの早速行ってみた』の総合演出を務める。