ロート製薬は6月3日、「子どもの目の白書2024」を公開した。調査は2024年5月17日~5月19日、小学生の子どもを持つ親1,000名を対象にインターネットで行われた。(「裸眼視力が1.0未満の小学生の生活への影響」については、小学生本人の回答を親が代理回答)

小学生の裸眼視力の変化

小学生の子どもを持つ親に調査したところ、裸眼視力が1.0未満の小学生は36.7%だった。文部科学省の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子どもは、1979年度には17.91%で、2022年度には37.88%と、2倍以上に増えている。

  • お子様の裸眼視力はどのくらいですか?

  • 裸眼視力1.0未満の小学生の割合

また、メガネやコンタクトレンズを装用している割合は21.8%で、およそ5人に1人がメガネやコンタクトレンズを使いながら生活していることがわかった。メガネやコンタクトレンズ装用の理由は、「近視」が1位で、7割超という結果に。

  • お子様はメガネやコンタクトレンズを装着していますか?

小学生の目の問題と親子間ギャップ

裸眼視力が1.0未満の小学生に対して生活への影響を聞いてみたところ、「授業中に黒板が見えにくい」「目が疲れる」「姿勢が悪くなる」など、61.6%の子が学校生活を中心に何かしらの生活への影響があると回答した。中には「通学中に車や人が見えにくい」といった危険を感じる回答もみられた。一方で、このアンケート調査を通して、子どもが感じている生活への影響のうち、把握していないものがあった親は55.2%と半数以上にのぼった。特に親の目の届かない学校にいる間の、勉強しにくさ、運動や遊びにくさ、健康への影響に、親が気づいていないケースもあるようだ。

  • 裸眼視力が1.0未満であることで、生活に影響はありますか?

  • お子様の「裸眼視力低下による日常生活への影響」で、あなた自身が把握していなかったものはありますか?

親が考える小学生の裸眼視力低下の理由

裸眼視力1.0未満の小学生の親に対して、裸眼視力が低下した理由として考えられるものを聞いてみたところ、1位は「デジタルデバイス(スマホやPC、タブレットなど)への接触時間の長さ」52.7%だった。実際に、裸眼視力が低い子どもはデジタルデバイスへの接触時間が長い傾向があることがわかった。裸眼視力が0.2以下の子どもは、デジタルデバイスの1日の接触時間が平均95.6分、一方裸眼視力が1.0以上の子どもの接触時間は平均73.7分で、その差は20分以上ある。逆に、裸眼視力が高い子どもは屋外活動(外遊びやスポーツなど)の時間が長い傾向があることも明らかになった。裸眼視力が1.0以上の子どもは、1日の屋外活動の時間が平均72.3分、裸眼視力が0.2未満の子どもの屋外活動時間は平均49.2分で、こちらも20分以上の差が出ている。

  • お子様の裸眼視力が1.0未満になった理由はなんだと思いますか?

  • お子様のデジタルデバイスの接触時間、屋外での活動時間は1日平均どのくらいですか?

子どもの健やかな目のためにしている対策

小学生の子どもの目の健康のために対策をしている親は、21.2%にとどまり、78.8%は対策をしていないことがわかった。対策の内容は1位「十分な睡眠を促す」42.9%、2位「適切な明るさの照明」39.6%、3位「デジタルデバイスへの接触時間の管理」38.2%という結果に。裸眼視力1.0未満の小学生が増加し、それによってさまざまな生活への影響が出ている一方で、子どもの健やかな目を保つために十分な対策がされていない現状が明らかになっている。

  • お子様の目の健康のために対策をしていますか?

東邦大学医療センター大森病院の眼科医・松村沙衣子氏は、「ご家庭でもできる目のケアとしては、読書や勉強など近くを見る時間の30分毎に休憩をいれること、500ルクス以上の十分な室内照明を保つこと、30㎝以上の視距離を保てるように机や椅子の高さを調整すること、外遊び時間を増やすことが挙げられます。デジタルデバイス使用時間は小学校低学年では1日1.5時間以下、高学年では1日2時間以下が推奨されます。特に画面の小さいスマートフォンは、視距離が20㎝以下と近くなりやすく、リスクが高いので気をつけましょう」とアドバイスしている。