2024年3月31日、東京都品川区青海地区NPO区画特設会場にて「Yupiteru presents お台場痛車天国2024(以下、痛車天国)」が開催された。
このイベントはクルマとキャラクターコンテンツの両方が好きな人が作りあげるカスタムカー「痛車(痛単車、痛自転車を含む)」が集まるもので、募集台数はなんと1000台。
世の中には多くのカーイベントが開催されているが、ちょっとケタ違いの規模である。しかも募集開始が始まるとすぐに定員に達してしまうほどの人気ぶり。台数だけでなく参加者の意気込みも相当なものだ。
今回はそんなパワフルなイベント、痛車天国に集まった参加車から数台をピックアップして、カスタムカーとしての痛車の魅力を紹介していこう。
●痛車が約1000台集まって開催された「Yupiteru presents お台場痛車天国2024」。主催は八重洲出版だ
●お台場青海NPO地区の広い敷地で開催された
●お台場という場所柄、観光で訪れていた人が「おや、なにかやってる? え!なんだこのクルマ」というパターンからの入場も多かった。また、海外でも日本のキャラクターコンテンツは人気が高いので、会場では海外からの観光者の姿も多く見かけた
■痛車の特徴とは
まずは痛車オーナー像について。痛車天国に参加している痛車オーナーは20歳代から50歳以上と年齢層は幅広いが中心層は30歳代。今どきはクルマを趣味としている人の年齢層が高くなっているので痛車オーナーは全体的に若いと言える。
男女の比率は圧倒的に男性が多いが、会場が男だらけというわけではない。女性は好きなキャラクターのコスプレをする場として参加していることも多いので、痛車イベントは実は華やかな場所でもある。
次にクルマについてだが、一般的なクルマ趣味では乗っているクルマのジャンルごとに集まるケースが多いが痛車はそうとは限らない。痛車界隈ではキャラクターで集まったり、アニメやゲームのタイトルで集まったりと、推しているコンテンツでの集まりが多めだ。それだけに車種や年代はマチマチで、同じグループに走り屋仕様とミニバンオーディオカスタムがいるなど当たり前だが、これは他のカスタムジャンルではあまり見られないもの。
そしてそれぞれで特徴を持つ異なるジャンルのクルマが「仲良く」しているのでカスタム文化が自然と混じり合う大陸的な状況も生まれている。それだけに痛車界隈のカスタムは型に縛られないユニークなものも多いのだ。
なお、痛車というカスタムカー文化は日本発祥であり世界にも広まったもの。アンダーグラウンドな面もあるが、世界規模で影響を与えているジャンルであることは評価されるべきものだろう。
●主流の車種はスポーツ系。デザインのクオリティも高く、カスタマイズもお金を掛けた完成度の高いカスタムカーが増えている
●キャラクタービジュアルをデザインパーツ的に利用するクルマも多い
●年齢が若い層にも人気になっている2000年前後のクルマが多いのも痛車界隈の特徴
●痛車独特の雰囲気で仕上げられたマークX。セダンベースのカスタムではオリジナリティを感じるクルマ。派手でもあり、シンプルともいえる面もある
●こちらは施工業者さんのデモカー。貼っている作品は版元の許諾を得たもので、デザインも監修済だ。依頼するとユーザーでも公式の絵で痛車を作ることができる
●ワンボックスカーは施工面が広いだけにインパクトあるデザインが可能。ベース車の選択やいじり方は他のカスタムジャンルと同じセンスなので、基本的にカッコいい
●軽自動車も多い。本当に多様な車種で構成されるジャンルなので、車体デザインだけでなく、クルマを見てまわることも楽しめるのが痛車天国
●先日、生産終了が発表されたタケオカ自動車の「ABBEYT50cc」の痛車。お気に入りキャラクターの魅力を表現するキャンバスとして使用するには可愛らしくていい素材
●こちらは痛単車(痛単)。車種はなんとMVアグスタ スーパーヴェローチェ800(320万円くらいする)。車体の色とのバランスを考えてクリアシートにキャラクターを印刷。大きめの配置ながら派手すぎずまとまっている
