オーストラリア政府観光局は5月30日より、新たなキャンペーン「オーストラリアの世界遺産は"体験"だ!」をスタートした。オーストラリアにある20のユネスコ世界遺産と、その道中で体験できる食、自然、文化などを紹介することで、日本の旅行者の好奇心を喚起する。アンバサダーには、世界遺産検定1級を持つお笑い芸人のあばれる君が就任した。
日本人観光客を増やす秘訣は?
冒頭、オーストラリア政府観光局のデレック・ベインズ氏が登壇し、キャンペーンの経緯を説明した。同氏によれば、ここ数年は日本とオーストラリアをむすぶ航空機のフライト数が堅調に増加しているという。「2024年6月時点では、1週間に84便の直行便が運航される見込みです。コロナ禍により減ってしまった日本人渡豪者の数ですが、ピーク時(2019年)の年間50万人の水準まで回復する日もそう遠くないかも知れません」と期待を寄せる。
そのうえで、さらなる日本人の観光客増に向けて、オーストラリアにある20の世界遺産をアピールしていく。「海外では、世界遺産に対して日本人ほど興味を持っていないようです。でも様々な調査により、日本人は世界遺産に興味関心が高いことが分かりました。これまでに35万人以上の人々が受験したという「世界遺産検定」が存在すること自体、日本人の世界遺産好きを表しています」とデレック氏。そこでオーストラリア政府観光局では「オーストラリアの世界遺産は"体験”だ!」を展開する。
「オーストラリアの世界文化遺産には『シドニー・オペラハウス』(登録: 2007年)が、また世界自然遺産には『グレート・バリア・リーフ』(1981年)があります。両方の価値を兼ね備えた『ウルル=カタ・ジュタ国立公園』(1987、1994年)は世界複合遺産です」とデレック氏。ここで世界遺産アカデミーの宮澤光氏にバトンタッチし、さらに話を堀り下げていく。
宮澤氏は「世界には数多くの人々が暮らし、様々な自然や文化があります。そうした世界の多様性を代表するものが世界遺産です」としたうえで「オーストラリアの世界遺産は、まさにその縮図。人類の歩みのすべて、地球の歴史のすべてを網羅しています」と紹介する。なかでも、自然の景観美、地球の歴史、固有の生態系、の特徴を持つ登録地が多いようだ。
オーストラリアの先住民であるアボリジニにまつわる世界遺産もある。『オーストラリアの囚人遺跡群』(2010年)は植民地政策を行っていた大英帝国によって建てられた刑務所の遺跡となる。
最後に宮澤氏は、オーストラリアの世界遺産について「豊かな自然環境と共に先住民の文化を大切にし、人類と地球の歩みの全てを保護して次の世代に伝えていこうとするものです。オーストラリアの世界遺産は、世界遺産活動の好例と言えます」と評価。オーストラリアを観光する際は、いくつもの世界遺産を周ることで国の立体感が目の前に浮かび上がってくるでしょう、とむすんだ。
今回、オーストラリア政府観光局ではSNSやデジタル広告を使って、キャンペーン「オーストラリアの世界遺産は"体験”だ!」を情報発信していく。動画コンテンツの配信にも注力する考えで、すでに30日には「あばれる君がロードトリップ 世界遺産ウルルへ」を公開した。
このあと舞台上には、あばれる君が登場。MCを相手に、オーストラリアの代表的な世界遺産のひとつウルル=カタ・ジュタ国立公園を目的地にしたロードトリップ(クルマを運転して移動する長距離旅のこと)の撮影秘話を明かした。
オーストラリア初体験にして、アリス・スプリングス空港から約800kmの道のりを運転してウルル=カタ・ジュタ国立公園を目指したというあばれる君。「普段から長い距離を運転するのは好きなんですが、まぁ、オーストラリアは景色が変わらないですね」と笑いを誘う。ただ、車内ではスタッフとの会話も弾み、体感としてはあっという間だったという。
途中で、壮大な景色をのぞむことのできるキングス・キャニオンにも立ち寄ったと話し、「まるで映画のセットの中を歩いているような、そんな錯覚に陥りました」。そして、遠くから見えてきたウルルについては「まったく想像と違いました。もっと砂っぽく見えると思ったのに、意外にツルツル。クルマで移動しつつ、色んな角度から眺めました。そうするうちに、背景が夕焼けから夜空に、まるで舞台転換するかのように変わっていきました」と興奮気味に紹介した。
忘れられない体験ができた、とあばれる君。最後に「オーストラリアの人たちは、話しかけると皆さんニコニコして反応してくれます。そこまで英語が得意じゃない人も、現地の人に気軽に『グッデイ!』と話しかけてみてください。そして世界遺産を自分の目で見て楽しんでほしいと思います」と話していた。