都心にありながら森のような広大な庭園の中に立つ、ホテル椿山荘東京。言わずと知れた歴史ある名門ホテルですが、実は毎年5月中旬から6月中旬頃にだけ、庭園内を舞うたくさんの蛍が楽しめるのをご存知ですか?
ホテル開業からわずか2年後、戦後間もない1954年に、創業者の「子どもたちに蛍を見せたい」という想いからスタートした「ほたるの夕べ」は、今年で70周年。このほど、都心の日本庭園を蛍が舞う景色と、都内のホテルで初めてアフタヌーンティを提供したと言われるロビーラウンジ「ル・ジャルダン」のイブニングハイティーを体験する機会があったので、魅惑の光景と絶品グルメをレポートします。
緑がまぶしい庭園の風景を楽しみながら、今だけの「新緑イブニングハイティー」を満喫
東京観光に訪れた方や、海外から東京に来た方にも人気の「ル・ジャルダン」では、ただいま美しい庭園の新緑をイメージした、期間限定メニューのイブニングハイティーが楽しめます。
そもそも「ハイティー」とは、アフタヌーンティーよりも遅い時間帯にいただく軽食のこと。ですが「ル・ジャルダン」のイブニングハイティーは、とにかくボリュームたっぷりと評判なのです。
この日、案内されたのは、庭園の緑が見える窓際のソファ席。景色に見とれていると、さっそくグラスシャンパンがサーブ。ちなみにシャンパンのほか、赤または白ワイン、ビール、ソフトドリンクからセレクトできます。
冷えたグラスシャンパンで爽快感を味わっていると、三段のオードブルスタンドが登場。思わず拍手&歓喜の声がもれてしまうほど目にも鮮やかで美しく、彩り豊かなセイボリーの数々。食べてしまうのがもったいないほどのかわいらしさですが、さっそく上段からいただきましょう。
上段は、フランス発祥のコロッケのような揚げ物料理「真鯛のクロケット」に、シャンパンとの相性抜群の「アスパラガスとベーコンのキッシュ」。目にも涼やかな「メロンとトマトのコンポート」は、意外な組み合わせがさっぱり絶品です。
中段は、サクサクとした食感がアクセントの「カニと根セロリ オレンジサブレ」に、チーズの塩味とカラメルの甘味が意外な美味しさだった「ゴルゴンゾーラとマスカルポーネのブリュレ」。そして、カラフルな「スティックサラダ」には、サフランドレッシングをかけていただきます。
下段は、抹茶のプチケーキのような「しらすと大葉 紅芯大根のサンドウィッチ」や、「ポークリエットとナッツのキャラメリゼ 抹茶のチュイル添え」、グラスに入った「ローストビーフとパイ ウニとキャビア」に、山椒の香りが合う「グリンピースと青のりのキッシュ 山椒風味」と、どれも本当に食べ応え十分のメニューが並んでいました。
そして、マッシュポテトを添えてサーブされたのが、お待ちかねの「シェフ特製ローストビーフ」。まるで超高級ステーキのようなたっぷりと厚みのあるローストビーフの登場に、再び歓声と拍手です! 一枚ずつお皿に取り分けていただきます。
低温調理でしっとりと焼き上げられ、ナイフがするっと入るほど柔らかくジューシーなローストビーフは、ハーブソルト、レフォール(西洋わさび)、自家製のグレイビーソースと、どれを合わせても本当に本当に絶品。一度食べたら忘れられない「ル・ジャルダン」の看板メニュー、と言われるのも納得のボリュームと美味しさでした。
最後に登場したデザートは「抹茶とオレンジのモンブラン」。オレンジの風味が香るスポンジの上に、新緑をイメージした抹茶クリームがたっぷり。抹茶のほろ苦さとオレンジのさっぱりとした味わいが、豪華なイブニングハイティーの締めくくりにぴったりのスイーツです。
一緒にいただく飲み物は、紅茶やコーヒー、ハーブティーなど、20種類近くの中から選べます。ここでしかいただくことのできない特別なハーブティー「ル・ジャルダン」は、レモングラスとカモミール、スペアミントに瀬戸内レモンをブレンドした、さわやかな香りの一杯。モンブランとのペアリングも絶品でした。
この絶品イブニングハイティーは、18時、18時30分、19時スタートまで。1名でもWebから予約可能なのが嬉しいところ。今回ご紹介した「新緑イブニングハイティー」のメニューは6月30日までの提供で、7月からは夏野菜がふんだんに取り入れられた、夏のイブニングハイティーが登場するそうなので、こちらもお楽しみに!
さて、雰囲気抜群の空間でゆったりとお食事を楽しんだら、日が暮れてライトアップされた庭園へ。ついに蛍との対面、期待が高まります!
東京都心にいることを忘れる、幻想的な蛍の舞
ホテル椿山荘東京が位置する文京区は、東京ドームなどもあるような都心のど真ん中ですが、蛍の専門家や庭園・施設スタッフが一丸となり、蛍の幼虫を飼育する施設や、蛍が生育しやすい環境づくりに日々取り組んでいるそう。
取材したこの日は、記録的な大雨と強風吹き荒れる、あいにくのお天気。優雅に舞う光はおろか、水辺に止まった蛍たちが風にあおられて危ないのでは、なんて心配をしていたほどでしたが……。
しかし! 庭園の素晴らしい環境で育った蛍たちは、本当に元気。数多くの蛍の光が舞う美しい光景を見せてくれました。
ここで見られる蛍は、日本人に古くから親しまれてきたゲンジボタルです。蛍のために照明を落とした暗闇の中、心地よい涼しさを感じながら、たくさんの蛍の光が点滅しながらふわふわと飛ぶ光景は、まさに都心にいることを忘れそうなほど幻想的。
蛍の姿を楽しめるのは、秩父山系の清らかな湧水が流れる「ほたる沢」エリアのほか、屋根のある「ビオトープ」のスペースでも。天候に左右されることなく、とても間近に蛍の姿を観察できます。夢中になって蛍の光を見つめる子どもたちの姿が、微笑ましい空間でした。
初夏の手土産にもぴったり! 季節限定スイーツにも“蛍”が
「ほたるの夕べ」の開催期間中は、ホテル内のさまざまレストランでスペシャルメニューが登場するほか、目にもかわいい季節限定のスイーツも多数登場しています。なかでもお薦めは、庭園を舞う蛍の光をイメージした「ふきよせ~蛍~」(2,000円)。手のひらにのるくらいのかわいらしいオリジナルパッケージの中には、カラフルな星型のアイシングクッキーや金平糖、サクサクとした丸いクッキーがぎっしり!
6月30日までの期間限定・数量限定商品なので、蛍観賞の思い出と一緒に手に取ってみてください。
緑豊かな庭園内で、たくさんの蛍が舞う様子を楽しむなら今が見頃。お天気にもよりますが、蛍は6月下旬から7月上旬頃まで姿を見せてくれるそう。仕事帰りや週末に、日常の喧騒を離れて過ごせるホテル椿山荘東京。ぜひ訪れてみてくださいね。
■information
ホテル椿山荘東京 「ほたるの夕べ」
期間:5月17日~6月30日(18:30~23:00 ※庭園入場券最終入場は20:00まで)/庭園への入場は、施設利用者および前売り券「庭園入場券」をお持ちの方限定