●会場には企業ブースも多く出展。ここはユピテルのブース。ユピテルではオリジナルのキャラクターコンテンツとして「羽衣6」を展開。今シーズンはフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップへの参戦も行う。ドライバーは猪爪杏奈選手
●羽衣6はユピテル製品で機能の案内など声やビジュアルで登場。グッズも多数発売されている。羽衣6には現在3名のキャラクターがいて、担当する声優さんは皆さん人気のある方
●スポーツシートメーカーの「ブリッド」もブース出展。2023年度の初音ミク レーシングVer.(レーシングミク)を背面にデザインしたオリジナルシートも展示
●こちらはホイールメーカー「レイズ」のブース。会場の痛車にもレイズホイールユーザーが多かった
■痛車オーナーに聞く、クルマ作りのポイント
ー DATSUN 240Z/クリチェリ殿下さん ー
国産車、輸入車と多くのクルマで痛車カスタムを経験してきたオーナーが乗る左ハンドルの240Z。程度のいい車両を求めて自らアメリカまで行って買い付けてきたとのこと。エンジンはL28に載せ替え、キャブはソレックス40φに交換。足まわりは車高調整式サスキットへ変更。さらにアメリカっぽいチョイスとしてウィルウッドのキャリパーも装備。ホイールはレイズのTE37V。タイヤはダンロップのディレッツァを履く。痛車は若いオーナーも多く、タイヤは安価なアジアブランドを選ぶことも多いが、スポーツカーであればやはり国産メーカーのスポーツタイヤが似合う。この辺のチョイスも外していない。ほか、スポイラー、オーバーフェンダーなどエクステリアも変更しつつ公認を取得。今後はインジェクション化なども予定しているという。
●作品はTVアニメにもなった「SPY×FAMILY」。左右で絵柄を変えている
●S30Zの長いボンネットを生かして立ち絵を配置。こうした目の付けどころはデザイン技術に長けている痛車界隈ならではのもの
●もともとはL24が乗っていたがL28に換装。その状態で公認を取得している。エンジンはハイカムのみ組んだ仕様なのでキャプは控えめな40φ
ー トヨタ GR86 RZ/なりますさん ー
SUPER GT GT300クラスに参戦している25号車のデザイン(以前のもの)をベースに、推しのキャラクタービジュアルをあわせたデザインに仕上げている。クルマのカスタマイズは走り系に振ったもので、サーキット走行も行っている。仕様を紹介するとサスペンションキットはHKSのハイパーMAX Ⅳ GT。ブレーキはエンドレスのM4キャリパー&S2キャリパーを組む。ホイールはレイズ ボルクレーシングTE37SL.。タイヤはサーキット走行派に人気となっているシバタイヤ。エンジンはノーマルでマフラーはHKS製を装着。いまはGR86のFA24エンジンに不満は感じていないが、車体の性能が高く、さらにパワーを上げても楽しめそうなのでEXマニ交換とECUチューニングを行う予定もあるとのこと。
●ボンネットには作中に登場する虹ヶ咲学園という高校のエンブレムを配置。レースイメージでパーツメーカーのロゴが貼られる
●25号車はアルコール飲料のホッピーがメインスポンサーなので「HOPPY」のロゴが多く入るが、この作品は高校生が主役。そんなことからオーナー曰く「ホッピーは貼りませんでした(笑)」とのこと
●サスペンションキットはHKSのハイパーMAX Ⅳ-GT。ブレーキはエンドレスのキャリパーキットを組む。タイヤはサーキット派に人気のシバタイヤ。ホイールはレイズのTE37SL
●エンジンはノーマル。このあとにEXマニ交換とECUチューニングを行う。その後、パワーに慣れてきたら過給器チューニングをすることも考えているそうだ
ー トヨタ スプリンタートレノ GTV/しゅがーさん --
オーナーのしゅがーさんは26歳。AE86には以前から憧れていて中古車を探していたところ、いい状態のクルマが見つかったので購入。実際に乗ったAE86は速いと言うモノではなかったが、走らせるのが楽しいクルマだという。買ったときはノーマルだったが外観はドリ車のイメージでカスタマイズ。エンジンがまだなにもしていない(AE86用4A-Gノーマル)。ゆくゆくエンジンのチューニングもしたいそうだ。貴重なクルマだが飾っておくのではなくサーキットでドリフトを楽しんでいるというが、壊すとパーツの入手が簡単ではないクルマだけに「ちょっと不安がありますね」と語った。きれい系のデザインはしゅがーさんが考えたもので、ステッカーの出力のみ業者に依頼。貼っている作品は「ご注文はうさぎですか?」
●TRDタイプのリヤスポを装着。サイドステップはジュビライド製
●クリアシートにキャラクターを印刷したものをカーボンボンネットに貼っている。透かしのように見える仕上げとしている
●ドアにキャラクタービジュアルが入る。デザインはPCを使い自分で仕上げた。なお、ゲームのグランツーリスモではクルマのデザインもできるので、同様デザインのAE86をゲーム内でも所有しているとこのこと
●86用4A-Gノーマル。エアクリーナーも残っているという状態のよさ
●運転席、助手席ともにシートはレカロ。ロールケージは中古で購入。ただ、フロアには固定していない
ー日産 ジュークNISMO/雅樹さん
キャラクターコンテンツといってもアニメ、コミック、ゲーム、VTuberなどたくさんのジャンルがあり、キャラクターも数え切れないほどいる。そして新しい作品も次々と作られるので、痛車の世界を動かす力は「燃料切れ知らず」の状態だ。それだけに一定の期間が終わると、つぎのキャラクターに乗り換えする人も多いのだが、なかには同じキャラクターをずっと好きでいる人もいる。このジュークNISMOに乗る雅樹さんもまさにそのタイプ。「艦隊これくしょん-艦これ-」は一世を風靡したブラウザゲーム(アニメ化もされた)ではあるが、現在の人気は落ち着いた状態。しかし、ジュークNISMOオーナーの雅樹さんは「艦これ」がスタートしてからずっと「金剛」というキャラクターを推し続けている。流行とか関係なしに作品やキャラクターを応援し続けるも痛車乗りの特徴であり、いいところでもある。
●艦隊これくしょん 艦これはブラウザゲームからスタートして、劇場版を含むアニメ化までなった人気作。現在もゲームはリリース中だが、古参ユーザー向けの設定に振っているのか? イベントなどはかなり難易度は高いという。ジュークNISMOのデザインに使っっている金剛の絵柄はアニメ版を使用している
●SUVが好きな方でジュークはこれで2台目とのこと。最初はスタンダードなモデルで、乗り換えを考えたときに見つけたのがジュークNISMO。レアなクルマであり、スタイルや走りも満足しているとのこと
ースズキ アルトワークス/あきなさんー
キャラクターは「ラブライブ! サンシャイン!!」に登場する黒澤ダイヤ。長い黒髪で和風な雰囲気を持つキャラなので、たくさんある絵柄のなかから「和」のイメージのものをチョイス。そして絵柄にあわせてグラフィックにも和を感じさせるパーツを盛り込んでいるが、このアルトはサーキット走行もするクルマなので「スピード感」もあわせて表現している。クルマの仕様は合法であることを前提としたスポーツチューニング。エンジンまわりはエアクリーナーとインタークーラーをトラスト製に変更。ほかモンスタースポーツのブローオブバルブキャンセラーを付けてレスポンスアップを狙う。マフラーはHKS製をチョイスする。足まわりはテインのフレックスZを装着。タイヤはダンロップのディレッツァZⅢでホイールは5ZIGENのプロレーサーを履く。
●和のイメージもあるキャラクターに合わせて和柄なパーツをデザインに取り入れている。それでいてクルマにあわせたスピード感も表現
●ほかのクルマとの違いを出すためキャラクターのイメージマークを取り入れたラバー製のオリジナルエンブレムも作っている
●サーキット走行もするのでサスキットやタイヤのチョイスも本格的。今後はLSDの組み込みも予定している
●このあとタービンをハイフローに換えて、ECUチューニングもおこなうという
ー ダイハツ コペン/こーじさん ー
ほかの痛車とは見た目の質感が違っていたのがこちらのコペン。実はこれ「手切り多色貼り」と呼ばれる手法でボディに貼られたデザインだ。手切りとは読んで字のごとく、カッティングシートをデザインナイフで切っていくもので、ベーシックなものは「切り絵」のように一枚のシートから1点の作品を切り出すが、多色貼りの場合はまずキャラクターの絵柄型の黒いベースのシートを切り出したあと、髪の毛、目などパーツごとを別のシートから切り出し、ベースのシートに重ねて貼っていくという手の混んだもの。このクルマでは多くの色を使っているのでそのぶん重ねる回数も増えるので、手間が掛かるだけでなく、切り出す技術、ずれずに貼っていく技術と施工の難易度は上がる。また、市販のシートを使うので、たくさんあるなかから、使う色を選んでいくことも簡単にできることではない。痛車界隈の表現の深さや見せる技術の高さがよくわかる1台だ。
●作品は「響け!ユーフォニアム」という高校のブラスバンド部が舞台のお話。主人公はユーフォニアム担当で車体にも楽器が描かれるが、楽器のみメタル調のシートが使ういう技
●カラー印刷のシートとは違った質感の手切り多色貼り。これができる人はそう多くいないし、これほどのレベルの痛車は滅多に見ることもない。展示用パネルに施工した絵画的な作品を作って個展を開いてもいいようにも感じた
●トランクにはふつうの手切り版を貼っていると思いきや、瞳とリボンに色を使っている。こういうセンスも素敵だ
●展示中は作品キャラをデフォルメした巨大なぬいぐるみが乗っていた。どうやって運んだのか聞いてみたら別のクルマで運んだとのこと。ちなみにこれは限定100隊くらいの発売で、価格は一体6万円越えという
ー ホンダ ビート/フミよさん ー
オーナーのフミよさんは本田技術研究所に勤めていて(現在は定年退職している)、在籍中はビートの内装デザインも手掛けていたという人。そんな人だけに貼っている作品はオリジナル。ビートを擬人化したキャラクターで「ビートちゃん」と名付けられている。フミよさんはもともと絵を描くのが好きで、ホンダに入る前の少しの期間はマンガ家でもあったそうだ。ビートの擬人化ということでキャラクターが身に付けているものをビートのパーツ風のデザインにしている。例えば髪飾りはサイドマーカーとサイドミラー。背中から出ているのはマフラー、靴にはタイヤという具合。手に持っているジュースのようなものはガソリン添加剤のワコーズ フューエル1だ。背景に描かれているのはビートの内装である。
●ビートの内装デザインはフミよさんが手掛けたもの。ビートオーナーにとっては神サマ級の存在かも
●助手席にはフロントタイヤを外したモトコンポが積んである。こちらもオリジナルのモトコンポ擬人化キャラが描かれている
●オリジナルキャラのビートちゃん。サイドマーカーとミラーがモチーフのアクセサリーをつけている
●トランク部もデザインされている。絵柄を見せるためリヤウイングを外してみたが、なにもないのも味気なかったので「足」の部分だけ残している
●左側面にはこのイラストが入っている
ー トヨタ ハイエースワゴン/ぷらむさん ー
ここまで紹介してきた痛車とは雰囲気が違うハイエースだが、このテイストは痛車文化の黎明期に多かったもの。キャラクターをドーンと貼って、ロゴも入れて、そして星とかハートなどの汎用性のあるパーツで飾っていくという感じ。現代の痛車はデザイン性がグッとレベルアップしていて、作品を知らない人でも見て楽しめるような仕上がりのものが多いが、当時は「好きな人だけに通じる」ようなストレートなキャラ愛表現だったのだ。なお、このクルマは昔に作ったモノではなくて最近仕上げたものである。つまり痛車デザインにおけるレトロ趣味といえるものだろう。クルマについても古いものが好きなのでハイエースも200系ではなく100系を探して購入。カスタムは4×4系の要素を取り入れたパーツを使ってオフロード系のイメージに仕上げている。フロントバンパーのガードやマッドフラップ、そして助手席側のシュノーケルなどレアなパーツを使っているのも特徴。
●左右で絵柄は変えている。作品は「ラブライブ! スーパースター!!」でキャラクターは葉月 恋。なお、作品自体は現在も展開している新しいもの
●以前の痛車をテーマに作ったと言う。わかる人だけにわかるという仕様。ボディ下半分の塗り分けもカラーシートによるもの
●フロントバンパーのガードは当時の純正オプション。フォグランプも点灯する。なお、ノーマルはドアミラーだが取り外してトラック風のミラーへ変更している
●4WDモデルを探したが見つからずにFRを購入。しかし、やはり4WDが希望だったのでテイストだけでも4WDに寄せている。マッドガードは生産終了品だったものだが、メーカーに問い合わせたところ奇跡的に新品が手に入った
●ワゴンなので室内は豪華。セカンドシートは回転してサードシートと対面にもなる。このクルマで車中泊も楽しんでいるそうだ
ー 日産 ラシーン/ヒッターさん ー
このラシーンは「ゆるキャン△」に登場するクルマを実車で表現したもの。オーナーのヒッターさんはもともとラシーンが好きで、ゆるキャン△に登場するこのクルマは気になっていたが、フロントグリルとライトが市販されていたラシーンとは違ったため、架空のクルマかと思っていたそうだ。ところがこのグリルとライトのキットが市販されていることを知ったことから「同じクルマに乗りたい」という気持ちがわいたのだ。そこで作中にでてくるラシーンと同じボディカラーを調色して全塗装をしたのち、特徴的なライトとグリルを装着。ホイールについては作中にいくつかの表現があったが、そのなかから黒塗装の巣イールホイールだと想われるパターンを真似した。さらにインパネやシートのカラーも作中車にあわせている。どこにもキャラクターの絵や作品ロゴはないが見る人が見ればこれも「こちら側」なのだ。
●作中のラシーンはこのグリルキットを付けていた。ゆるキャン△は乗り物の描写がマニアックな傾向なので、クルマやバイク好きな人も楽しめる作品
●作者さんのPCの画面に出ていた元のイラストを見たわけではないので、まったく同じとは言えないが「よく似た色」になっている。ここまで作るのに苦労したそうだ
●作中車はインパネのカラーも実車と違っていたのでインパネも一部塗っている
●シートの色も違ったので色を指定して作ったシートカバーを付けている
ー 日産プリンス スカイライン2000 GT-A/こたちゃんさん ー
自動車メーカーにお勤めのこたちゃんさんが展示していたのは貴重な1967年式スカイライン2000GT-A。エンジンはG7型2ℓ直列6気筒OHCを搭載。ハコスカまでは知っていてもプリンスの名が付くスカイラインは知らないという世代も増えていることから、若い世代の人に「こういうクルマがあったことを知って欲しい」という気持ちで痛車化したという。どんなデザインにするかをと考えたところ、浮かんだのがこたちゃんさんが好きなアニメ「ガールズ&パンツァー」に登場している戦車ふうに仕上げること。お気に入りのキャラクターが乗る「チャーチル歩兵戦車 Mk.Ⅶ」の車体を表現するハッチや予備の履帯、ワイヤーなどを線画でスカイラインのボディにデザインしたのだが、やってみると書き込んだパーツ類とボディとの「バランスが妙にいいなぁ」と思ったそうだ。そこでチャーチル歩兵戦車のサイズを改めて調べてみたところ、なんとスカイライン2000GT-Aの車体サイズの縦横比はほぼ一緒。狙ってやったわけではないそうだが、こんなぐうぜんはかなりすごい。
●痛車化のためのデザインセンスが優秀すぎる。ポルシェがやっているアートカー的なインテリジェンスも感じるが、実はガルパン痛車というオチは最高である。ボディカラーはスカイライン純正ではなくて、日産キューブに設定されていたもの。かなりマイナーな色という
●リヤウインドウは戦車内へのハッチという位置づけ。ハッチが開いて乗り込んでいるキャラクターが見えていると言うデザインだ
●このタイプのスカイラインには432ZやGT-Rに搭載されたS54エンジン搭載のスカイライン2000GT-Bというモデルもあったが、こちらはG7エンジン搭載の2000GT-A。残っている台数で言うとGT-Aのほうが稀少とのこと
●当時のウエッズ製ホイール。これもあまり売れなかったそうで資料が残っていないとのこと。たまたま程度のいいものがあったので手に入れて、ボディ色に塗装した
●これがチャーチル歩兵戦車 Mk.Ⅶ。作中では聖グロリアーナ女学院の隊長が乗車している
●車体にはキャラクターはいないが(窓は除く)後席には車長であるダージリンというキャラクターのぬいぐるみが20個以上載っている。UFOキャッチャーで取ったりフリマサイトで仕入れたりして集めたという
〈文と写真=深田昌之〉